「不登校でも高校受験に合格できるのか知りたい」
「不登校の状態で高校受験に挑戦しても大丈夫なのかな」
「不登校が高校受験に与える影響にはどんなものがあるのだろう」
不登校の方や、不登校の子どもを持つ保護者の中には、高校受験に対してこのような不安を抱えている方もいるでしょう。
こうした不安は軽視できません。しかし、受験に向けて適切に準備を行えば、不登校から高校進学を目指すことも十分に可能です。
この記事では、不登校が高校受験に与える影響や自分に合った高校の選び方、合格に向けた準備のポイントをわかりやすく解説
します。不登校から高校進学を目指そうと思っている方、不登校の子どもを持つ保護者の方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
不登校でも高校受験できる?合否に与える影響とは
結論から述べると、不登校でも高校受験・進学は可能です。ただし、高校によっては不登校が受験や進学で不利に働く場合もあるため注意しましょう。
不登校から高校受験を目指す場合、入試以外に「調査書」の内容にも気をつける必要があります。調査書の中でも、特に高校受験の合否に影響する可能性があるのは、次の2つです。
- 出席日数・欠席日数
- 内申点
ここでは、これらが合否に与える影響や、調査書に反映される時期について詳しく解説します。
出席日数・欠席日数
不登校による欠席日数の多さは、入試で不利になったり、希望する高校に出願できなくなったりする可能性がある
ため注意が必要です。
欠席日数の基準やどのような影響があるのかは学校によって異なりますが、公立高校では審議の対象になる場合があります。
「審議の対象になる」とは、合格させるか高校側が審議する対象になるということ。つまり、学力試験で合格ラインを超えていたとしても、欠席日数で合否が変わる可能性もあるのです。
欠席日数が多ければ必ず審議の対象になるわけではありません。具体的な基準や調査書に記載される期間は学校によって異なることを理解しておきましょう。
一方、私立高校は公立高校に比べて調査書の内容をそこまで重視しない傾向があり、欠席日数が多くても学力試験で基準を満たせば合格できる場合もあります。ただし、私立高校でも推薦入試や内申点による専願・併願方式を受験する場合は、出願の条件に欠席日数の基準が設けられている場合もあるため、気をつけましょう。
高校受験で不利になる欠席日数は?
高校受験で不利になる欠席日数は、都道府県や学校によって異なりますが、公立高校では3年間で30日以上の欠席で審議の対象となる場合が多いようです。
また、私立高校では推薦入試において「各学年で欠席日数10日以内」「3年間の欠席日数20日以内」などが出願条件として設けられています。
私立高校の一般入試でも専願・併願方式を受験する場合では、「3年間の欠席日数が合計20日以内」などの出願資格が設けられています。推薦入試・一般入試ともにこのような出願資格を設けている高校が多いため、専願・併願方式を受験する場合は募集要項をよく確認しておきましょう。
内申点
不登校によって内申点が低くなった場合、高校入試で不利に働く可能性があります。
内申点とは、中学で学習する9教科の成績を数値化したものです。公立高校では、当日の学力試験と内申点で合否が決まります。そのため、内申点を重視する高校を受験する場合は、内申点の低さが合否に影響する可能性がある
でしょう。
一方、私立高校は調査書があまり重視されない傾向にあり、欠席日数と同様に内申点が低くてもそこまで合否に影響はないと言えます。ただし、推薦入試や専願・併願方式では特定科目(国・数・英など)の内申点が出願条件に影響する場合もあるため注意しましょう。
内申点についての詳しい説明は、こちらの記事をご確認ください。
調査書に欠席日数・内申点が反映されるのはいつから?
