「子どもが宿題を始めようとしない」
「一度机に向かっても、すぐ気が散ってしまう」
「そもそも宿題をやる気になってくれない」
このような状況に悩む保護者の方も多いのではないでしょうか。
特に、発達障害の診断を持つ子どもや、グレーゾーンにいる子どもは、宿題への取り組みに難しさを感じやすい
といわれています。
子どもが宿題をしないのは、必ずしも発達障害が原因とは限りません。しかし、中には発達障害の特性があるために宿題に取り組みにくい場合もあるため、注意が必要です。
本記事では、発達障害やグレーゾーンの子どもを持つ保護者に向けて、以下の内容をお伝えします。
- 子どもが宿題をしない理由と、その背景にある発達障害の特性
- 宿題に取り組みやすくするための具体的な方法
- ADHD、ASD、SLD/LDの特性別アプローチ
子どもの特性を理解し、無理のない方法で宿題に取り組めるよう、適切な対処法を一緒に考えていきましょう。


子どもが宿題をしない理由は発達障害?

子どもが宿題をしない理由は必ずしも発達障害とはいえません。しかし、場合によっては発達障害が原因の可能性も
あります。
宿題をしない行動の背景には、以下のような要因が隠れているかもしれません。
- 宿題が難しく感じられ、手をつけるのが怖い
- 集中力が続かず、途中で飽きてしまう
- 宿題をやる意味を理解できていない
- 興味がある他のことに気を取られてしまう
発達障害の特性に起因している場合は単なる性格や気分の問題ではないため、一人ひとりの特性に応じた対応が必要です。
また、発達障害の特徴の一つに、ドーパミンの分泌量をうまく調整できず動機づけが難しいことがあり、これが原因でやる気が出ないともいわれています。
まずは、主な発達障害の特性を知っておきましょう。以下は、主な発達障害とその代表的な特性をまとめたものです。
発達障害の種類 | 特性 |
ADHD(注意欠如・多動症) | 注意力の散漫・多動性・衝動性が強く、集中力が続かない。 |
ASD(自閉スペクトラム症) | コミュニケーションの難しさ、興味や行動の偏り、こだわりの強さが特徴。 |
SLD/LD(限局性学習症/学習障害) | 読み書きや計算など、特定の学習分野で著しい困難がある。 |
子ども一人ひとりの特性によって、宿題をしない理由や対処法は異なります。そのため、それぞれの特性を理解し、子どもの行動に合わせたアプローチが必要です。
ADHD(注意欠如・多動症)

まずはADHD(注意欠如・多動症)について、以下を解説します。
- ADHDの特徴
- ADHDの子どもが宿題をしない理由
- 無理なく宿題に取り組める方法
子どもの行動に照らし合わせて読み進めてみましょう。
ADHD(注意欠如・多動症)の特徴
ADHDでは、一般的に以下3つの特徴が見られます。
注意力の持続の困難さ
- 一つの作業に集中し続けることが難しい
- 気が散りやすい
- 忘れ物や失くし物が多い
多動性の傾向
- じっと座っていることが難しい
- 授業中におしゃべりをしたり動き回ったりする
- 手足をよく動かす
衝動性の特徴
- 計画的な行動が苦手
- 思いついたことをすぐに行動に移す
- 待つことができず順番を守れない
これらの特徴により、日常生活や学習の場面で困難を感じることがあります。
ADHD(注意欠如・多動症)かチェックするポイント
以下のような行動が日常的に見られる場合、ADHDの可能性が高いといえます。
- 宿題を始めるまでに時間がかかる
- 集中力が途切れやすく、途中でやめてしまう
- 忘れ物が多く、準備に時間がかかる
- 落ち着きがなく、じっとしていられない
ただし、上記のチェックリストはあくまで参考です。正確な診断を受けたい場合は、必ず専門機関で相談しましょう。
ADHD(注意欠如・多動症)の子どもが宿題をしない理由
ADHDの特性がある子どもたちが宿題に取り組む際、以下のような困難を感じることがあります。
- 実行機能の弱さ:ワーキングメモリが少ないため、タスクを計画的に進めることが難しい
- 先延ばし癖:注意力が散漫で、始めるのをつい後回しにしてしまう
- 集中力の欠如:宿題を終わらせるまでの時間が長く感じて途中で飽きてしまう
こうした要因が重なることで、宿題に取り組む意欲がさらに低下
するかもしれません。
ADHD(注意欠如・多動症)の子どもが無理なく宿題に取り組める方法
ADHDの子どもが宿題に取り組めるようにするためには、以下の方法が効果的です。
- 宿題を小さなステップに分ける:やることをわかりやすくすると、やる気が出ない場合でも宿題に取り組みやすくなる
- 短時間で区切る:宿題を10〜15分程度で区切り、集中できる時間内に進める
- タイマーを使う:視覚的に残り時間を確認しながら進めると、時間感覚がわかりやすい
- 宿題に集中できる環境を作る:注意力が散漫にならないよう、学習スペースの周囲にゲームや漫画など興味をひくようなものを置かない
- 褒めて自信をつける:できたことを褒め、次への意欲を高める
ただし、同じADHDでも特性はさまざま。どの方法が合うかは子どもによって異なります。
子どもが前向きに宿題へ取り組めるよう、保護者が適切なサポートを
行いましょう。
家庭教師のトライがADHD(注意欠如・多動症)の特性を持つお子さまにおすすめな理由

