「高校受験対策はいつから始めるべきだろう」と悩む中学生や保護者は少なくありません。
今回の記事では、高校受験の対策について次の3点を解説します。
- 受験勉強の開始時期
- 各学年の受験勉強の進め方やコツ
- 志望校合格に必要な心構え
中3から始めても間に合う可能性もありますが、志望校によっては中1から受験を意識した方が良い場合
も。
この記事を通じて、いつから対策を始めるべきかを理解しましょう。
高校受験の勉強はいつから始めるべき?中3からでも間に合う?
高校受験対策の開始時期は、以下の4点を押さえた上で考えると良いでしょう。
- 高校受験の入試内容や日程・スケジュール
- 中学3年生の春~夏ごろから始めるケースが多い
- 内申点対策をしたい場合、開始時期は早ければ早いほど良い
- 難関校対策は中学3年生からだと間に合わない場合も
高校受験の入試内容や日程・スケジュールは?
まずは高校受験の入試内容や日程・スケジュールを確認しましょう。
学校によって異なるものの、おおむね以下のようなスケジュールで実施することが多い傾向にあります。
公立高校の入試は1月下旬~3月中旬
公立高校の入試は、多くが1月下旬から3月中旬にかけて実施されます。
推薦入試(前期入試)が1月下旬から2月中旬、一般入試(後期入試)が2月中旬から3月中旬におこなわれます。
入試日程は入試方式や都道府県によって異なるため、各都道府県の教育委員会の入試要項を通じて詳細を確認しましょう
。
地域によって、入試内容は異なります。一般的な推薦入試の場合、調査書の内容に加えて面接・小論文で合否が決まることがほとんどです。
しかし、宮崎県など一部の都道府県では筆記試験も評価に含まれることがあります。
参照:「令和6年度宮崎県立高等学校 推薦・連携型入学者選抜 募集人員割合及び検査内容 」宮崎県
また茨城県などでは、受験生のさまざまな個性や能力を独自に評価する「特色選抜」を採用しています。
私立高校の入試は1月上旬~2月中旬
私立高校の入試日程は公立高校より早く、1月上旬から2月中旬に行われるのが一般的です。
推薦入試が1月上旬から2月上旬、一般入試が1月下旬から2月中旬に実施されます。
私立高校は、第二志望校として考えている人もいるでしょう。
ただ、第一志望校が公立高校であっても、万が一のことを考えて私立高校の入試日程を把握しておくことも大切
です。
中学3年生の春~夏ごろから受験対策を始めるケースが多い
一般的に、受験学年に上がる中学3年生になってから、部活の引退などに合わせて高校受験の対策を始める人が大半です。
国立教育政策研究所が実施した「高等学校教育課程実施状況調査」では、『3時間以上勉強する』と回答した人の割合が中学1年生では5.0%、中学2年生では4.6%、中学3年生では23.6%と、3年生で大幅に学習時間が増えていることがわかります。
一方で「部活の引退を待っていては遅いかも」と不安に感じる保護者や子どもも。実際、部活を引退してから始めようと思っても学習習慣がなかったり、基礎ができていなかったりして、なかなか本格的な入試対策に取り掛かれない受験生も少なくありません。
もちろん、部活動で疲れて集中できないまま、夜遅くまで机に向かい、学校の授業や部活に悪影響が出ては本末転倒です。
効率よく学習したり、最低限の学習習慣をつけるためにも塾に通うべきかどうか
はよく検討しましょう。
受験勉強に取り組む場合、目安となる学習時間は中学3年生で1日2時間半です。
内申点対策の開始時期は早ければ早いほど良い
中学3年生の春から夏にかけて受験勉強を始めるケースが多いですが、内申点対策をするなら受験勉強の開始時期は早い方が良いでしょう。
多くの都道府県では、中学1・2年生の成績も評価に含まれます。
評価対象 | 都道府県 |
全学年の成績 | 北海道、青森、岩手、宮城、秋田、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、新潟、石川、山梨、岐阜、滋賀、京都、大阪、和歌山、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、沖縄 |
