「大学受験や入学時にはどれくらいの費用がかかるの?」と不安に感じる方もいるのではないでしょうか。
受験や入学のタイミングで困ったり焦ったりせず、余裕を持って費用を用意するためには、事前に総額を把握しておくことが大切
です。
そこで本記事では、大学受験時と入学時に必要な費用と金額の目安、費用を抑えるための方法を解説します。
データをもとにした平均額も紹介するので、大学受験・入学時に実際どれくらいの費用が発生するのかを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
大学受験にかかる費用
大学受験にかかる費用には、主に以下の5つが挙げられます。
- 願書代
- 受験料
- 予備校・学習塾代
- 交通費・宿泊費
- 併願校の入学金
それぞれ順番に見ていきましょう。
願書代
大学入学共通テストや国公立大学の場合、願書代は無料
です。一方、私立大学の場合は、願書が有料である場合もあるので注意しましょう。
また願書代とは別に、願書を取り寄せる費用や提出する際の郵送費などが発生します。
願書の入手方法は、大きく5つあります。
- 大学に郵送請求する
- 大学にテレメールで請求する
- 進学情報サイトを通じて請求する
- 高校や予備校で入手する
- 大学に行き願書を直接受け取る
このうち「大学に郵送で請求する」と、請求時と大学からの願書送付時、提出時で郵送費用が3回発生します。願書にかかる費用を抑えたい場合は、テレメールなどを利用するか、近所に大学がある場合は直接受け取りにいくと良いでしょう。
願書を提出する際は、配達記録が残る簡易書留などの利用がおすすめです。ただし、簡易書留には基本料金に350円が加算されます。また、提出期日ぎりぎりに願書を郵送する際には速達料金(250gまで基本運賃に300円加算)も必要です。
なお、大学に直接持参しても、受け付けてもらえない場合が多いので、必ず郵送で提出しましょう。
最近では、Web出願を採用している大学も増えています。Web出願では、願書を取り寄せる必要がなく、インターネット上で出願手続きを行ってから必要書類を送付するだけでよいので、願書代を抑えることができます。
受験料
大学入学共通テストや各種選抜にかかる受験料の目安は次のとおりです。
選抜方法 | 費用目安 |
大学入学共通テスト | 3教科以上受験:18,000円 2教科以下受験:12,000円 ※成績通知を希望しない場合 |
【国公立大学】一般選抜(二次試験) | 約17,000円 |
【国公立大学】総合型選抜・学校推薦型選抜 | 約17,000円 |
【私立大学】一般選抜 | 約30,000~35,000円 |
【私立大学】一般選抜(医学部等) | 約60,000円 |
【私立大学】大学入学共通テスト利用入試 | 約15,000~20,000円 |
【私立大学】総合型選抜・学校推薦型選抜 | 約30,000円 |
参照:「法令の規定により使用料、手数料その他の料金を徴収している場合におけるその額の算出方法」独立行政法人大学入試センター
受験料は学校や学部によって異なるため、受験料の目安として参考にしてください。
また、全国大学生活協同組合連合会の調査によると、出願をするためにかかった費用の平均は国公立123,400円、私立144,900円です。
予備校・学習塾代
文部科学省によると、年間で学習塾費に支出した人の平均額は、公立高校で年間約363,000円、私立高校で年間約447,000円です。また、公立・私立ともに年間40万円以上の支出がある人が多くなっています。
参照:結果の概要-令和3年度子供の学習費調査|文部科学省
早い段階から通ったり受講コマ数が多かったりすると、大学受験の予備校・学習塾代は上記の平均額よりも高くなります。
予備校・学習塾代が負担にならないよう、入校・入塾前に費用を確認し、費用面で無理なく通えるよう利用方法を検討すると良い
でしょう。
交通費・宿泊費
受験の際は、受験会場に行くまでの交通費や宿泊費も必要です。
特に受験会場が遠方の場合、新幹線や飛行機などの費用が発生します。移動区間や移動手段によって費用は異なりますが、数万円単位を要することもあるため、事前に確認しておきましょう。
また、日帰りでの受験が難しい場合や試験日が複数の日にまたがる場合には、前日や試験当日に宿泊する必要があります。宿泊費は地域や宿泊するホテルにもよりますが、一般的なビジネスホテルで1泊あたり約7,000~10,000円程度