調査書は都道府県や学校によって書式が異なるため、欠席日数が反映される期間は、学校によってさまざまです。受験する学校が採用している調査書の書式を調べて確認しましょう。
たとえば、東京都の公立高校では「中学3年生」、千葉県や埼玉県の公立高校では「中学1年生~3年生」の欠席日数が調査書に反映されます。
また、内申点に関しても、都道府県によって異なります。多くの県では中学3年間の成績が調査書に反映されますが、「中学3年生のみ」や「中学2年生~3年生」という地域もあります。
調査書に反映される期間について具体的に知りたい場合は、高校の募集要項を確認したり、学校の先生に相談したりする
と良いでしょう。
通信制高校・定時制高校なら不登校からでも進学しやすい
不登校から高校進学を目指す場合は、次のような高校がおすすめです。
- 通信制高校
- 定時制高校
これらの高校は不登校の経験がある生徒にとって学びやすい環境が整っているため、安心して通えるでしょう。それぞれの高校の特徴について、以下で詳しく解説します。
通信制高校
通信制高校とは、自宅学習・スクーリング・テストによって卒業に必要な単位を取得する学校です。全日制や定時制の高校よりも通学の頻度が少なく、不登校の経験がある生徒でも通いやすい特徴があります。
通学不要やスクーリング(対面授業)が少ない通信制高校を選べば、通学に不安がある方でも高校卒業を目指しやすくなるでしょう。
ただし、通信制高校は自宅学習が中心になる分、自分で計画を立てて単位を取得する
必要があります。また基本的には一人で学習することになるため、モチベーションを保ちづらくなる可能性があることにも注意しましょう。
通信制高校の概要や卒業要件は、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
通信制高校サポート校の利用もおすすめ
通信制高校での学習に不安がある方は、通信制高校サポート校の利用がおすすめ
です。
通信制高校サポート校とは、連携する通信制高校に通う生徒の学習や学校生活をサポートする教育機関を指します。通信制高校サポート校で行っている主なサポートは、次のとおりです。
- 単位取得に向けた学習計画の作成
- レポート作成・提出のサポート
- 大学受験の対策
- 学習や進路の相談
「一人で学習を進められるか不安」「悩みを気軽に相談したい」という方は、通信制高校サポート校を利用することで、安心して学習や進路決定ができるでしょう。
トライ式高等学院は一人ひとりの状況に合わせて学習できる通信制高校サポート校
参照:通信制高校で大学進学|通信制高校・サポート校のトライ式高等学院
トライ式高等学院は、「家庭教師のトライ」で培ってきた学習ノウハウに基づき、学習から卒業までをサポートする通信制高校サポート校です。
「特進科」「進学科」の2つのコースと、「通学」「在宅」「オンライン」の3つの受講スタイルから一人ひとりに合った学校生活を提案します。自分に合った登校頻度や授業時間、受講スタイルで充実した学校生活を送れるでしょう。
また、トライ式高等学院には「トライ式不登校解決サポート」があり、生徒の事情や希望に合わせて不登校の解決をサポート
します。自宅でのカウンセリングや個別授業、通学のサポートを通して自分のペースで無理なく登校できます。
定時制高校
定時制高校とは、「夜間制」「昼と夜の二部制」「朝昼夜の三部制」のいずれかで構成されている学校です。
基本的に毎日通学する必要はあるものの、昼や夜から通学することもできるため、朝から通学するのが難しい次のような方に向いていると言えます。
- 起立性障害で朝からの通学が難しい
- パニック障害で通勤・通学ラッシュの中での通学が難しい
また、定時制高校には不登校の経験がある生徒や、高校を中退した生徒も在籍しており、さまざまな事情に理解がある生徒・教師が多いのも特徴といえるでしょう。
ただし、定時制高校は基本的に授業時間が1日4時間程度のため、卒業に4年かかるのが一般的です。3年で卒業を目指す場合は、1日の授業時間が長い定時制高校や通信制高校などを検討すると良い