中学2・3年生の成績 | 神奈川、富山、奈良 |
中学3年生の成績 | 山形、東京、福井、長野、静岡、愛知、三重、兵庫、鳥取、福岡、鹿児島 |
中学3年生以外の成績も評価対象となる地域で高校受験をする場合は特に、中学1・2年生の段階から授業や提出物、定期テストで良い評価を得るよう励みましょう。
また、中学3年生の成績だけが評価される場合でも、1・2年生の内から定期テスト対策などのやり方を身につけておくことは重要
ですので、意識しておく方が良いでしょう。
難関校対策は中学3年生からだと間に合わない場合も
難関校合格を目指す場合、中学3年生からでは受験対策が間に合わないことも。実践力や応用力が必要な問題が出題されるためです。
中学1・2年生で計算力や英文法の基礎を固めて、3年生で志望校の入試傾向に合わせた応用問題に取り組むことが望ましいです。
志望校の難易度や入試傾向を早めに把握し、合格に向けて長期的な学習計画を立てましょう
。
【学年別】受験に向けた勉強の進め方・コツ
学年ごとに受験に向けた勉強の進め方やコツは異なります。各学年の勉強で重要視すべきポイントは以下の3点です。
- 中学1年生では基礎固め・土台作りを行う
- 中学2年生では部活動・学校行事との両立がカギ
- 中学3年生では志望校合格に向けて本格的に受験勉強を開始
中学1年生では基礎固め・土台作りを行う
中学1年生では高校受験に向けた基礎固め・土台作りを行いましょう。中学1年生で学習する内容はその後のすべての基盤となります。
たとえば、中学1年生で学ぶ英語のbe動詞や一般動詞は英語学習の基礎。のちに学ぶ動詞の過去形や未来形につながります。
be動詞や一般動詞の理解が不十分だとその後の学習に影響を及ぼす可能性
があります。
基礎固めには日々の積み重ねが欠かせません。そのため、以下の3点を心がけましょう。
- 日々の授業に集中する
- 授業の予習・復習をする
- 宿題は必ず行う
また、高校受験では内申点が重要視されます。中学1年生の成績が評価の対象になることも多いため、早めに勉強を始めるのが合格への近道。
中学1年生からきちんと学習習慣をつけましょう。
中学2年生では部活動・学校行事との両立がカギ
中学2年生は部活動や学校行事が忙しくなるため、勉強と両立できるかがポイントです。
また中学2年生になると学習内容も難しくなります。苦手科目や理解できないところを放置せず、わかるまで勉強しましょう。
特に受験に頻出する数学の1次関数や連立方程式、英語の不定詞や動名詞は多くの子どもがつまずきます。
現時点で学習面に不安がある場合、学習塾へ通うことも検討
しましょう。
中学2年生は部活動や学校行事で勉強がおろそかになりやすい時期。中学2年生のうちに勉強に取り組めば、合格に向けて一歩リードできます。
中学3年生では志望校合格に向けて本格的に受験勉強を開始
中学3年生になると部活動も引退し学校行事も一段落つくため、受験勉強を本格化させる絶好の機会です。
夏休みに中学1・2年生の内容を含めた総復習を行い、中学3年生の秋からは応用問題や公立高校入試の過去問に取り組めるように学習に取り組みましょう。
志望校の入試内容に特化した対策も欠かせません。
たとえば、北海道にある札幌北高校は英語と数学の配点を2倍にする「傾斜配点」を導入しています。このような場合は勉強時間の配分にも工夫が必要です。
公立高校入試では模試の利用も重要
です。
多くの都道府県では、東京都の「Vもぎ」や、埼玉県の「北辰テスト」、北海道の「北海道学力コンクール(道コン)」など、公立高校の受験を想定した模試が実施されています。
志望校合格を目指す中学生が意識すべき6つの心構え
志望校に合格するために、日頃から意識すべきポイント
が6つあります。
- 目標を決めて計画を立てる
- 勉強習慣を早めにつける
- 学校の授業・定期テストをきちんと受ける
- 苦手科目は放置せず対策する
- 英語・数学は早めに対策を始める
- 効率よく成績アップしたい場合は塾を活用する
