「このままでは高校を中退することになりそうだが、将来が不安」
「高校中退後の進路にはどのような選択肢があるのか知りたい」
「高校を中退することでどのようなデメリットがあるのか知りたい」
このような悩みを抱えている生徒や保護者の方もいるでしょう。
高校生活を送っていると、さまざまな事情で中退を検討しなければいけないこともあるでしょう。大切なのは、中退後の進路を理解し、本当に中退すべきかを深く考えたうえで未来に向かって前向きに進む姿勢です。
本記事では、高校中退者の実状や中退後の進路、中退によって生じるデメリット
を詳しく解説します。高校中退後の具体的な選択肢やリスクについて知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
高校を中退した人はどれくらい?高校中退者の実際の進路とは
高校中退を検討している方の中には、「中退を考えているのは自分だけかもしれない…」と不安な方もいるかと思います。しかし実際のところ、何らかの事情によって高校を中退することはそこまで珍しくありません。
そこでここでは、高校を中退した人の割合について解説します。
高校を中退した人は実際どれくらいいる?
文部科学省の調査を参考に、高校を中退した人数と割合を年度別にまとめました。
年度 | 中退者 | 中途退学率(※) |
令和元年度 | 42,882人 | 1.3% |
令和2年度 | 34,965人 | 1.1% |
令和3年度 | 38,928人 | 1.2% |
令和4年度 | 43,401人 | 1.4% |
調査結果によると、令和4年度に高校を中退した人数は43,401人、中途退学率は1.4%となっています。令和2年度から見てみると、少しずつ増えている
ことがわかります。
参照:文部科学省「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」
高校を中退した人の中退理由は?
文部科学省の同調査を参考に、令和4年に高校を中退した人の主な中退理由を以下にまとめました。
- 進路変更……43.9%
- 学校生活・学業不適応……32.8%
- 学業不振……6.0%
- 病気・けが・死亡……4.9%
- 家庭の事情……3.3%
- 問題行動など……2.8%
- 経済的理由……1.4%
「進路を変更したい」「学校生活や学校の勉強が合わなかった」といった理由で高校を中退する人が多い
ようです。また、「留年した」「卒業できなかった」など、学業不振に関するものも、中退を検討する理由の一つです。
参照:文部科学省「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」
高校中退後の進路は?主な3つの選択肢
何らかの事情で高校を中退しても、将来が閉ざされるわけではありません。以下のように、さまざまな選択肢があります。
- 別の高校に編入・転入する
- 就職する
- 高卒認定試験に合格して大学・専門学校への進学を目指す
中退後にどのような選択肢があるのかを知り、それに向けて準備することで、より良い選択ができるでしょう。
「高校を中退しようと思っているものの、将来が不安」「中退後の見通しが立っていない」という方は、ぜひ参考にしてください。
1.別の高校に編入・転入する
まず、別の高校に編入または転入する選択肢です。編入は通っている学校を退学して別の学校に再入学すること、転入は通っている学校から別の学校に転校することを指します。
別の高校に編入または転入するメリットは、高卒資格が取得できる点です。高校を卒業していれば、大学や専門学校への進学ができる他、高卒資格が求められる職種への就職も目指すことができます。
そのため、将来の選択肢を広げたい場合は、別の高校への編入・転入の検討をおすすめ
します。
アメリカやカナダ、オーストラリアなど海外の高校に進学すれば語学力が向上するため、将来のキャリアの選択肢が大きく広がるでしょう。また、国内での経験をリセットし、新しい環境で生活を再スタートできるのも魅力です。
編入・転入先は通信制高校がおすすめ
別の高校に編入、または転入する場合は、単位制を採用している通信制高校がおすすめ
です。
全日制や定時制高校は学年制の学校が多く、学年ごとに決められた単位を取得しなければ進級や卒業ができません。一方、通信制高校は単位制を採用しており、卒業要件を満たせば卒業できます。
編入・転入の時期によっては、前の学校の在籍期間や取得した単位を引き継ぐことで、3年間での卒業も目指せるでしょう。