でしょう。
チャレンジスクールに進学する手も
東京都に住んでいる場合は、チャレンジスクールに進学するのも選択肢の一つと言えます。チャレンジスクールとは、「単位制」と「定時制」を採用している東京都立高校です。
朝昼夜の三部から通いやすい時間帯に授業を受け、必要な単位を取得することで卒業できます。そのため、「定時制のように学年ごとに必要な単位数を取得するのは難しいものの、クラスメイトと交流したい」という生徒に向いている
と言えるでしょう。
ただし、都内から離れた場所に住んでいる生徒にとっては、あまり現実的でないといえます。その場合は、「クリエイティブスクール(全日制・神奈川県)」「パレットスクール(定時単位制・埼玉県)」など、お住まいの都道府県で似ている制度の高校を調べてみると良いでしょう。
不登校から全日制高校を目指す際のポイント
不登校から全日制高校を目指す際に押さえておきたいポイントは、次の3つです。
- 調査書を重視しない高校を選ぶ
- 不登校枠を利用する
- サポートが充実している全日制高校を選ぶ
- 不登校の生徒向けの高校受験サポートを活用する
それぞれのポイントについて、以下で詳しく見ていきましょう。
調査書を重視しない高校を選ぶ
出席日数や内申点に不安がある場合は、合否判定の際に調査書を重視しない高校を選ぶのがおすすめです。
たとえば、私立高校では調査書を重視せず、当日の学力試験のみで合否を判断する「オープン入試」と呼ばれる入試方式を採用している場合があります。学力試験の成績が良ければ合格できる
ため、早めに試験勉強に取り組んで合格を目指しましょう。
また、公立高校には「チャレンジスクール」や「パレットスクール」など、基本的に作文と面接のみで入試が行われる学校もあります。調査書と学力試験がなく、「欠席日数が多い」「学力に自信がない」といった方でも合格を目指せるでしょう。
不登校枠を利用する
いわゆる「不登校枠」を利用することも、不登校から高校受験を目指す際のポイントと言えます。不登校枠とは、不登校の生徒に配慮を行う選抜方法の俗称です。
高校入試では、基本的に調査書と学力試験によって総合的に合否が判断されます。一方、不登校枠では「調査書の欠席日数は考慮しない」「個人的に面接を実施する」など、不登校の生徒に特定の配慮がなされるのです。
ただし、不登校枠は配慮されるものの、不登校生のための枠が特別に用意されているわけではありません。不登校枠は、あくまで通常の入試に比べて合格する可能性が上がるだけであり、内申点の低さなどは学力試験で補う必要があることに注意しましょう。
サポートが充実している全日制高校を選ぶ
不登校経験がある生徒でも通いやすいサポートが充実している全日制高校を選ぶのも、ポイントの一つです。
たとえば、「エンカレッジスクール(東京都)」や先に挙げた「クリエイティブスクール(神奈川県)」は、次のようなサポートや配慮があるため、不登校の経験がある生徒でも通いやすい全日制高校
と言えるでしょう。
- 少人数・習熟度別の授業
- 学習内容が基礎的
- 試験の点数よりも生徒の努力を評価する
- 就職を含めた幅広い進路選択に対応してくれる
特に、全日制高校に進学したいものの「授業についていけるか不安」「基礎から学びたい」といった生徒に向いています。
不登校の生徒向けの高校受験サポートを活用する
信頼できる人に相談したり、不登校の生徒の高校受験をサポートしてくれるサービスを活用したりするのもおすすめです。
中学校に信頼できる教師がいる場合は高校受験を目指している旨を伝え、志望校や具体的な受験勉強について相談すると良いでしょう。不登校に詳しい教師や、カウンセラーに相談するのもおすすめです。
調査書が不要な高校やこれからすべきことなど、受験に向けた具体的なアドバイスを得られます。
また、不登校の子どもの受験をサポートしてくれるコース・カリキュラムがある塾や、家庭教師を活用するのも一つの手です。「不登校の子どもの指導実績がある」「個別指導を行っている」などを重視して選べば、不登校からでも安心して高校受験に備えられる
