「発達障害の子どもの高校を、どのように選べばいいのかわからない」
「子どもに合った高校を選びたいけれど、発達障害の子どもの受験情報が少ない…」
発達障害またはグレーゾーンの子どもの進学先を考える際、どのような観点に注意すれば子どもに合った高校を選べるのかわからず、判断に迷う方も多いのではないでしょうか。
また、軽度の発達障害やグレーゾーンの子どもの受験情報は少ないため、高校受験の際にどのような配慮が受けられるのか不安な保護者の方も多いでしょう。
そこで本記事では、発達障害の子どもの高校選びについて、小中学校と高校の違いや選ぶポイントを詳しく解説します。
「軽度の発達障害やグレーゾーンの子どもが安心して過ごせる高校を選びたい」とお考えの方は、ぜひ参考にしてください。


この記事の目次
発達障害の子どもが高校に通うハードルとは?小中学校と高校の違い

前提として、発達障害の子どもでも高校に通うことは可能です。ただし、高校(特に全日制高校)は小中学校と比べて発達障害の子どもに対する支援が少なくなるため、その点を留意したうえで進学先を選ぶ必要
があります。
発達障害があっても全日制高校に進学できる可能性はありますが、入学後の生活や進路を考えると、無理なく卒業を目指せる通信制高校もおすすめです。
ここでは、発達障害の子どもが高校に通うハードルについて、以下の内容を解説します。
- 発達障害の子どもが全日制高校に通うハードル
- 学力・出席日数による高校留年の可能性
- 発達障害の子どもに通信制高校がおすすめの理由
全日制高校とその他の選択肢とで迷われている方は、ぜひ参考にしてください。
全日制高校では通級指導教室(通級)がないことがほとんど
小中学校には、普通学級や通常学級に在籍しながら特定の時間や科目のみ別の教室で学習する「通級指導教室(以下通級)」があります。そのため、基本的には他の子と一緒に学習や生活を行い、困りごとに応じて支援や配慮を受けられます。
高校では平成28年の法改正により「通級による指導」が制度化されました。しかし、令和元年の調査によると、通級が必要と判断された生徒に対し、通級による指導が行えなかった件数は全体の40%以上となっています。そのため、通級による指導を実施している全日制高校は多くない
といえるでしょう。
そのうえ、高校では中学校までと比べて学習内容がより複雑になるほか、自発的な活動も増えます。小中学校のように特性に応じたきめ細やかなサポートを受けられなくなることで、学習面や対人面において子どもが困難さやストレスを抱える可能性があるでしょう。
参照:
文部科学省「学校教育法施行規則の一部を改正する省令等の公布について(通知)」
文部科学省「高等学校及び中等教育学校における「通級による指導」実施状況調査 の実施について(結果)」
高校では学力・出席日数によっては留年の可能性も
通級がないことに加え、義務教育でないことも、発達障害の子どもが高校に通うハードルになります。
小中学校は義務教育のため、学力や出席日数が足りていなくても基本的に留年することはありません。しかし、高校は義務教育ではないため、成績が悪かったり出席日数が足りていなかったりすると進級できない可能性があるのです。
たとえばSLD/LD(限局性学習症/学習障害)の子どもは、特定の学習活動(読み・書き・計算など)が苦手です。また、ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)の子どもは、対人関係の構築に困難さを抱えるケースが多くあります。
こうした困難さは「高校の授業についていけない」「対人関係のトラブルによって不登校になる」といった問題の原因になる可能性
もあります。発達障害に対するサポートがないと、これらの問題から留年しやすくなります。
発達障害の子どもが無理なく卒業を目指すなら通信制高校がおすすめ
「通級がない」「学力・出席日数によっては留年する可能性がある」という点から、発達障害のある子どもが全日制高校に進学し、卒業するのは簡単ではないといえます。そこでおすすめなのが、通信制高校です。
通信制高校とは、スクーリング・レポート・テストの3つの方法で学習を進めるのが特徴の高校です。自宅学習が中心のため通学の頻度が少なく、卒業に必要な74単位を取得すると全日制高校を卒業した場合と同じように「高等学校卒業資格(高卒資格)」を得られます。
そのため「出席できるか不安」「授業についていけるか不安」という方でも、通信制高校なら自分のペースで無理なく高校卒業を目指せるでしょう。
発達障害の子どもに合った通信制高校選びのポイント