です。
併願校の入学金
併願校に合格すると、入学の権利を維持するために入学金を1~2週間以内に支払う必要があります。期限内に入学金を支払わないと、併願校への入学権利を失ってしまいます。
入学金の納付期限が第一志望の大学の合格発表日よりも早い場合、併願校への入学金の納付が必要です。第一志望に合格して併願校へ進学しない場合でも、支払った入学金は返ってこないため注意しましょう。
大学入学時にかかる費用
次に、大学入学時に発生する主な費用を5つ解説します。
- 入学金
- 授業料
- 教材費・機材費
- 交通費・定期代
- 家賃・引っ越し費用
志望校に合格後、どのような費用が発生するのか、あらかじめ把握する際の参考にしてみてください。それぞれ順番に見ていきましょう。
入学金
国公立・私立大学における入学金の目安は次のとおりです。
国立大学※1 | 282,000円 |
公立大学(地域内)※2 | 224,066円 |
公立大学(地域外)※2 | 374,371円 |
私立大学(文系)※3 | 223,867円 |
私立大学(理系)※3 | 234,756円 |
私立大学(医歯系学部)※3 | 1,077,425円 |
参照(※1):国立大学等の授業料その他の費用に関する省令
参照(※2):「2023年度学生納付金調査結果」文部科学省
参照(※3):「令和5年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について」文部科学省
私立大学の入学金は大学や学部によって異なるため、事前に確認しておきましょう。なお、国立大学の入学金については標準額が文部科学省令により定められています。
公立大学では、地元の出身者などを地域内入学者として、入学金が安くなる制度を定めていることがあります。地元の公立大学を第一志望に据える場合は、地域内入学者を対象とする制度がないか確認してみましょう。
授業料
国公立・私立大学における授業料(年額)の目安は次のとおりです。
国立大学※1 | 535,800円 |
公立大学※2 | 536,191円 |
私立大学(文系)※3 | 827,135円(+施設設備費143,838円) |
私立大学(理系)※3 | 1,162,738円(+施設設備費132,956円) |
私立大学(医歯系学部)※3 | 2,863,713円(+施設設備費880,566円) |
参照(※1):国立大学等の授業料その他の費用に関する省令
参照(※2):「2023年度学生納付金調査結果」文部科学省
参照(※3):「令和5年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について」文部科学省
授業料は国公立と私立で大きな差があり、中でも私立の理系学部や医学部などで費用が高くなる傾向があります。また、私立大学では授業料とは別に、建物などの学校設備を維持するために支払う施設設備費が必要です。
入学金と異なり、授業料は毎年納付する必要があります。そのため、授業料を無理なく支払い続けられるかを入学前に確認しておきましょう。
教材費・機材費
入学金や授業料だけでなく、大学の授業に必要な教材やPCなどの機材を購入する費用も必要です。
教材費・機材費の目安金額は、全国大学生活協同組合連合会の調査によると次のとおりです。
国公立大学(文系) | 240,900円 |
国公立大学(理系) | 271,400円 |
国公立大学(医学部等) | 298,200円 |
私立大学(文系) | 197,200円 |
私立大学(理系) | 232,600円 |
私立大学(医学部等) | 282,900円 |
参照:新入生の保護者25,857名から回答 「2024年度保護者に聞く新入生調査」概要報告
教材費は受講する科目によって異なりますが、調査結果より教材費・機材費は20~25万円程度必要になることがわかります。
教材費・機材費も、入学金などと併せて用意しておきましょう。
交通費・定期代
大学へ通学する際は交通費や定期代がかかります。
入学金や授業料と比べ、まとまった金額は必要ありませんが、通学時に必ず発生するため、月々の交通費を事前に調べておくと安心です。
【一人暮らしをする場合】家賃・引っ越し費用
大学が自宅から離れていて一人暮らしをする場合、引っ越し費用や家具家電の費用、家賃や敷金・礼金などが発生します。