家庭教師のトライでは、ADHDのお子さまに対して、その特性に配慮した学習支援を心がけており、以下のようなサポートを提供しています。
- 集中しやすい環境:1対1の指導で、気が散りやすい子どもでも落ち着いて学べる環境
- 柔軟なカリキュラム:特性や子どものペースに合わせた指導内容
- 成功体験の積み重ね:褒めて伸ばす指導で、自己肯定感を育てる
自宅での学習や宿題のサポートにお困りの方は、ぜひ家庭教師のトライをご検討ください。
ASD(自閉スペクトラム症)

次にASD(自閉スペクトラム症)について、以下を解説します。
- ASDの特徴
- ASDの子どもが宿題をしない理由
- 無理なく宿題に取り組める方法
保護者にできる適切なサポートは何か、考えていきましょう。
ASD(自閉スペクトラム症)の特徴
ASD(自閉スペクトラム症)では、主に以下のような特徴が見られます。
コミュニケーションにおける特徴
- 相手の意図を理解することに難しさを感じることがある
- 場の空気を読み、それに合った行動をすることが苦手
- 言葉の比喩的な表現や暗黙の意味の理解が困難な場合がある
こだわる傾向
- 特定のルールや手順を重視する傾向がみられることがある
- 予定の変更に対して不安を感じやすい
- 順番や競争事で一番になれないと感情が分かりやすく表に出る
興味や関心の特性
- 特定の分野に対して強い興味と集中力を示すことがある
- 興味のある分野とない分野で取り組み方に差が出やすい
- インターネットやゲーム、アニメなどに没頭する
こうした特徴は学習や宿題において独特のこだわりを見せ、周囲と足並みを揃えられず、友人関係が上手くいかないなどのトラブルを引き起こすことがあります。
ASD(自閉スペクトラム症)かチェックするポイント
以下のような行動が日常的に見られる場合、ASDの可能性が高いといえます。
- 指示を具体的に伝えないと実行できない
- グループ活動や共同作業をいやがる
- 興味のある分野にだけ集中し、それ以外には無関心
- 突然の予定変更に強い抵抗を示す
- 言葉どおりの意味しか受け取れない(比喩や冗談が通じにくい)
ただし、上記のチェックリストはあくまで参考です。正確な診断を受けたい場合は、必ず専門機関で相談しましょう。
ASD(自閉スペクトラム症)の子どもが宿題をしない理由
ASDの特性がある場合、以下のような理由で宿題への取り組みにくさを感じることがあります。
- 曖昧な指示が理解できない:具体的でない課題に取り組むことが難しい
- 興味のない内容へのモチベーションが低い:好きな分野以外には関心が向きにくい
- こだわりによるいらだち、など:予想外の展開や課題内容の変更に抵抗を示す
これらの要因が重なることで、宿題に対するハードルが高く感じられる場合があります。
特にASDの子どもは、ルールが曖昧な事柄に対して拒否反応が起こりやすい傾向
があります。
次に紹介する方法で、宿題に対するハードルを下げてあげましょう。
ASD(自閉スペクトラム症)の子どもが無理なく宿題に取り組める方法
ASDの子どもが宿題を進めやすくするためには、以下の工夫が効果的です。
- 具体的な指示を出す:曖昧な言葉ではなく、「何を」「どうすればいいのか」を明確に伝える
- 視覚的サポートを活用する:図や表、チェックリストを使って宿題の手順や解き方を見える化する
- 一定のルールを作る:決まったスケジュールや手順で学習を進められるようにし、安心感を与える
これらを実践すると、ASDの子どもの宿題に対する負担を軽減
できるかもしれません。
上記を参考にして子どもに合う方法を試しながら、適切なサポートを行いましょう。
家庭教師のトライがASD(自閉スペクトラム症)の特性を持つお子さまにおすすめな理由

