発達障害のある子どもをお持ちの保護者の中には、「どのように勉強をサポートすればいいのだろう…」とお困りの方もいるでしょう。
ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)、SLD(限局性学習障害)などの発達障害がある子どもは、その特性から勉強に困難さを感じる場合があります。そのため、発達障害ごとの特性を理解したうえで、子どもの特性に合わせたサポートが必要
です。
そこで今回は、発達障害の子どもの勉強について、特性に合わせた勉強法や保護者の方ができる適切なサポートについて解説します。
発達障害の子どもをお持ちの方はもちろん、診断が出ていないグレーゾーンの子どもの勉強でお困りの方も、ぜひ本記事を参考にしてください。
勉強しない子どものサポートを家庭だけで行うのが難しいと感じている保護者の方もいるのではないでしょうか。家庭教師のトライでは、発達障害・グレーゾーンの子どもの個別指導にも対応しています。
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発達障害の子どもの勉強には“特性”に合わせたサポートが大切

発達障害の子どもの勉強は、発達障害ごとの特性、そして子どもごとの特性に合わせてサポートすることが大切です。発達障害の代表的な種類とその特性を以下の表にまとめました。
発達障害の種類 | 特性 |
ADHD(注意欠如・多動症) | ・気が散りやすい ・ケアレスミスが多い ・静かに座っていることや待つことが苦手 ・忘れ物、失くし物が多い ・衝動的な行動を取りやすい |
ASD(自閉スペクトラム症) | ・相手の感情を理解するのが難しい ・興味、関心が偏りやすい ・勝ち負けにこだわり一番でいたがる ・感覚過敏または感覚鈍麻がある ・急な予定変更などが苦手 |
SLD(ディスグラフィア/書字障害) | ・字を書くことに困難がある ・文字は読めるのに正しく書けない ・文字の書き間違いが多い ・文法の間違いが多い |
SLD(ディスレクシア/識字障害) | ・文章を読むことに困難がある ・文字がぼやけたり歪んだりして見える ・文章や行を読み飛ばしてしまう ・文字を一つ一つ拾って読む |
SLD(ディスカリキュア/算数障害) | ・算数や計算に困難がある ・数を概念としてとらえることが苦手 ・図形やグラフ、数字の大小の理解が難しい ・自分で計算式を立てられない |
発達障害といっても、種類によって特性はさまざまです。また、同じ種類の発達障害でも子どもによって症状が異なったり、複数の発達障害を併発している場合もあります。
そのため、まずは子どもの特性を理解し、それに応じたサポートを行うことが大切です。特性に合わせたサポートで「できた」という成功体験を積み重ねることにより、子どもの自信や学習意欲の向上にもつながるでしょう。
【種類別】発達障害の子どもに適した勉強法