日本政策金融公庫の「教育費負担の実態調査結果」によると、自宅外通学を始めるための費用は平均38.7万円です。ただし、一人暮らしをする地域や部屋の条件、揃える家具や家電によって金額は変動します。
全国大学生活協同組合連合会の「第59回学生生活実態調査」では、一人暮らしをする大学生の割合は53.6%
に上ります。遠方の大学を志望する場合は、一人暮らしに必要な費用も計上しておきましょう。
大学受験にかかる費用を抑える4つの方法
ここまで解説したように、大学受験や入学時には一定の金額が必要です。ある程度の出費は想定していても、できる限り費用を抑えたいですよね。
そこで本章では、大学受験にかかる費用を抑える方法を4つ解説します。
- 受験する大学を絞る
- 大学入学共通テスト利用入試や学内併願を利用する
- 予備校・学習塾を効率的に活用する
- 特待生制度や奨学金制度を利用する
なるべく選択肢を狭めずに費用を抑える方法を紹介するので、参考にしてみてください。
1.受験する大学を絞る
むやみに受験する大学を増やさず、的を絞って受験することで費用を抑えられます。
大学受験では、「安全校」、「実力相応校」、「チャレンジ校」と区分して複数校受験するのが一般的です。それぞれの概要は次のとおりです。
区分 | 模試の判定(目安) | 備考 |
安全校 | A~B | 「滑り止め」ともいわれる高い確率で合格できる安全圏の学校 |
実力相応校 | B~C | 現状の学力で実力を発揮できれば合格できるとされる学校 |
チャレンジ校 | C以下 | 挑戦の意味合いも込めて受験する学校 (目標を高めに設定する場合はチャレンジ校を第一志望に据える) |
受験する大学を上記3つに区分して、バランス良く受験するのがおすすめです。
しかし、受験校を増やしていくと受験料がかさむだけでなく、入試を受ける負担や学習量も増加します。特に私立大学では出題傾向に合わせた一般入試対策が必要です。
また、受験校を増やし複数校に合格した場合、志望度の高い大学に合格する度に入学権利維持のための入学金を支払うことになり、結果として費用が膨らむ
可能性があります。
最低1校以上は安全校を受けることをおすすめしますが、受験する大学はなるべく志望度の高い学校・学部に絞りましょう。
受験日程や受験場所も要チェック
受験校を絞る際は、受験日程や受験会場も確認しましょう。遠方の大学を受験する場合、受験日程や場所をある程度固められると、移動の負担や交通費・宿泊費を抑えられます。
ただし、連日入試を受けることになると疲労が蓄積し、実力を発揮しきれない可能性があります。そのため、無理なスケジュールを立てないよう注意が必要です。
大学によってはキャンパス所在地以外の場所に受験会場を設置する学外試験(地方試験)を実施している学校もあります。移動の負担や交通費・宿泊費を抑えられるため、志望校が自宅近くに学外試験の会場を設けていれば利用するのも一つの手
です。
旺文社教育情報センターによると、2020年には国公立大学の約30%、私立大学の約71%が学外試験を実施しています。
2.大学入学共通テスト利用入試や学内併願を利用する
大学入学共通テスト利用入試や学内併願を利用することで、受験費用を抑えられます。
大学入学共通テスト利用入試とは、大学入学共通テストの結果を合否判定に利用する入試方式で、一般選抜よりも受験料が安い傾向にあります。
大学入学共通テストは全国各地で行われるため、遠方まで受けに行く必要はありません。そのため、二次試験を行わず大学入学共通テストの結果のみで合否判定を行う大学を選べば、交通費や宿泊費も抑えられます。
ただし、一般に大学入学共通テストのみで合否判定を行う入試の合格ラインは高めに設定されていることが多い
ため、注意しましょう。
他にも、同じ大学で複数学部を受験すると、2学部目以降の受験料が割引される制度を設けている学校もあります。出願前に、志望校の制度を確認してみましょう。
3.予備校・学習塾を効率的に活用する
予備校や学習塾を効率的に活用すれば、費用を抑えつつ十分な受験対策をすることが可能です。
大学受験に向けた予備校や学習塾にかかる費用は、前段で解説したように決して安くはありません。そのため、やみくもに科目や講座を受講するのではなく、次のように目的を絞って受講すると効率的に学力が伸ばせます。
- 苦手な科目・単元に絞る
- 志望校で配点比率が高い科目・単元に絞る