家庭教師のトライでは、ASDのお子さまに対して、その特性に配慮した学習支援を心がけており、以下のようなサポートを提供しています。
- 個別対応で柔軟な指導:子ども一人ひとりの特性に合わせた授業内容を提案
- 視覚的教材の活用:図やイラストを使い、わかりやすく具体的に指導
- 安心できる学習環境:家庭内の安心できる空間での指導により、子どもがリラックスして学べる
自宅での学習や宿題のサポートにお困りの方は、ぜひ家庭教師のトライをご検討ください。
SLD/LD(限局性学習症/学習障害)

SLD/LD(限局性学習症/学習障害)について、以下を解説します。
- SLD/LDの特徴
- SLD/LDの子どもが宿題をしない理由
- 無理なく宿題に取り組める方法
これらについて、詳しく見ていきましょう。
SLD/LD(限局性学習症/学習障害)の特徴
SLD/LD(限局性学習症/学習障害)は、全体的な知的発達に遅れがなくても、特定の学習領域で困難を感じる
ことがあります。
- 読み書きが苦手:文字を読む・書くスピードが遅い、または文字の形を間違える
- 計算が苦手:数字や計算方法を覚えられない、計算ミスが多い
- 推論が苦手:結果を予測したり想像したりすることが困難
- 特定の科目で著しい困難:特定の科目で学習内容が理解できない
上記のような特徴があります。
SLD/LD(限局性学習症/学習障害)かチェックするポイント
以下のような行動が日常的に見られる場合、SLD/LDの可能性が高いといえます。
- 同年代の子どもと比べて文字の読み書きが遅い
- 学校の授業についていけないと感じることが多い
- 数字や記号の理解に時間がかかる
- 宿題の答えがわかっても、文字や数字で書くのが難しい
ただし、上記のチェックリストはあくまで参考です。正確な診断を受けたい場合は、必ず専門機関で相談しましょう。
SLD/LD(限局性学習症/学習障害)の子どもが宿題をしない理由
SLD/LDの特性がある場合、以下のような理由で宿題に取り組みにくさを感じることがあります。
- 読む・書くことが困難:文字や数字を扱う作業そのものが負担に感じる
- 授業内容が理解できていない:宿題の前提となる知識が不足している
- 成功体験の不足:繰り返しの失敗により、宿題に対する意欲を失っている
特にSLDの子どもにとっては、上記の理由から、そもそも宿題の問題が解けない場合
があります。
SLD/LD(限局性学習症/学習障害)の子どもが無理なく宿題に取り組める方法
SLD/LDの子どもの宿題をサポートする方法として、以下の対策が効果的です。
- 補助ツールの活用:読み上げソフトを活用したり、言葉・視覚をうまく用いてサポートする
- 小さなステップに分けて進める:簡単な問題から徐々に難易度を上げて成功体験を積む
- 褒めて自己肯定感を高める:できたことを細かく認め、意欲を育む
これらを丁寧に行うことでモチベーションが高まり、やる気が出たり自信につながったりします。
SLD/LDの子どもは学習に対する苦手意識が強い傾向があります。最初からすべてを解かせようとするのではなく、今できていることを認め、褒めながら進めましょう。
家庭教師のトライがSLD/LD(限局性学習症/学習障害)の特性を持つお子さまにおすすめな理由