目標を決めて計画を立てる
まずは目標となる志望校を決め、学習計画を立てます。
志望校が決まれば自ずと目指すレベルが明確になり、実力や受験までの日程を考慮した学習計画をスムーズに立てられるでしょう。
受験まで時間のある中学1・2年生や志望校をすぐに決めるのが難しい場合は、ひとまず目指すレベルをイメージし、目標達成に向けた学習計画を立てると勉強しやすいです。
また目標は志望校に関してだけでなく、定期テスト全教科で80点を取る、成績でオール4を目指すなどといった具体的で身近な目標にするとやる気を維持できる
でしょう。
勉強習慣を早めにつける
勉強習慣は一朝一夕で身につくものではないため、早い段階から机に向かって勉強に取り組むのが理想。
習慣づけのために5分だけでも毎日勉強する、週末に1週間の復習を行うなど、小さな目標を設定して勉強に取り組みましょう。
また勉強に集中できる環境を作ることも大切
。静かな場所で集中力を発揮する子どももいれば、人の目があるリビングの方が集中できる子どももいます。
そのため、保護者は子どもが勉強しやすい環境を整えてあげましょう。
換気や室温の調整だけでも、子どもの集中力を高める効果が期待できます。
オンライン家庭教師なら自宅での学習習慣をつけられる
子どもに自宅での学習習慣をつけさせたいなら、オンライン家庭教師がおすすめ。
オンライン家庭教師では自宅でハイレベルな授業が受けられるため、自宅で集中して勉強に取り組めます。
また、自宅で学習できる環境づくりにもつながるため、自宅での学習習慣をつけることにも役立ちます
。
自宅での学習習慣をつけるのが難しいと感じている場合は、オンライン家庭教師の利用を検討しましょう。
学校の授業・定期テストをきちんと受ける
志望校合格のためには、学校の授業や定期テストに真剣に取り組むことが重要です。
受験問題のほとんどは学校の授業内容にもとづいて作られています。そのため、授業内容をきちんと理解すれば、受験問題の多くは対応可能
です。
日ごろの学習態度や定期テストの結果も、受験で重要視されている内申点として評価されます。
特に定期テストは成績に大きく影響するため、計画を立てて試験の数週間前から対策を始めましょう。
苦手科目は放置せず対策する
苦手科目は成績を伸ばすのに時間がかかるため、放置せずに早めに対策しましょう。特に基礎が欠けていると、のちの学習にも影響を及ぼす可能性があります。
数学を例に挙げると、中学1年生の正負の数が理解できていないと、2年生の連立方程式や3年生の2次方程式が解けません。
そのため、苦手単元を早めに克服して備えておくことが大切
です。
英語・数学は早めに対策を始める
苦手科目と同じように、英語・数学も早めに対策を始めましょう。英語と数学は学習したことを活用して新しいことを学んでいく「積み上げ型の科目」だからです。
英語なら中学1年生の最初に学習する「be動詞」や「一般動詞」の内容を踏まえて、「動詞の過去形」や「未来形」「助動詞」「疑問詞」を学びます。
また、数学では中学1年生で学ぶ「文字式のきまり」や中学2年生で学ぶ「式の計算」が、3年生で学ぶ「2次方程式」などの重要事項の前提となっています。
単元が進んでから苦労しないように、英語と数学は早い段階から対策を行いましょう
。
国語・理科・社会は短期集中で対策する手も
理科・社会は暗記する内容が多いため、内容を理解して正しく暗記することができれば、英語と数学に比べて短期間で点数を伸ばせる性質を持っています。
そのため、テストで問われやすい項目を短期間で暗記する対策も可能
です。
とはいえ中学3年間分の広範囲を対策する必要があり、直前の暗記では限界があります。
暗記漏れが起こらないように、授業を通じて科目の理解を深めながら覚えましょう。また、定期的に復習することで長期的な記憶の定着につながります。
効率よく成績アップしたい場合は塾を活用する
苦手科目や学力に不安がある、あるいは正しい勉強方法がわからない場合、塾を活用しましょう。
