「子どもが勉強をしないのは発達障害だから?」
「勉強しない発達障害やグレーゾーンの子どもに保護者ができることはあるのかな」
中学校に進学した子どもが勉強しない様子を見て、発達障害を疑う保護者の方もいるかもしれません。発達障害のある子どもをどのようにサポートすれば良いのか、悩む方もいるでしょう。
中学生の子どもが勉強しないのは、必ずしも発達障害が原因とは限りません。しかし、中には発達障害の特性によって勉強への苦手意識を持っている場合もあるため、注意が必要です。
そこで本記事では、発達障害の特性やタイプ別のサポート方法、保護者の方ができる対応策
を解説します。
学習意欲を高められるよう、発達障害の特性を理解し、子どもが自主的に勉強できるよう適切にサポートしていきましょう。


中学生の子どもが勉強しない…原因は発達障害?

中学生の子どもに発達障害があったとしても、それが勉強をしない直接的な原因になるとは言い切れません。
勉強のレベルが子どもに合っていない、嫌なことがあって集中できないなどの要因も考えられるためです。
ただし、発達障害の特性によっては苦手意識を強く感じる科目があったり、勉強に対して抵抗を示したりするケースも多く見られます。
また、発達障害の子どもは好きな分野で優れた能力を発揮する場合もあるなど、個人によって特性はさまざまです。
発達障害の特性が学習に影響を与える可能性はあるものの、子どもに合った勉強法を取り入れれば苦手を克服し、得意を伸ばすこともできます。
発達障害の中学生がなかなか勉強に向かえない場合は、保護者の方が子どもの特性を理解し、適切なサポートを行うことが大切
です。
勉強しない子どものサポートを家庭だけで行うのが難しいと感じている保護者の方もいるのではないでしょうか。
家庭教師のトライでは、発達障害・グレーゾーンの中学生の個別指導にも対応しています。発達障害のあるお子さまへの指導経験を持つ教師の紹介も行っておりますので、お気軽にご相談ください。
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【タイプ別】発達障害の特性と勉強をサポートする方法

発達障害は、以下のようにさまざまな種類があります。中学生の子どもが勉強への苦手意識を克服するためには、子どもが該当するタイプの特性を保護者の方が理解し、適切なサポートを行うことが大切です。
ADHD | 不注意優勢型 多動・衝動優勢型 |
ASD | 自閉スペクトラム症 |
SLD | ディスグラフィア/書字障害 ディスレクシア/識字障害 ディスカリキュア/算数障害 |
発達障害の診断があり、専門機関からアドバイスを受けている場合も、子どもの特性を改めて認識すると対応策を冷静に考えられます。
ADHD(不注意優勢型):集中力の維持が苦手で細かなミスが多い
ADHDとは「集中力が続かない」「落ち着きがない」などの特性によって、日常生活に支障が出る発達障害です。
不注意優勢型の子どもは注意力散漫な傾向が強いため、長時間の勉強に集中できず、誤字脱字や計算の見落としなど細かいミスを繰り返します。
他にも、不注意優勢型の子どもには以下のような困難を抱える場面が多く見られます。
- 教師の話を聞き逃して忘れ物やミスをする
- すぐに気が散るため問題を解き終わるのに時間がかかる
- 授業中に集中力が途切れて学習内容を理解できなくなる
本人にやる気があっても、正しい努力の仕方が分からず成績が伸び悩み「頑張っても意味がない」という無力感
から、勉強への意欲を失うこともあります。
ADHD(不注意優勢型)の中学生の勉強をサポートする方法
ADHD(不注意優勢型)の特性がある中学生には、集中力を維持しやすい環境を整えるのが効果的です。
家庭では以下の方法を実践しましょう。
- 机の上には勉強で使う道具だけ用意する
- ゲームやスマホなどは視界に入らない場所へ片付ける
- 勉強中は家族の生活音や話し声を小さくする
加えて、勉強時間を短く区切る
と集中力が途切れる前に休憩できるため、長時間の学習によるストレスや疲労感を減らせます。
