「英検®※は中学受験でどう有利に働くのだろう」
「中学受験に使うなら何級を取得するべきか知りたい」
「どのタイミングで英検®を受ければいいのかわからない」
中学校の中には、英検®を取得している受験生に対して得点の加点や英語試験の免除などの優遇措置を設けている学校があります。
しかし、具体的にどのような優遇措置を受けられるのか、受験を有利に進めるには何級を取得するのがいいのかわからない方もいるでしょう。
本記事では、英検®が中学受験にどのように役立つのか、具体的な優遇措置や取得すべき級を解説します。
級ごとの難易度や特徴、効率的な勉強方法についても解説しているため、英検の取得を検討している方、中学受験を考え始めた方
はぜひご覧ください。
※英検®は公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。
この記事の目次
英検®とは?中学受験に向けて何級を取得すべき?
英検®の取得は、中学受験の大きなアドバンテージになることがあります。受験資格の付与や試験の免除など、中学受験の優遇措置として英検®を採用している中学校は、全国に100校以上。
特に、グローバル化への意識が高く、先進的な教育カリキュラムを持つ中学校は、英検®が有利に働く傾向にあります。
そうはいっても、そもそも英検®がどのような検定なのか、何級を取得するのが良いのかがわからない方もいるでしょう。ここでは、英検®の基礎知識や中学受験が有利になる級について解説します。
- 英検®とは?
- 中学受験に向けて英検®何級を取得すべき?目安は4級以上
英検®を活用し、より有利に中学受験を進めていくためのポイントをしっかり押さえていきましょう。
英検®とは?
英検®(実用英語技能検定)は、公益財団法人日本英語検定協会が実施する英語に関する能力を測る検定試験です。
「5級」「4級」「3級」「準2級」「2級」「準1級」「1級」の7つの級
があり、数字が小さくなるほど取得の難易度が上がります。
英検®の試験内容は、主に以下の4つです。
- リーディング:語彙や文法・読解問題が出題される
- リスニング:会話や文章を聞いて問題に答える
- ライティング:指定されたテーマについての英作文を書く(主に3級以上)
- スピーキング:試験官からの質問に対話形式で答える(二次試験として実施)
各級ごとにこれらの技能を評価し、英語力を総合的に判断します。
また、英検®は会場で受験する従来型試験が年に3回実施されるのも特徴です。主に1月・6月・10月頃に行われることが多く、各級ごとに試験日が設定されています。
中学受験に向けて英検®何級を取得すべき?目安は4級以上
中学受験で英検®を利用したい場合は、4級以上の取得を目指すのがおすすめです。英検®5級から優遇措置を受けられる学校もありますが、一般的には4級から有利に働く場合が多いと言えます。
そのため、中学受験に英検®を使う場合は4級、優遇措置を受けられる学校の幅を広げたり、受験をより有利に進めたりしたい場合は3級以上を取得
すると良いでしょう。
また、同じ学校でも、取得している級によって優遇措置の内容が変わることがあるので注意してください。
英検®準2級を取得することで試験の一部が免除される学校の場合、英検®の取得を優先することで効率的に受験対策を進められます。
その他、4級より3級を取得している方がより多くの優遇措置を受けられることがわかっていれば、勉強のモチベーション向上にもつながるでしょう。
各学校の英検®による優遇措置を理解し、それに合わせた級の取得を目指すことで、より有利な状況で受験に臨むことができます。
英検®を取得すると中学受験でどんな優遇を受けられる?