また、通信制高校は、全日制や定時制高校に比べて通学の頻度が低いのも特徴です。そのため、以下のような事情で通学が難しい場合でも、卒業を目指しやすいと言えるでしょう。
- 不登校の経験があり通学に不安がある
- 起立性調節障害で朝起きられない
- 体調が優れない
- 仕事と両立したい
- 芸能活動・スポーツ活動と両立したい
- 資格取得と両立したい
上記のような事情があるものの、高卒資格を取得したいと思っている方は、通信制高校への編入・転入をおすすめします。
通信制高校について詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてご確認ください。
「トライ式高等学院」は「家庭教師のトライ」の学習ノウハウを凝縮した通信制サポート校
参照:通信制高校で大学進学|通信制高校・サポート校のトライ式高等学院
トライ式高等学院は、家庭教師のトライから生まれた通信制高校サポート校です。家庭教師のトライの学習ノウハウを活かし、通信制高校の卒業に向けた学習をサポート
します。
また、目指す進路に合わせてコースが選べるのも、トライ式高等学院の特徴の一つです。高校卒業を目指す「普通科」と、大学進学を目指す「特進科」からコースを選択できるため、自分のペースで学習を進められるでしょう。
2.就職する
就職も、高校を中退したあとの選択肢の一つです。
若いうちから働くことで社会経験を積むことができ、学校では学べない仕事での知識やスキルを早期に習得できます。ビジネスマナーや情報処理能力、リーダーシップなどのスキルは、将来のキャリアにおいても大きな武器になるでしょう。
また、経済的に自立できる
のも、中退後に就職するメリットです。生活費や趣味に使えるお金が増えることにより、親に頼らずとも自分で生計を立てられるようになります。
アルバイトよりも収入が増えるため、将来の夢や目標がある場合の貯金もしやすくなるでしょう。
3.高卒認定試験に合格して大学・専門学校への進学を目指す
何らかの事情があって高校に通い続けるのは難しいものの、大学や専門学校への進学を目指したい場合は、高卒認定の取得がおすすめです。
大学や専門学校を受験するには、高卒認定試験に合格し、高卒認定を取得する必要があります。高卒認定に合格すると高校卒業と同等の学力があると認められるため、自分の興味・関心のある大学や専門学校で、学びをさらに深めることができるでしょう。
高卒認定試験は、8月と11月の年に2回実施され、受験する年度内に満16歳以上になる方(大学受験資格を持たない)
であれば誰でも受験できます。
高卒認定試験に合格すると、進学以外に高校卒業を受験資格とする公務員試験の受験も可能です。将来の選択肢を広げたい方は、高卒認定試験の受験を検討してみると良いでしょう。
高卒認定試験について詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてご確認ください。
高等専修学校を受験する手も
高等専修学校を受験するのも、選択肢の一つです。一般的な専門学校は高校を卒業しなければ受験できませんが、高等専修学校は中学校を卒業していれば受験でき、専門学校のように実践的な職業教育や専門的な技術教育を受けることができます。
高等専修学校では、高校の一般教養(国語・数学など)に加え、美容やデザイン、調理などの専門的な分野を学ぶことができます。早い時期から専門的な知識を取得できるのは、大きな魅力と言えるでしょう。
また、3年以上のコース(文部科学大臣が指定する課程)を修了すると、高校卒業者と同じように大学入学資格が得られる
ため、卒業後に他の専門学校や大学への進学も目指せます。
トライ式高等学院では「高卒認定」と「高卒資格」のどちらも目指せる
参照:通信制高校で大学進学|通信制高校・サポート校のトライ式高等学院
トライ式高等学院では、高卒認定と高卒資格の両方を目指すことが可能
です。
高卒認定と高卒資格のどちらを取得すべきかは、個々の状況や目標によって異なります。
通信制高校サポート校のトライ式高等学院では、高卒資格と高卒認定のどちらを目指すかを、専任の講師と一緒にじっくり考えることが可能です。また、個別カリキュラムのため、途中で変更したり両方を目指したりすることもできます。
高卒認定や高卒資格の取得を検討している方や通信制高校サポート校に興味がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