10分間だけでも集中して取り組むことができ、達成感を味わえば学習意欲も高まるでしょう。
ADHD(多動・衝動優勢型):突発的な行動が多く興味の変化が激しい
ADHD(多動・衝動優勢型)の子どもは、じっとすることが苦手で突発的な行動が多く、興味を持つ対象の変化が激しい特性があります。
多動・衝動優勢型の子どもがとりがちな行動は、以下のとおりです。
- 授業中に突然席を立つ
- 教師の話とは関係ない発言をする
- 思いつきで答えを出すためミスが多い
- 細かいルールや指示を無視して課題・テストに取り組む
- 家庭での勉強中に突然ゲームを始める
多動・衝動優勢型の中学生も、注意力が散漫な傾向があります。それだけでなく、教師の指示を無視したり、授業の流れをさえぎったりする
ため周りに注意される場面も多いでしょう。
そのため、周りへの劣等感が強くなり、成績不振や学習意欲の低下につながってしまいます。
ADHD(多動・衝動優勢型)の中学生の勉強をサポートする方法
ADHD(多動・衝動優勢型)の特性がある中学生のサポートでは「小さな目標を設定すること」「体を動かす機会を取り入れること」を意識しましょう。
たとえば「計算問題を5問解く」「英単語を3個覚える」のように、小さな目標を設定すると達成しやすくなり、ゴールに向かって集中して取り組めます。
また、休憩中は積極的に体を動かし、座っての勉強によるストレスを発散させることも大切です。
「休憩は◯時◯分までだよ」と事前に伝えれば、次の活動に移る心の準備ができて、すぐに気持ちを切り替えられます。
ASD(自閉スペクトラム症):特定の物事に対する興味が強く曖昧な表現・指示の理解が難しい
ASD(自閉スペクトラム症)は、対人関係やコミュニケーションが苦手で、特定の物事に強い興味やこだわりを示す発達障害です。
曖昧な表現や指示を理解するのが難しく、文章問題や登場人物の心情を読み解く物語文が苦手な傾向にあります。
加えて、ASDの子どもは、急な予定変更に対する強い不安を感じやすいのも特徴です。授業内容の変更や抜き打ちテストなど、予想外の出来事が起きるとパニックになり、本来の実力を出せません。
好きな分野の勉強では、並外れた集中力で高い成績を取れます
が、それ以外の教科については学習意欲が低くなりがちです。
その結果、学習内容の偏りが生じて成績が不安定になり、特定科目に対する苦手意識が強くなってしまいます。
ASD(自閉スペクトラム症)の中学生の勉強をサポートする方法
ASDの中学生を学習面でサポートするには、勉強のルーティン化や明確な指示で安心感を与えましょう。
たとえば、「毎日19時から20時まで勉強する」と事前に決めれば、学習の見通しが立つため落ち着いて勉強に取り組めます。
勉強時間・内容を変更する際は、不安やストレスを抱えないよう前日までに伝えることが大切です。
「5ページまで」「10個覚える」と数値化した目標を紙に書く
と、あいまいな指示を理解するのが苦手なASDの中学生でも学習内容を把握できます。
文章の読解力を伸ばすためには、言葉や比喩表現の意味を一つずつ確認し、文の全体像や登場人物の心情をイメージできるように練習しましょう。
SLD(ディスグラフィア/書字障害):言葉の意味を理解しても正しく書けない
SLD(限局性学習症)とは、知能の遅れはないものの「書く」「読む」「計算する」など、特定の能力について大きな困難を抱える発達障害で、LD(学習障害)とも呼ばれます。
SLDの一種であるディスグラフィア(書字障害)は、以下のように文字・文章を書く能力に支障が出る学習障害です。
- 言葉の意味を知っていても文字を正しく書けない
- 漢字の線や点、書き順がバラバラになりバランスが悪い
- 「ぬ」や「め」など形が似ている文字を書き間違える
上記の特性から、ノートを書いたり問題を解いたりするのに時間がかかる
ため、学習内容を十分に理解しないまま授業が進んでしまうことで、成績が伸び悩んでしまいます。
SLD(ディスグラフィア/書字障害)の中学生の勉強をサポートする方法