ここからは、先ほど説明した発達障害の種類別に、子どもに適した勉強法を解説します。
- ADHD(注意欠如・多動症)|集中力を維持できるよう工夫する
- ASD(自閉スペクトラム症)|学習のルーティン化と具体的な指示を意識する
- SLD(ディスグラフィア/書字障害)|書く負担を軽減できるよう勉強法を工夫する
- SLD(ディスレクシア/識字障害)|視覚補助で読む負担を軽減する
- SLD(ディスカリキュア/算数障害)|具体物と日常体験で数の概念を身につける
それぞれの勉強法のポイントについて、以下で詳しく見ていきましょう。
ADHD(注意欠如・多動症)|集中力を維持できるよう工夫する
ADHDの子どもの勉強には、勉強時間や学習内容、教材の工夫で集中力を維持しやすいよう工夫することが大切です。ADHDの特性には「不注意」や「多動性」があり、飽きやすかったり、気が散りやすかったりする傾向があるためです。
そのため、以下のような勉強法がおすすめです。
- 勉強時間を短く区切る
- 絵や記号の多い教材を使う
集中力を維持できるよう、子どもの状況に合わせて勉強時間を5〜15分ずつ区切り、休憩をはさみながら学習を進めると良いでしょう。また、休憩後は別の勉強に取り組むようにすることで、飽きにくくなります。
イラストや表、図などの多い教材を使うのもおすすめです。集中力が続きやすくなるうえ、文章だけの教材より理解しやすくなるでしょう。
また、「勉強中はテレビの音を消す」「机の上を片付ける」など、集中しやすい環境作りを意識する
ことも重要です。
ASD(自閉スペクトラム症)|学習のルーティン化と具体的な指示を意識する
ASDの子どもの勉強には、学習のルーティン化と具体的な声かけによって、安心して学習できる環境を整えることが大切です。
先述したとおり、ASDの子どもには「急な予定変更が苦手」といった特性があります。そのため、「手を洗ったら勉強道具を出す」「同じ時間・同じ場所で学習する」など、学習をルーティン化することで落ち着いて学習できるでしょう。
また、ASDの子どもは曖昧な言い方に不安を感じやすい傾向があります。そのため、「あと5分で勉強を始めるよ」「宿題が最後まで終わったらおやつにしよう」など、具体的な数字やわかりやすい言葉で声かけすることも大切です。
加えて感覚過敏がある場合は、子どもの特性に応じて大きな音や強い光などを避けた静かな環境を用意すると、集中して学習に取り組める
でしょう。
SLD(ディスグラフィア/書字障害)|書く負担を軽減できるよう勉強法を工夫する
SLD(限局性学習症)とは、知能の遅れはないものの「書く」「読む」「計算する」など、特定の能力について大きな困難を抱える発達障害で、LD(学習障害)とも呼ばれます。
SLDの一種であるディスグラフィア(書字障害)の子どもは、文字を書くことが苦手です。そのため、以下の工夫を取り入れた勉強法で、書く負担を軽減することが大切です。
- 補助ツールを活用する
- 書き順ごとに色分けする
- 段階を踏んで少しずつ書く練習をする
「文字が大きすぎる・小さすぎる」「バランスが悪い」といった場合は、マス目が大きく、十字の補助線が入っているノートを活用すると良いでしょう。文字の空間を把握しやすくなり、バランスの良い字を書きやすくなります。
また、「書き順がなかなか覚えられない」「文字の形を認識しづらい」といった場合は、書き順ごとに色分けすることで、書き順や文字の形が理解しやすくなるでしょう。
「文字を書く・なぞる」ことが難しい場合は、線をなぞることから少しずつ書くことに慣れさせることも大切です。直線や波線、ギザギザ線など、子どものペースに合わせて少しずつ書く練習をしましょう。
SLD(ディスレクシア/識字障害)|視覚補助で読む負担を軽減する
SLD(ディスレクシア)の子どもは、「文字が重なって見える」「文字が反転して見える」など、文章を読むことが苦手です。そのため、勉強する際は以下のような視覚補助により、読む負担を軽減することが大切です。
- 定規や紙で一行ずつ隠しながら読む
- 文章を短いまとまりごとに線で区切る
- 読みやすいフォントを使った教材を選ぶ
- CDやアプリの朗読音声を聞きながら黙読する
文章を読み飛ばすことが多い場合は、定規や紙で一行ずつ隠すと読みやすくなります。一行分だけ透明にした厚紙などを作成するのも良いでしょう。
また、文章の切れ目がわかりにくい子どもには、短いまとまりごとに線で区切ることで、読みやすくなることがあります。CDやアプリの朗読音声を聞かせ、内容を理解しやすくするのも効果的です。
SLD(ディスカリキュア/算数障害)|具体物と日常体験で数の概念を身につける
SLD(ディスカリキュア)の子どもは、数の概念や図形、グラフの理解が難しい特性があります。そのため、以下のような工夫を取り入れた勉強法がおすすめです。
- 数字の音・表記・順番を結びつける練習を繰り返す
- おはじきやブロックを使う
- 日常生活の中で数や図形、グラフに触れる機会を増やす
「数字が読めること」と「数を理解すること」は別物です。ディスカリキュアの子どもが算数を勉強する際は、数字を読んで終わりにするのではなく、音・表記・順番を結びつけられるよう練習する必要があります。
たとえば、「2」を見た時に「に」と読む音、数字の形、「1と3」の間にあるといった順番を繰り返し教え、1から10の数を理解させることが大切です。
また、日常生活の中で数に触れることも効果的
です。たとえば、「家族でおかしを分ける」「目盛りつきのはかりや計量カップを使って重さや量を測る」といった経験を積み重ねることで、数の概念を理解しやすくなるでしょう。
家庭教師のトライには指定のテキストがなく、扱う教材は自由です。そのため、紹介した5つの発達障害のタイプはもちろん、さまざまな発達障害を持つ子どもに合わせて教材選びや授業を行い、学力の向上をサポートします。
勉強しない子どものサポートを家庭だけで行うのが難しいと感じている保護者の方もいるのではないでしょうか。家庭教師のトライでは、発達障害・グレーゾーンの子どもの個別指導にも対応しています。
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発達障害の子どもの勉強をサポートするために保護者の方ができること