英検®を取得していると、中学受験で以下のような優遇措置を受けられる可能性があります。
- 受験資格を得られる
- 得点加点や判定優遇を受けられる
- 英語試験免除を受けられる
- その他の優遇措置
それぞれの優遇措置や、英検®を利用できる中学校について詳しく見ていきましょう。
受験資格を得られる
英検®を取得することで、特定の学校や入試形式の受験資格を得られる場合があります。特に、英語に力を入れている学校や、国際クラスではこのような優遇措置が多い傾向にあるといえるでしょう。
以下に、英検®による受験資格の優遇措置を行っている主な中学校の例をまとめました。
志望している中学校や学科の受験資格に英検®がある場合、一定の英検®級を取得していないとそもそも受験資格が得られません。
そのため、志望校の受験資格の条件をよく確認し、受験に合わせて計画的に該当級の取得を目指しましょう
。
得点加点や判定優遇を受けられる
英検®を取得していると、中学受験の際に得点加点や判定優遇を受けられることもあります。
英語の学科試験に一定の点数が加点されたり、取得級に応じた点数が試験の総得点に加点されたりすることがあるため、受験をより有利に進められるでしょう。
以下に、英検®による得点加点や判定の優遇措置を行っている主な中学校の例をまとめました。
加算される点数は学校によってさまざまですが、基本的に級の難易度が上がるほど、加点される点数も高くなる
傾向があります。
また、英検®を取得していれば、試験前の段階で他の受験生に差をつけられることから、本番で失敗したとしても挽回できるチャンスがあるでしょう。
準2級以上を取得するのはかなり大変ですが、取得できればかなりのアドバンテージになるため、取得を目指してみるのも選択肢の一つです。
英語試験免除を受けられる
英検®を取得していると、中学受験の英語試験が免除される場合もあります。これは、英検®が一定の英語力を証明するものとして認められているからです。
以下に、英検®による英語試験免除の優遇措置を行っている主な中学校の例をまとめました。
英語試験が免除されるのは「英検®準2級以上〜」が多く、小学生にとっては難易度が高いと言えます。
ただし、試験と違って英検®は何度も挑戦できるため、受験を見据えて早い段階から取得の準備を始めることも可能
です。一回限りの英語試験に不安がある子どもにとって、英検®の取得は心強い武器となるでしょう。
その他の優遇措置
英検®の取得によって、奨学金制度や特待生制度などの優遇措置が受けられる場合もあります。
以下に、英検®による奨学金制度や特待生制度などの優遇措置を行っている主な中学校の例をまとめました。
受けられる奨学金の内容は学校によって異なりますが、一般的には取得級の難易度が上がるほどより良い条件の支援を受けられる傾向にあります。
入学金や授業料などに関する支援を受けられれば学費の負担を軽減できる
ため、経済的な面でも大きな助けとなるでしょう。
また、特待生制度を設けている学校もあり、学費免除や特別なプログラムに参加できる機会が与えられる場合もあります。
これらの制度を活用することで学業に専念しやすくなり、より良い学習環境を整えられるでしょう。
英検®の難易度はどれくらい?小学生の英検®対策のポイント
ここまで、英検®の取得によって中学受験が有利になることを解説しました。ここからは、英検®の実際の難易度について解説します。
- 5級|中学初級レベル:単語を覚える
- 4級|中学中級レベル:単語と文法を覚える
- 3級|中学卒業レベル:反復練習で新しい問題形式に慣れる
- 準2級|高校中級レベル:読解力をつける
- 2級|高校卒業レベル:幅広い分野の知識をつける
どのような対策が必要なのかについても解説しています。各級のポイントをしっかり理解し、中学受験に向けて英検®の準備を万全に整えましょう。
5級|中学初級レベル:単語を覚える
英検®5級の難易度は中学初級レベルで、英語を習い始めた方の基礎固めにぴったりの級といえます。初歩的な問題が多く、単語の意味や発音を理解していれば比較的簡単に解けるでしょう。
英検®5級の試験内容を以下にまとめました。
測定技能 | 形式・課題 | 試験時間 |
リーディング | 短文の空所補充 | 25分 |
リーディング | 会話文の空所補充 | 25分 |
リーディング | 短文の語句整序(日本文つき) | 25分 |
リスニング | 会話の応答 | 約20分 |
リスニング | 会話の内容一致 | 約20分 |
リスニング | イラストの内容一致 | 約20分 |
試験内容は主にリーディングとリスニングで、リーディングでは文章の空所補充や語句の整序、リスニングでは会話の応答や内容一致の問題が出題されます。出題されるテーマとしては、家族や趣味、スポーツなどの身近な話題が多い傾向にあるでしょう。
英検®5級の対策としては、単語をしっかり覚える
ことが大切です。特に、出題テーマに多い身の周りの物や人、日常の動作を表す単語を中心に覚えると良いでしょう。
単語帳を利用する場合は、子どもの好きなデザインやイラストのものを選ぶと、楽しく単語を覚えられます。
4級|中学中級レベル:単語と文法を覚える
英検®4級の難易度は中学中級レベルです。5級より少し難易度は上がるものの、基礎をしっかり固めれば小学生でも十分に合格が目指せるでしょう。
英検®4級の試験内容を以下にまとめました。