家庭教師のトライでは、SLD/LDのお子さまに対して、その特性に配慮した学習支援を心がけており、以下のようなサポートを提供しています。
- 苦手科目の徹底サポート:読み書きや計算の基礎を個別に指導
- 得意分野を伸ばす指導:得意な教科を活かして学習意欲を高めるアプローチ
- 子どもの進捗に合わせた指導:焦らず、一人ひとりのペースで学習を進められる
自宅での学習や宿題のサポートにお困りの方は、ぜひ家庭教師のトライをご検討ください。
発達障害の子どもの学習に関するよくある質問

ここからは、発達障害の子どもの学習に関して、よくある質問を紹介します。
- 宿題をしない子どもにやってはいけない行動は?
- 家庭で対応できない場合はどうすれば良い?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
宿題をしない子どもにやってはいけない行動は?
すぐに宿題をやってほしいと思う保護者は多いものです。
しかし、気持ちを一旦落ち着かせて、子どもに宿題をいやなものだと感じさせないように
気を付けましょう。
- 感情的に叱る
- 他の子どもと比較する
- 宿題を無理やりやらせる
特にこれらの対応は避けてください。
子どもが宿題に前向きに取り組めるよう、前述したようなポジティブな働きかけを心がけることが大切です。
家庭で対応できない場合はどうすれば良い?
保護者の方が一人で抱え込まず、外部の協力を得ることが重要です。
家庭での対応が難しい場合、以下の方法を検討しましょう。
- 学校に相談:特別支援学級の利用や子どもに合った指導計画の作成を依頼する
- 医療機関や専門家に相談:発達障害に詳しい医療機関で診断やアドバイスを受ける
- 家庭教師や学習支援サービスを利用:個別に特化した学習指導を受け、子どものペースに合わせた学習を進める
- 自治体や地域の支援機関を活用:発達障害を持つ子どもや保護者を対象としたサポートサービスが利用できる場合がある
第三者の協力を得ることで、親子ともに負担が軽減され、前向きに学習へ取り組む環境を整えることができます
。
まとめ

本記事では、子どもが宿題をしない理由や、その背景に発達障害が関係している場合の特性や対処法について解説しました。
宿題をしない理由は、単なる「やる気がない」や「怠けている」ではなく、次のような特性が影響
している場合があります。
- ADHD(注意欠如・多動症):集中力が続かず、先延ばしをしてしまう
- ASD(自閉スペクトラム症):曖昧な指示が理解できず、興味を持てない
- SLD/LD(限局性学習症/学習障害):読み書きや計算に困難があり、宿題そのものが負担に感じる
それぞれの特性に応じた対応を行うことで、子どもが少しずつ宿題に向き合えるようになります。
また、発達障害の子どもが宿題に取り組むための具体的な方法として、以下の工夫が効果的です。
- 宿題を小さなステップに分ける
- 宿題に取り組む準備をしてあげる
- できたことを褒めてモチベーションを上げる
- 指示を細かく明確にし、宿題を解き進められるようサポートする
- 宿題に集中できる環境を作る
ただし、家庭で対応しきれない場合は保護者の方が一人で抱え込まず、学校や医療機関、学習支援サービスの協力を得ることが重要です。
子どもに合った支援方法を見つけることで、親子ともに学びの楽しさを共有できるようになります。焦らず、一歩ずつ前進していきましょう。