発達障害の種類に関わらず、また発達障害か明確にわからない場合でも、保護者の方が子どもにできることは多くあります。ここでは、発達障害の子どもの勉強をサポートするために保護者の方ができることを4つ紹介します。
- 発達障害に詳しい医療機関や支援機関に相談する
- 学校の教師やカウンセラーに相談し連携を取る
- 勉強内容・時間を細かく区切ってあげる
- 発達障害に理解がある塾・家庭教師を利用する
それぞれのサポートについて、詳しく見ていきましょう。
1.発達障害に詳しい医療機関や支援機関に相談する
発達障害の特性を理解するには、医療機関や支援機関への相談が欠かせません。発達障害といっても、種類や子どもによって特性はさまざまだからです。
そのため、自己判断するのではなく、専門家に相談して適切なアドバイスを受け、子どもの特性に合った学習サポートをすることが大切です。医療機関や発達支援センターでは、子どもの発達状況や特性に応じた具体的なアドバイスが得られるため、子どもにとって効果的な学習方法を見つけやすくなるでしょう。
2.学校の教師やカウンセラーに相談し連携を取る
家庭と学校が連携することで、子どもの発達障害や特性をより深く理解し、適切にサポートすることが可能です。
たとえば、学校の教師やカウンセラーから学校での様子を聞くことで、家庭では見られない特性や行動を把握できます。また、学校側に発達障害であることや特性をあらかじめ伝えることで、適切な配慮が受けられる場合もあります。
教師やカウンセラーと積極的にコミュニケーションを取り合い、協力してサポートすることで、子どもにとってより良い学習環境を整えられる
でしょう。
家庭教師のトライでは専任教師と正社員の教育プランナーがお子さまと保護者様を徹底サポート

参照:家庭教師のトライ – 満足度No.1約33万人教師からあなたに最適な家庭教師をご紹介
家庭教師のトライでは、学習指導を行う教師に加えて、正社員の教育プランナーが担任としてつき、子どもの学習をサポートします。教育プランナーとお子さま、保護者様との三者面談を定期的に実施しており、困りごとを気軽に相談できるため、学習や学校の不安を解消しやすくなるでしょう。
3.勉強内容・時間を細かく区切ってあげる
発達障害のある子どもは、長時間の学習や複雑な勉強内容に負担を感じやすい傾向があります。そのため、勉強内容や時間を細かく区切ることで、集中力が持続しやすくなります。
たとえば、「算数の計算を5問やったら、5分休憩しよう。」など、達成しやすい目標を設定することで、無理なく集中して学習に取り組みやすくなるでしょう。
また、アナログ時計やチェックリストを活用して、時間や進捗を見える化することも効果的です。時間経過や残り時間を色で判別できる時計やタイマーの活用もおすすめです。
たとえば、「時計の長い針が3になったら休憩しよう」と伝えることで、残り時間が視覚的に理解しやすくなり、安心して学習に取り組める場合があります。また、チェックリストを作り、「算数の宿題が終わったら好きなシールを貼ろうね」などと決めることで、子どもは達成感を得られ、前向きに学習に取り組めるでしょう。
4.発達障害に理解がある塾・家庭教師を利用する
発達障害に理解がある塾や家庭教師の利用もおすすめです。発達障害のある子どもが必要とする支援は、「集中力を引き出す支援」「特定の学習困難に対する支援」など多岐にわたります。
発達障害の子どもの指導経験がある塾や、特性を理解している教師が在籍している家庭教師を選ぶことで、子どもの特性に合った学習サポートが受けられる
でしょう。
家庭教師のトライには発達障害のお子さまの指導経験を持つ教師が在籍

参照:家庭教師のトライ – 満足度No.1約33万人教師からあなたに最適な家庭教師をご紹介
家庭教師のトライには、発達障害のお子さまの指導経験を持つ教師が在籍しています。
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なため安心です。
また、自宅で学習できるため、「周りの様子が気になって集中しにくい」「慣れない環境が苦手」といった子どもでも安心して学習を進められるでしょう。
まとめ
今回は、発達障害の子どもの勉強について、特性に合わせた勉強法や保護者の方ができる適切なサポートについて解説しました。
発達障害の子どもの勉強には、発達障害や子どもごとの特性に合わせた学習サポートが大切です。
発達障害の種類別の勉強法は、次のとおりです。
- ADHD(注意欠如・多動症)|集中力を維持できるよう工夫する
- ASD(自閉スペクトラム症)|学習のルーティン化と具体的な指示を意識する
- SLD(ディスグラフィア/書字障害)|書く負担を軽減できるよう勉強法を工夫する
- SLD(ディスレクシア/識字障害)|視覚補助で読む負担を軽減する
- SLD(ディスカリキュア/算数障害)|具体物と日常体験で数の概念を身につける
発達障害の子どもは、その特性から勉強に困難を抱えていることがよくあります。しかし、「特性があるから仕方ない」のではなく、発達障害や子どもの特性に合った適切なサポートを行うことで、子どもの「困難」を軽減することが可能
です。
まずは子どもをよく観察して特性を理解し、専門家の力も借りながら子どもに合った学習サポートを行いましょう。