測定技能 | 形式・課題 | 試験時間 |
リーディング | 短文の空所補充 | 35分 |
リーディング | 会話文の空所補充 | 35分 |
リーディング | 短文の語句整序(日本文つき) | 35分 |
リーディング | 長文の内容一致 | 35分 |
リスニング | 会話文の応答 | 約30分 |
リスニング | 会話の内容一致 | 約30分 |
リスニング | 文の内容一致 | 約30分 |
試験内容は、英検®5級と同じリーディングとリスニングが中心です。ただし、単語に加えて基礎的な文法の理解も必要になり、内容もより実用的になるため注意しましょう。
英検®4級の対策としては、単語と文法をしっかり覚えて基礎力を伸ばす
ことが大切です。英検®4級で覚えておきたい文法としては、主に以下が挙げられます。
- 三人称単数
- 過去形
- 未来形
- 現在進行形
- 比較級・最上級
文法の習得が十分でないと語句の並び替えでつまずく可能性があるため、少なくとも上記のような文法はしっかりマスターしておきたいところです。
英検®4級の難易度は中学中級レベルであるため、中学2年生で習う英語の範囲を中心に学習すると、試験問題に対応しやすくなるでしょう。
3級|中学卒業レベル:反復練習で新しい問題形式に慣れる
英検®3級の難易度は中学卒業レベルのため、中学校で習う内容の大部分を理解しておく必要があります。3級からは筆記試験に加えて二次試験としてスピーキングテストが追加されるのも特徴です。
英検®3級の試験内容を以下にまとめました。
▼一次試験
測定技能 | 形式・課題 | 試験時間 |
リーディング | 短文の空所補充 | 65分 |
リーディング | 会話文の空所補充 | 65分 |
リーディング | 長文読解 | 65分 |
ライティング | Eメール返信 | 65分 |
ライティング | 英作文 | 65分 |
リスニング | 会話の応答 | 約25分 |
リスニング | 会話の内容一致 | 約25分 |
リスニング | 文の内容一致 | 約25分 |
▼二次試験
測定技能 | 形式・課題 | 試験時間 |
スピーキング | 音読 | 約5分 |
スピーキング | 音読内容についての質問 | 約5分 |
スピーキング | イラストについての質問 | 約5分 |
スピーキング | その他 | 約5分 |
試験内容は、4級や5級と同じリーディング・リスニングに加えて、ライティング・スピーキングが追加された4技能。出題されるテーマとしては、海外の文化や歴史など、身近な話題以外のものも選ばれる傾向にあります。
その他、文法の出題範囲に現在完了形が追加されるのも特徴です。日本語には概念がない現在完了形は挫折しやすい文法表現のため、しっかりと理解しておく必要があります。
英検®3級の具体的な対策としては、練習問題や過去問演習を繰り返し行い、問題に慣れておく
ことが大切です。
英検®3級は、4級・5級にライティングやスピーキングなど新しく追加される技能や出題形式が多くあります。過去の面接や英作文の問題を繰り返し行い、スピーキングの形式や英作文の構成、書き方に慣れましょう。
準2級|高校中級レベル:読解力をつける
英検®準2級の難易度は高校中級レベルです。試験問題・出題テーマともに3級から一気に難しく複雑になるため、より高度な英語力が求められます。
英検®準2級の試験内容を以下にまとめました。
▼一次試験
測定技能 | 形式・課題 | 試験時間 |
リーディング | 短文の空所補充 | 80分 |
リーディング | 会話文の空所補充 | 80分 |
リーディング | 長文の空所補充 | 80分 |
リーディング | 長文読解 | 80分 |
ライティング | Eメール返信 | 80分 |
ライティング | 英作文 | 80分 |
リスニング | 会話の応答 | 約25分 |
リスニング | 会話の内容一致 | 約25分 |
リスニング | 文の内容一致 | 約25分 |
▼二次試験
測定技能 | 形式・課題 | 試験時間 |
スピーキング | 音読 | 約6分 |
スピーキング | 音読内容についての質問 | 約6分 |
スピーキング | イラストについての質問(行動) | 約6分 |
スピーキング | イラストについての質問(状況) | 約6分 |
スピーキング | その他(音読文やイラストに関する) | 約6分 |
スピーキング | その他(音読文やイラストには関係しない内容を含む) | 約6分 |
試験内容は長文の読解や穴埋め問題など、ある程度長い文章を読んで答える問題が多くなることから、内容を理解するには語彙力が不可欠です。
さらに、説明文や図表の読み取り問題が出題されることもあり、語彙力だけでなくさまざまなデータを読み解く読解力も必要です。
英検®準2級のおすすめの対策法は、さまざまなテーマの文章に触れて長文の読解力をつける
ことです。新聞記事や英語の小説、インターネットの英語記事などを読み、長文の読解に慣れましょう。
また、知らない単語がある場合は、文脈から意味を推測できるように訓練するのも大切です。意味を推測しながら内容を素早く理解できるようにしておけば、試験本番にわからない単語があっても時間内に解き切ることができるでしょう。
2級|高校卒業レベル:幅広い分野の知識をつける
英検®の難易度は高校卒業レベルです。