ディスグラフィアの中学生には、書く負担を軽減することや、成功体験を増やして少しずつ自信を持たせることが大切です。
具体的には、以下のサポート方法が効果的です。
- なぞり書きができる練習帳やドリルに取り組ませる
- マス目の大きなノートを用意する
- 文字の書き取りが不要なタブレットを活用する
練習帳やドリル、マス目の大きなノートを活用すると、書く負担を軽減しながら正しい文字の形を覚えられます。
文字の書き取りが不要なタブレットを取り入れると、学習内容の理解に集中できて勉強効率も上がるでしょう。
上記の方法で「文字が書ける」「正解する」などの成功体験
を積めば、少しずつ学習意欲を高められます。
SLD(ディスレクシア/識字障害):文字の見え方や認識に困難があり文章を読めない
ディスレクシア(識字障害)とは、文字の認識・文章の読解を特に苦手とする学習障害です。
たとえば「り」「ん」「ご」と一文字ずつ読めても、それが「りんご」という果物を表していると理解することが苦手です。
ほかにも、ディスレクシアには以下の特性が見られます。
- 文字が重なったり歪んだり、かすんだりして見える
- 文字の形と音(「あ」は「a」と発音すること)が一致しない
- 「b」「d」など文字の左右を正しく認識できない
長文読解はもちろん、簡単な文章問題でも「何が書かれているのか」をすぐに読み取れません。
読む速度が遅いために学習内容を十分に理解していないまま授業が進んでしまい、結果的に勉強への苦手意識が強くなってしまいます。
SLD(ディスレクシア/識字障害)の中学生の勉強をサポートする方法
ディスレクシアの特性がある中学生をサポートする際は、読む負担を軽減することに重点を置きましょう。
具体的には、以下の方法があります。
- 本人が教科書や問題を読む前に一度読み聞かせる
- 音声読み上げソフトを活用する
- 拡大コピーをして文字や行間を大きく見せる
上記の他に「私は/学校に/行った。」のように、斜線を引いて文を区切る方法
もおすすめです。文章の読みやすさが向上し、単語を1つのまとまりで理解できるようになります。
漢字・英単語の書き取りや一問一答形式の計算練習など、読解力が不要な勉強を取り入れて成功体験を積ませることも有効です。
SLD(ディスカリキュア/算数障害):数学的な概念の理解や計算スキルが極端に乏しい
ディスカリキュア(算数障害)は、文字や文章の読み書きができるものの、数学的な概念の理解や計算に困難を抱えているのが特徴です。
単純な四則計算でも間違いが多く、自分で式を立てるのも困難なため、数学の成績が特に低くなってしまいます。数学以外の教科でも、計算が必要な問題では失点が増えるでしょう。
さらに、単純な計算に限らず図形やグラフ、時間の概念、数の大小を理解するのも極端に苦手です。分数や小数の仕組み、方程式で扱う文字式の理解にも苦労します。
数学に対する強い苦手意識はあるものの、文章の読み書きには問題ないことから、周りに特性を理解してもらえない
という悩みも抱えがちです。
SLD(ディスカリキュア/算数障害)の中学生の勉強をサポートする方法
ディスカリキュアの特性がある中学生には、視覚的に数の概念を理解できるツールの活用が有効です。
ブロックやタイルを使い、数えたり操作したりしながら数の大小や計算・図形の仕組みを理解させましょう。
文章問題では、何がいくつあるのか・何を求めるのか
をイメージできるように一文ずつ区切り、それぞれ図や絵に表す方法がおすすめです。
式を立てて計算する際は、数式の横に説明文も加えると「なぜその計算が成り立つのか」を理解しやすくなります。
数学に対する苦手意識が特に強い場合は、楽しく勉強できるゲームやアプリを活用しましょう。
簡単な計算問題から取り組むことで成功体験が増え、少しずつ自信を持たせられます。
発達障害があり勉強しない中学生の子どもに保護者の方ができる3つの対応策

発達障害の特性に合わせた学習フォロー以外にも、次の方法を実践すると子どもは安心して勉強に取り組めます。