高校中退をする4つのデメリット
高校中退を検討している方は、さまざまな事情や悩みを抱えていることでしょう。しかし、決断する際は、高校中退がもたらすデメリットについても理解し、慎重に検討することが大切です。
ここでは、高校を中退するデメリットを4つ説明します。
- 大学や専門学校の受験資格を得られなくなる
- 資格取得が難しくなる場合がある
- 就職・収入に影響を及ぼす可能性がある
- 高校の友達と疎遠になることがある
以下で、それぞれのデメリットを詳しく見ていきましょう。
1.大学や専門学校の受験資格を得られなくなる
大学や専門学校に進学するには、高卒資格もしくは高卒認定の取得が必要です。
高校を卒業すれば大学や専門学校の受験資格が得られますが、高校を中退した場合は受験資格を取得できません
。そのため、大学や専門学校への進学を考えている場合は、受験資格を得るところから目指す必要があるのです。
しかし、高校を中退したからといって進学を諦める必要はありません。高卒認定試験に向けた学習や、受験勉強に不安がある方は、学習・進学支援を行っているサポート校の利用がおすすめです。
支援体制を活用すれば、受験資格の取得や進学に向けて、効率的に学習を進められるでしょう。
2.資格取得が難しくなる場合がある
就職やキャリアアップに向けて資格の取得を目指す際、高校を中退していると資格取得が難しくなる場合がある
ため注意が必要です。資格によっては学歴に関係なく受験できるものもありますが、中には高卒資格を受験の条件としている場合があります。
高卒資格を条件としている資格の一例を以下にまとめました。
- 栄養士・管理栄養士
- 教員免許状
- 歯科衛生士
- 看護師
上記の資格を取得するには、高校卒業後、大学・短大・専門学校などで専門教育を受けたり、専門教育を受けた上で資格試験に合格したりする必要があります。
高校を中退したあとに上記の資格取得を目指す場合は、別の高校を卒業して高卒資格を取得する必要があります。もしくは、高卒認定試験に合格し、専門学校に進学して資格取得を目指すことも可能です。
これらの資格取得を検討している方は、中退した場合にどのような手順が必要なのかを知っておくと、将来の見通しが立てやすくなるでしょう。
3.就職・収入に影響を及ぼす可能性がある
高校中退によって、就職や収入に悪影響が出る可能性もあります。求人によっては「高卒以上」を応募条件としている場合があり、希望する職業に就くのが難しくなることもあるでしょう。
また、最終学歴が中卒だと、高卒や大卒に比べて初任給が低く設定される場合があり、収入面でも不利になる可能性があります。
しかし、高校を中退したからといって、生涯にわたって就職や収入に悪影響が出るわけではありません
。
たとえば、高卒認定を取得し、大学や専門学校へ進学すれば就職の選択肢が広がります。その他、中卒で入った会社で社会人としての経験や実績を積むことにより、学歴に頼らないキャリアを築くこともできるでしょう。
4.高校の友達と疎遠になることがある
高校を中退すると、友達と一緒に過ごす時間が少なくなったり、進路の違いから共通の話題を持ちにくくなったりする
可能性があります。その結果、連絡を取る頻度が減り、疎遠になることがあるでしょう。
しかし、高校の友達と疎遠になることが必ずしも悪いわけではありません。仮に、このまま高校に通い続けて卒業したとしても、進路の違いで友達と疎遠になる可能性はあります。
そのため、中退したことによって高校の友達と疎遠になったとしても、そこまで思い詰める必要はありません。むしろ、新しい環境で出会った人と新たな友人関係を築くことも可能です。
その時々で出会う人とのつながりを大切にしながら、新しい道を歩んでいきましょう。
まとめ
本記事では、高校中退者の実状や中退後の進路、中退することで生じるデメリットについて詳しく解説しました。
高校を中退したあとの進路には、次のような選択肢があります。
- 別の高校に編入・転入する
- 就職する
- 高卒認定試験に合格して大学・専門学校への進学を目指す
高校を中退することは、決して悪いことではありません。中退によって新たな道が開ける場合もあります。
大切なのは、中退によって生じるデメリットや、中退後の進路を理解したうえで、自分に合った選択をすることです。
どのような選択をしたとしても、未来には新たな可能性が広がっていることを忘れずに、一歩一歩進んでいきましょう。