「自宅学習が中心」「留年がない」といった特徴から、通信制高校は自分のペースで高校卒業を目指したい発達障害の子どもにおすすめといえます。
ここからは、通信制高校を検討する方に向けて、高校選びの際に意識したいポイントを3つ解説します。
- 特性・困りごとに合った配慮があるか
- 通い方やカリキュラムを自由に選べるか
- 学習サポートが充実しているか
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
特性・困りごとに合った配慮があるか
「発達障害」と一口に言っても、子どもによって特性や困りごとはさまざまです。発達障害の種類と主な特性を以下にまとめました。
発達障害の種類 | 特性 |
ADHD(注意欠如・多動症) | ・気が散りやすい ・ケアレスミスが多い ・静かに座っていることや待つことが苦手 ・忘れ物、失くし物が多い ・衝動的な行動を取りやすい |
ASD(自閉スペクトラム症) | ・相手の感情を理解するのが難しい ・興味、関心が偏りやすい ・勝ち負けにこだわり一番でいたがる ・感覚過敏または感覚鈍麻がある ・急な予定変更などが苦手 |
SLD/LD(ディスレクシア/識字障害) | ・文章を読むことに困難がある ・文字がぼやけたり歪んだりして見える ・文章や行を読み飛ばしてしまう ・文字をひとつずつ拾って読む |
SLD/LD(ディスグラフィア/書字障害) | ・字を書くことに困難がある ・文字は読めるのに正しく書けない ・文字の書き間違いが多い ・文法の間違いが多い |
SLD/LD(ディスカリキュア/算数障害) | ・計算に困難がある ・数を概念としてとらえることが苦手 ・図形やグラフ、数字の大小の理解が難しい ・自分で計算式を立てられない |
これら以外にも、子どもによってさまざまな特性があるため、発達障害の種類や特性に理解があり、一人ひとりに合った配慮や支援が受けられる通信制高校を選びましょう。
また、学習面はもちろん、発達障害に理解のあるカウンセラーがいるなど、困りごとを相談しやすい体制が整っていると、安心して学校生活を送れる
でしょう。
通い方やカリキュラムを自由に選べるか
通い方やカリキュラムを柔軟に選択できるかどうかも、通信制高校を選ぶうえで大切なポイントです。
通信制高校の学習方法には、通学型・在宅型(テキスト学習が中心)・オンライン型(パソコンやタブレット学習が中心)があります。
通い方を自由に選べる通信制高校を選ぶと、以下のように特性によって向いている学習方法を選べるため、通学や学習に対するストレスを減らせるでしょう。
- 大勢と一緒だと周りが気になって学習に集中できない:在宅型やオンライン型
- 文章を読むことに困難さがある:オンライン型(音読機能が付いているツールを使用するなど)
また、カリキュラムが柔軟であれば子どもの状況に合わせやすく、学習意欲も向上します。「興味に合った学習ができる」「受験対策ができる」など、さまざまなカリキュラムの中から子どもに合ったものを選べる通信制高校であれば、将来的な選択肢も広がる
でしょう。
学習サポートが充実しているか
学習サポートが充実している通信制高校を選ぶことも大切です。以下のような学習サポートを受けられると、発達障害の子どもでもストレスなく学習できるでしょう。
- 子どもの特性に応じたテストや評価方法が採用されている
- クラス編成が少人数
- 小中学校での学習の遅れにも対応している
通信制高校には留年がないとはいえ、必要な単位を取得できなければ卒業できません。特性や困りごとに応じた学習サポートを受けられれば、全日制高校と同じように3年での卒業を目指しやすくなる
でしょう。
発達障害のお子さまにはトライ式高等学院がおすすめ

参照:通信制高校で大学進学|通信制高校・サポート校のトライ式高等学院
先ほど解説した「発達障害の子どもに合った通信制高校選びのポイント」を踏まえると、発達障害の子どもにおすすめなのがトライ式高等学院です。
※トライ式高等学院は、通信制高校の生徒が効果的に学習できるように学習支援や進路相談などのサポートを提供する通信制高校サポート校です。
トライ式高等学院が発達障害の子どもにおすすめな理由は次のとおりです。
- 特性に合った配慮がある
- 通い方やカリキュラムを自由に選択できる
- 学習サポートが充実している
それぞれの特徴について、以下で詳しく見ていきましょう。
特性に合った配慮がある
通信制高校は全日制高校よりも卒業を目指しやすいとはいえ、単位取得のための学習は基本的に子ども自身で進めなければなりません。そのため、計画的に学習を進める自己管理能力が大切
です。
トライ式高等学院では、生徒一人ひとりに個別の担任がつき、学力や生活スタイル、特性を考慮したオリジナルの計画を作成します。子どもの特性や困りごとに寄り添って作成するため、学力に不安があっても卒業を目指しやすいでしょう。
トライ式高等学院の入試
トライ式高等学院の入試には、一般入試と推薦入試があります。それぞれの特徴は次のとおりです。
一般入試 | 推薦入試 | |
併願 | 可能 | 不可 |
入試科目 | 作文と面接 | 面接のみ |
その他の注意点 | 特になし | 在籍中学校からの推薦が必要 |
トライ式高等学院の入試には学力を図るような学科試験や筆記試験はなく、「トライ式高等学院で学びたいという気持ち」や「卒業を目指す気持ち」が重視されます。
通い方やカリキュラムを自由に選択できる
通い方やカリキュラムを自由に選択できるのも、トライ式高等学院の特徴です。
トライ式高等学院には、以下3パターンの通い方があります。
特徴 | おすすめの人 | |
通学型 | ・自宅から通いやすいキャンパス(全国125ヵ所以上)に通学する ・対面での完全個別サポートを受けられる | ・近くにキャンパスがある ・友達とキャンパス生活を楽しみたい ・対面での授業の方が集中できる |
在宅型 | ・講師が訪問して自宅で学習する ・自宅で対面での完全個別サポートを受けられる | ・通いやすい距離にキャンパスがない ・自分のペースで学習を進めたい ・集団では集中できないものの、対面で授業を受けたい |
オンライン型 | ・自宅からオンラインで学習する ・自宅からオンラインで完全個別サポートを受けられる | ・通いやすい距離にキャンパスがない ・対面での授業に不安がある |
これらの通い方はいつでも変更できるほか、組み合わせることも可能です。また、通学や学習のペース、授業内容も一人ひとりに合わせられるため、通学や学習のストレスなく自分のペースで学校生活を楽しめます。
学習サポートが充実している
トライ式高等学院は、「一人ひとりに最適なオーダーメイドカリキュラムを作成する」「講師が完全個別でサポートする」など、学習サポートが充実しています。一人ひとりの特性を考慮した計画に基づいて学習を進められるほか、学習自体も完全個別で支援してもらえるため、安心して卒業を目指せるでしょう。
また、苦手な科目や単元がある場合は、小中学校の学習範囲の復習から始めることも可能
です。そのため、「授業についていけるか不安」「自分だけで単位を取得できるか不安」という方も、自分のペースで学習を進められます。
集団生活が難しい場合は特別支援学校高等部を視野に
トライ式高等学院は学力よりも学習意欲を重視しているため、学力に自信のない方や発達障害のある子どもでも入学しやすいのが特徴です。ただし、極度に集団生活が困難など特性によっては受け入れが難しい場合があります。このような場合は、特別支援学校高等部への進学も視野に入れるとよいでしょう。
受け入れが可能かの確認や、具体的な学習指導について詳しく知りたい方は、一度「トライ式高等学院」にご相談ください。
発達障害の子どもの高校進学についてよくある質問