塾では自力では理解できない問題を解決に導いてくれたり、詳細な受験情報をもとに志望校の相談に応じてくれたりなど、受験全般のサポートを受けられます。
さらに同じ目標を持つ子どもたちと一緒に学ぶことで、モチベーションの維持や学習意欲の向上も期待できる
でしょう。
トライのオンライン個別指導塾は子どもに合った学習指導が可能
トライのオンライン個別指導塾では中学生向けに5つのコースを用意しているため、子どもの目標や状況に合わせた指導を受けられます。
コース名 | 特徴 |
定期テスト対策コース | 苦手科目の克服、得意科目の強化が可能 |
さかのぼり学習コース | 学年をさかのぼり、苦手科目を克服 |
高校入試対策コース | 志望校合格に向けて、内申点対策から私立入試の対策まで実施 |
中高一貫校専門対策コース | 学校の特徴に合わせた授業が可能 |
難関高校入試対策コース | 過去問を細かく対策 |
また、指導を担当するのは厳しい学力試験や面接を突破した教師のみ。採用後の研修も行っているため、質の高い授業が提供できます。
オンラインでの個別指導はトライにお任せください。
高校受験対策に関するよくある質問
高校受験対策に関して、よくある2つの質問
を解説します。
- Q.中学生の通塾率はどれくらい?
- Q.公立高校・私立高校で受験対策は異なる?
Q.中学生の通塾率はどれくらい?
文部科学省が令和3年に実施した調査によると、中学生の通塾率は以下の通りです。
学年 | 公立中学生 | 私立中学生 |
中学1年生 | 57.8% | 51.6% |
中学2年生 | 69.2% | 53.4% |
中学3年生 | 84.0% | 56.7% |
中学生全体 | 70.3% | 53.9% |
参照:『子供の学習費調査:文部科学省』令和3年、文部科学省
公立中学校の生徒は、中学1年生の段階で半数以上が、中学3年生になると8割以上が塾に通っています。
一方私立中学生の場合、中学3年間を通して半数程度にとどまっています。これは一貫校への進学を予定していたり、学校で十分な勉強ができていたりするためと考えられます。
塾へ通うことは必須ではありません。ですが、「高校受験対策を効率的に進めたい」「受験に特化したサポートを受けたい」など受験対策をしたい場合や、「定期テスト対策をしたい」「授業フォローを受けたい」など内申点対策や基礎理解をしたい場合は、塾へ通うことを検討しましょう。
特に公立中学校の生徒は、学校の授業で受験対策をするのが難しい場合もあるため、必要に応じて高校受験対策の塾を活用することをおすすめします。
Q.公立高校・私立高校で受験対策は異なる?
公立と私立では受験に必要な教科数の傾向や受験問題が異なるため、求められる受験対策も異なります。
公立高校では5教科受験が一般的ですが、私立では英数国の3教科で受験できる高校が多いです。しかし、私立高校でも5教科受験を課すところが増えているため、事前に受験教科を確認すると良いでしょう。
受験問題に関しては、公立高校入試では都道府県内で同じ問題を使うことが多く、私立高校では学校ごとに入試問題を用意する傾向があります。
特に私立高校では、独自の応用問題を出題することもあるため、特別な対策が必要な場合もあります。
まとめ
今回の記事では、中学生が高校受験対策を始めるべき時期や各学年の勉強方法、必要な心構えを解説しました。ポイントは以下の3つです。
- 中学3年生の春から夏にかけて受験勉強を始めるのが一般的だが、難関校合格や内申点対策を考えるなら早い時期から対策を始めるべき
- 中学1年生では基礎固め、中学2年生では部活動や学校行事との両立、中学3年生では志望校合格に向けた本格的な勉強が重要
- 目標設定、勉強習慣の早期形成、授業と定期テストへの取り組み、苦手科目の克服、英語と数学の早期対策、塾の活用が受験成功のカギ
高校受験を突破するのには、ふさわしい時期にふさわしい対策を行うことが大切です。
また、保護者は子どものために勉強に集中できる自宅環境をつくったり、通塾を検討したりといったサポートをすると良いでしょう。
この記事を参考に、高校受験対策をスムーズに進めてくださいね。