- 発展的な内容など学校や独学での対策が難しい科目・単元に絞る
無理に受講数を絞る必要はありませんが、可能な範囲で費用を抑えた予備校や学習塾への通学も検討してみると良いでしょう。
オンライン家庭教師なら費用を抑えて効率良く受験対策できる
費用を抑えた予備校・学習塾選びには、オンライン家庭教師もおすすめです。オンライン家庭教師は、校舎を持たずオンラインで完結するため、マンツーマン指導でありながら費用を比較的安く抑えられます。
また、マンツーマン指導で実力や目標に合わせたカリキュラムを組めるため、効率の良い受験対策が可能です。オンライン指導で通塾の必要がないため、勉強時間を有効活用できるのも大きなメリットです。
トライのオンライン個別指導塾では難関大や医学部まで効率的に志望校合格を目指せる
参照:《公式》トライのオンライン個別指導塾│授業満足度No.1
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費用を抑えながら効率良く受験対策を行いたい方は、トライのオンライン個別指導塾にご相談ください。
※講習会を受講している教師数(2024年3月31日時点。)
4.特待生制度や奨学金制度を利用する
大学によっては、成績が優秀な学生の学費を減免・免除してくれる特待生制度を設けている場合があります。要件に該当すれば入学金や授業料などの負担が軽減されます。
学校や利用する制度によっては入学前に申請が必要なため、志望する大学の制度を確認してみましょう。
また、日本学生支援機構が実施する奨学金制度を受けられれば、学費負担を軽減できます。奨学金制度は、返済が必要な無利子の第一種奨学金と、有利子の第二種奨学金、2020年度から始まった返済不要の給付型奨学金の3種類があります。
高校の評定に関する要件や世帯収入・資産額の要件などはありますが、受給できれば費用を大きく抑えることができます。
要件に該当する場合は申請してみると良いでしょう。
助成制度を実施する地方自治体も
お住まいの自治体によっては、学習塾や予備校代、受験料などの貸付・給付を独自で行っている場合があります。利用できる制度がある場合は積極的に活用しましょう。
たとえば東京都の受験生チャレンジ支援貸付事業では、世帯収入や都内在住などの要件に該当する場合、学習塾の受講料や受験料を無利子で借りられます。それぞれの金額は次のとおりです。
貸付対象 | 貸付限度額 |
学習塾等受講料 | 20万円(上限) |
受験料 | 8万円(上限) |
参照:事業内容 | 受験生チャレンジ支援貸付事業 (jukenchallenge.jp)
また、この制度を利用して実際に大学に入学した場合、返済が免除されます。
利用できる制度の有無や要件は自治体によって異なる
ため、気になる場合は一度お住まいの自治体窓口へ問い合わせてみましょう。
まとめ
この記事では、大学受験時や入学時に発生する費用について、項目ごとの目安と費用を抑えるための方法を4つ解説しました。
大学受験時には次の費用が発生します。
費目 | 目安金額 |
願書代 | 国公立大学:無料 私立大学:無料~1,000円程度(1校あたり) |
受験料(合計) | 国公立大学:平均123,400円 私立大学:平均144,900円 |
予備校・塾代 | 公立高校:平均約363,000円(年間) 私立高校:平均約447,000円(年間) |
交通費・宿泊費 | 受験会場によって変動 |
併願校の入学金 | 受験する学校の入学金によって変動 |
また、大学入学時には次の費用が必要です。
費目 | 目安金額 |
入学金 | 国立大学:282,000円 公立大学:224,066円~374,371円 私立大学:223,867円~1,077,425円 |
授業料(年額) | 国立大学:535,800円 公立大学:536,191円 私立大学827,135円~2,863,713円(別途施設設備費が必要) |
教材費・機材費 | 国立大学:232,400円~284,700円 私立大学:199,500円~246,800円 |
交通費・定期代 | 交通手段によって変動 |
家賃・引っ越し費用 | 平均387,000円 |
費用を抑えるためには、受験する大学を絞ることや学内併願・共通テスト利用による受験方式を選択すること、予備校・塾を効率よく活用すること
が挙げられます。
無理のない範囲で費用を抑えつつ、志望する大学へ進学できるよう準備を進めましょう。