大学入学共通テストや、大学入学試験の内容と重なる部分が多く、幅広い分野の知識と高度な英語力が求められるため、小学生が英検®2級を取得するのはかなり難しいといえるでしょう。
ただし、中学受験に英検®が使える中学校では、英検®2級を取得していると英語試験が免除されたり、奨学金や特待生制度を利用できたりする場合があります。
特に、英語に力を入れている中学校や、先進的な教育カリキュラムを採用している中学校の受験を検討している場合は、英検®2級を積極的に取得しましょう。
英検®2級の試験内容を以下にまとめました。
▼一次試験
測定技能 | 形式・課題 | 試験時間 |
リーディング | 短文の空所補充 | 85分 |
リーディング | 長文の空所補充 | 85分 |
リーディング | 長文の内容一致 | 85分 |
ライティング | 英文要約 | 85分 |
ライティング | 英作文 | 85分 |
リスニング | 会話の内容一致 | 約25分 |
リスニング | 文の内容一致 | 約25分 |
▼二次試験
測定技能 | 形式・課題 | 試験時間 |
スピーキング | 音読 | 約7分 |
スピーキング | 音読内容についての質問 | 約7分 |
スピーキング | イラストについての質問 | 約7分 |
スピーキング | その他(音読文やイラストに関する) | 約7分 |
スピーキング | その他(音読文やイラストには関係しない内容を含む) | 約6分 |
試験内容は英検®準2級とほとんど変わりませんが、新たに英文を要約する問題が追加されます。長文を読んで内容を早く、正確に理解する必要があり、準2級より高度な読解力が求められるといえるでしょう。
出題されるテーマは、環境問題や科学、医療、歴史など社会問題に関するものが主です。英語力があったとしても、社会問題に関する知識が少ないとライティングやスピーキングの試験でつまづいてしまうため注意しましょう。
対策としては、ニュースや新聞でさまざまな社会問題についての理解を深める
ことが大切です。知識を深めることはもちろん、さまざまな問題に対して自分の意見を持ち、英語で伝えられるように日頃から訓練しておきましょう。
中学受験に向けた英検®取得に関するよくある質問
中学受験に向けての英検®対策に関するよくある質問をまとめました。
- 中学受験に向けて英検®はいつ受検するべき?
- 英検®対策は塾や家庭教師を利用するべき?
各質問について、以下で詳しく見ていきましょう。
Q.中学受験に向けて英検®はいつ受検すべき?
英検®は受検してから合格証が手元に届くまでにある程度の時間がかかるため、中学受験に使う場合は、計画的に取得する必要があります。
まずは、受験する中学校の受験要項を確認し、いつまでに合格証が必要かを確認しましょう。
受験要項を確認する際にチェックしておきたいポイントは、次のとおりです。
- 必要な英検®級
- 出願時に合格証が必要か
- 出願時期
- 試験日
上記の内容を確認したうえで、必要なタイミングで合格証を手元に置いておけるように、逆算して英検®取得の計画を立てましょう。
また、英検®3級以上は二次試験が追加される
ことから、余裕を持って英検®を取得する必要があります。出願の直前になって焦ることがないように、計画的に勉強を進めましょう。
Q.英検®対策は塾や家庭教師を利用するべき?
塾や家庭教師を利用することで、英検®の勉強をよりスムーズに、そして効果的に進めることができます。特に、英検®の二次試験の対策は独学で行うのが難しく、英検®に特化した、質の高いサポートが受けられることが重要です。
塾では、体系的なカリキュラムに沿って同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨しながら勉強できる環境が整っています。仲間の存在が刺激になって学習がスムーズに進むタイプの子どもは、塾で英検®対策を受けると良いでしょう。
また、家庭教師は一人ひとりのペースに合わせた指導を受けられる
メリットがあります。
苦手な技能や単元などを重点的に学習できるため、自宅で集中できる環境が整っている場合は、家庭教師による英検®対策を受けると良いでしょう。
トライのオンライン個別指導塾では「トライ式英検®対策」で合格に必要な学習ができる
英検®対策として塾や家庭教師の利用を考えているのであれば、トライのオンライン個別指導塾がおすすめです。
独学では対策しづらいライティングやスピーキングにも対応しており、英検®の最新の出題傾向に合わせた指導が受けられます。
また、オンライン授業なのでPC・タブレット・スマートフォンがあれば全国どこからでも受講できる
のも魅力。
時間や場所を選ばずに学習ができるため、忙しいスケジュールの中でも効率的に英検®の合格が目指せるでしょう。
まとめ
本記事では、英検®が中学受験にどのように役立つのか、具体的な優遇措置や取得すべき級を解説しました。
英検®を取得していると、中学受験で以下のような優遇措置を受けられる可能性があります。
- 受験資格を得られる
- 得点加点や判定優遇を受けられる
- 英語試験免除を受けられる
- その他の優遇措置
中学受験でこれらの優遇措置を受けたい場合は、英検®4級以上の取得をおすすめします。ただし、優遇措置や対象となる級は学校によって異なるため、中学校の受験要項を確認してください。
本記事を参考に級ごとの対策ポイントを押さえ、英検®で中学受験を有利に進めましょう
。