でしょう。
トライのオンライン個別指導塾では不登校サポートコースで安心して勉強できる
参照:不登校サポートコース | トライのオンライン個別指導塾
トライのオンライン個別指導塾の「不登校サポートコース」は、生徒一人ひとりのペースに合わせて学習を進められるのが魅力です。
生徒1名に教師1名がつく完全マンツーマン授業のため、不登校の生徒でも周りの目を気にすることなく学習に集中できる環境が整っています。
授業は同じ教師が担当することから、学校で授業を受けられていない単元や苦手な問題などを教師が把握でき、効率よく学習を進められます。
また、トライのオンライン個別指導塾は、不登校の生徒への指導実績がある教師も多数在籍している
のも特徴です。居住地を問わず全国から教師を選べるため、自分に合った教師と二人三脚で無理なく学習できるでしょう。
【学年別】不登校から合格を目指す!高校の選び方と準備のポイント
「いつから不登校なのか」「現段階で何年生か」によって、高校の選び方や準備のポイントは異なります。ここでは、以下2つのパターン別に高校の選び方と準備のポイントを解説します。
- 小学生~中学1・2年生から不登校の場合
- 中学3年生から不登校の場合
現在の状況に合わせて、高校受験に向けて意識すると良い点を確認してみてください。
小学生~中学1・2年生から不登校の場合
現在中学1年生または2年生で、小学生または中学に入ってから不登校の場合は、高校受験に向けて以下の点を意識すると良いでしょう。
- 調査書を重視しない高校を選ぶ
- 3年生のみの調査書で審査する高校を選ぶ
- 学習の遅れをサポートしてくれる高校を選ぶ
- 調査書の対策を学校や塾の教師に相談する
- 徐々に復学を目指す
不登校から徐々に復学できているなら、3年生のみの調査書で審査する高校がおすすめです。
3年生でも復学が難しそうな場合は、通信制高校や定時制高校など、調査書を重視しない高校も検討
しましょう。
不登校の期間が長いと、昼夜逆転していたり、学習が大幅に遅れていたりする可能性もあります。学習に不安がある場合は、サポートが充実している高校を選びましょう。場合によっては医師を頼り、徐々に昼型の生活に戻すことも一つの方法です。
中学3年生から不登校の場合
現在中学3年生で不登校の場合は、以下の点を意識して受験先を選んだり、受験に向けて準備したりするのが良いでしょう。
- 調査書を重視しない高校を選ぶ
- 学習の遅れをサポートしてくれる高校を選ぶ
- 調査書以外の判定項目に対応できる力をつける
不登校になった時期にもよりますが、合格の可能性を高めるのであれば調査書を重視しない高校がおすすめです。加えて、学力に不安がある場合は学習のサポートが充実している高校を選ぶと良いでしょう。
また、調査書を重視しない学校の場合、面接や作文、学力試験などが課されます。受験する高校の募集要項を早めに確認し、学校や塾の教師に相談しながら受験対策を行い
ましょう。
こちらの記事では、不登校中の勉強のポイントや保護者ができるサポートを詳しく解説しています。併せてご確認ください。
まとめ
この記事では、不登校が高校受験に与える影響や自分に合った高校の選び方、合格に向けた準備のポイントを解説しました。
不登校によって調査書の「出席日数・欠席日数」や「内申点」の評価が悪くなると、受験の合否に影響する可能性があるため注意が必要です。
不登校から高校進学を目指す場合は、次のような高校がおすすめです。
- 通信制高校
- 定時制高校
- サポートが充実している全日制高校
これらの高校は不登校の経験がある生徒にとって学びやすい環境が整っている
ため、安心して学習でき、無理なく卒業を目指せるでしょう。
不登校からの高校進学は不安が大きいかもしれませんが、正しい知識で適切に準備を行えば、十分に可能です。焦らず将来に向けて、自分のペースで進んでいきましょう。