- 学校の教師やカウンセラーに相談し連携をとる
- 机に向かうことを無理強いせず子どものやりたいことを尊重する
- 発達障害に理解がある塾・家庭教師を利用する
保護者の方だけで悩みを抱えず、学校や塾、家庭教師のアドバイスや指導を受けることで、親子ともにストレスなく成績の向上を目指せます。
一つずつ詳しく解説します。
1.学校の教師やカウンセラーに相談し連携をとる
子どもが勉強しやすい環境を整えるためにも、学校の教師やカウンセラーに相談して連携をとりましょう。
発達障害の診断がある場合は、専門機関のアドバイスを学校と共有することでスムーズに理解を得られます。
グレーゾーンの場合も、本人の特性や家庭での対応、学校への要望を具体的に伝えると適切なサポートを受けられるでしょう。
情報共有するときは、教師やカウンセラーから学校での様子を聞くことで子どもの特性をより的確に把握でき、家庭の指導に活かせます。
家庭と学校の一貫したサポートが子どもに安心感を与え、成功体験が増えれば、学習意欲が高まり成績向上にもつながる
でしょう。
2.机に向かうことを無理強いせず子どものやりたいことを尊重する
学習意欲を高めるには、机に向かうことを無理強いせず、子どものやりたいことを尊重することが大切です。
発達障害の子どもは特定の分野に強い興味を示したり、優れた能力を持っていたりする場合があります。
苦手分野やできないことばかりに目を向けるのではなく、中長期的な視点を持ち、得意分野や好きなことを伸ばす機会を積極的に設けることで、自己肯定感の向上や勉強に対する苦手意識の軽減につながります。
たとえば、数学が好きなASDの子どもが他教科の計算問題にも挑戦して解けるようになると、得意分野を増やせるかもしれません。
ディスグラフィア(書字障害)の場合も、音読や聞き取り学習を上手に活用
できれば、楽しく勉強に取り組めるでしょう。
勉強することだけにこだわらず、子どもの楽しむ気持ちを尊重すれば自然と興味の幅が広がり、モチベーションも上がります。
3.発達障害に理解がある塾・家庭教師を利用する
「家庭でのサポートが難しい」「子どもの特性に合った指導を受けたい」と考えている方は、発達障害に理解がある塾・家庭教師を利用しましょう。
家庭でも子どものサポートはできますが、学習スケジュールの管理や教材の準備などを要するため、どうしても保護者の負担が大きくなってしまいます。
そこで塾・家庭教師を利用すれば、効果的な学習方法のアドバイスや、家庭だけでは難しいサポートなどのフォローを充実させられます。
子ども自身も、プロのわかりやすい指導を受けることで「わかった」「できた」と感じる機会が増える
でしょう。
塾や家庭教師を選ぶ際は、発達障害に関する知識が豊富な講師がいるのかをチェックし、体験授業を受けたうえで利用を検討しましょう。
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まとめ

本記事では、発達障害の特徴やタイプ別のサポート方法、保護者の方ができる対応策を解説しました。
発達障害は、タイプ別に以下の特性があります。
ADHD | 【不注意優勢型】 集中力の維持が苦手で細かなミスが多い 【多動・衝動優勢型】 突発的な行動が多く興味の変化が激しい |
ASD | 特定の物事に対する興味が強く曖昧な表現・指示の理解が難しい |
SLD | 【ディスグラフィア/書字障害】 言葉の意味を理解しても正しく書けない 【ディスレクシア/識字障害】 文字の見え方や認識に困難があり文章を読めない 【ディスカリキュア/算数障害】 数学的な概念の理解や計算スキルが極端に乏しい |
発達障害の特性を持つ中学生が勉強するためには、どのような場面・学習が苦手なのかを保護者の方が理解し、適切にサポートすることが重要です。
家庭だけでのサポートが難しい場合は、学校の教師やカウンセラー、塾や家庭教師
の力も借りることで、保護者の方の負担を抑えながら成績アップを目指せます。
ぜひ本記事を参考に、子どもの特性を把握して苦手を解消できる学習環境を整えましょう。