最後に、発達障害の子どもの高校進学についてよくある質問をまとめました。
- 発達障害の子どもの高校は公立と私立どちらを選ぶべき?
- 発達障害があると高校受験で不利になる?
- 発達障害・グレーゾーンであることを高校に伝えるべき?
これらの疑問をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。
発達障害の子どもの高校は公立と私立どちらを選ぶべき?
どちらが良いかは一概に言えません。公立・私立高校それぞれの支援制度や子どもの特性、家庭状況を踏まえたうえで子どもに合う学校を選ぶことをおすすめします。
メリット | デメリット | |
公立高校 | ・私立に比べて学費が安い | ・5教科を均等配分で評価する入試形式が多い ・副教科が高い割合で内申点に反映されることも多い |
私立高校 | ・発達障害に理解がある、受け入れ可能な学校が多い ・受験方式が豊富 ・先生の異動が少ない | ・学費が高い |
入試の面からいうと、私立高校の方が発達障害の子どもに合っているといえます。発達障害の生徒は教科によって成績の上下が激しくなりやすく、また内申点が低くなりやすいため、公立高校の入試形式が不利になる可能性があります。
私立高校には「英・数・国の3教科のみ」や「英語の点数を2倍にする」といったさまざまな受験方式や傾斜配点があるため、子どもの得意を受験で活かしやすいでしょう。
ただし、公立高校に比べて学費が高いため、家庭状況も考慮したうえで無理なく通わせられる高校を選ぶ必要があります。
発達障害があると高校受験で不利になる?
発達障害があっても高校受験は通常通り受けられるため、必ずしも不利になるわけではありません。ただし、発達障害の生徒は内申点が低くなりやすいため、内申点を重視する受験方式では不利になる可能性があります。入試内容をよく確認し、不利にならない高校を選びましょう。
また、発達障害に理解がある高校の場合、別室受験や試験時間の延長といった配慮を受けられることも
あります。こうした配慮のある高校を選ぶことで、発達障害がある場合でも受験に集中できるでしょう。
発達障害・グレーゾーンであることを高校に伝えるべき?
子どもが発達障害やグレーゾーンであることは、必ずしも高校に伝えなければならないわけではありません
。ただし、伝えることで適切な配慮や支援につながれば、子どもが高校生活を送りやすくなる可能性があります。
そのため、子どもの意見を尊重したうえで、必要に応じて発達障害やグレーゾーンであることを高校に伝えるとよいでしょう。
まとめ

本記事では、発達障害の子どもの高校選びについて、小中学校と高校の違いや選ぶポイントを詳しく解説しました。
小中学校は義務教育で通級もありますが、高校は義務教育でなくなり、通級による指導も多くありません。そのため、小中学校と比べて発達障害の特性に応じた細やかなサポートを受けるのが難しい可能性
があります。
また、学力や出席日数によっては留年する可能性がある点にも注意が必要です。
発達障害があっても全日制高校にはもちろん進学できますが、入学後の生活や進路を考えると、無理なく卒業を目指せる通信制高校がおすすめです。通信制高校は全日制高校に比べて通学の頻度が少なく、留年する心配もないため、発達障害の子どもが自分のペースで卒業を目指せる
でしょう。