高校進学を考える際の選択肢の一つに、通信制高校があります。
通信制高校には自分のペースで無理なく通えるメリットがありますが、「入学後、一人で勉強を進められるだろうか」と不安を抱える方もいるかもしれません。
そのような中で注目されているのが「通信制高校サポート校」です。
通信制高校サポート校は、通信制高校に通う生徒一人ひとりに合わせて、学習面や精神面でのきめ細やかなサポート
を行います。
少人数制のクラス編成や手厚い進路指導など、生徒の個性や将来の目標に応じたサポートが充実しているため、安心して高校生活を送れるでしょう。
この記事では、通信制高校サポート校の特徴や通信制高校との違いを解説し、通信制高校サポート校を利用するメリットについても詳しく解説します。
高校選びで悩んでいる方や、自分に合った学習環境を探している方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
通信制高校サポート校とは
まずは、通信制高校サポート校とはどのようなところなのか解説します。
通信制高校サポート校とは、通信制高校に在籍する生徒に対して、学習面や精神面でのサポートを行う教育機関
です。
一般的に、通信制高校には2つの課題があると言われています。それは「卒業率の低さ」と「進路決定率の低さ」です。
文部科学省の学校基本調査によると、令和5年度の通信制高校の進路決定率は以下のとおりです。
高校 | 卒業者 | 進路決定者 | 進路決定率 |
通信制高校 | 76,624人 | 52,489人 | 68.5% |
また、同じく文部科学省が行った調査によると、令和4年度の通信制高校の中退率は全日制より高い傾向にあります。
高校 | 中退率 |
全日制高校(公立) | 0.8% |
全日制高校(私立) | 1.4% |
通信制高校(公立) | 5.0% |
通信制高校(私立) | 3.5% |
参照:令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について
通信制高校では自宅学習を中心に学びを進めるため、学習習慣の確立や学習内容の理解に困難を抱える生徒も少なくありません。
通信制高校サポート校を利用することで、通信制高校の課題である「卒業率」と「進路決定率」の低さをカバーできるのです。
通信制高校と通信制高校サポート校の違い
通信制高校サポート校と通信制高校は似ているようで、いくつか違いがあります。主な違いは、次の4つです。
- 卒業資格
- 運営元
- 学費
- サポート体制
ここでは、4つの違いについて一つずつ詳しく説明します。それぞれの違いを知ることで、自分に合った学校が選べるでしょう。
卒業資格
通信制高校と通信制高校サポート校では、卒業したときに取得できる資格に大きな違いがあります。
通信制高校を卒業すれば高卒資格を取得できます。しかし、通信制高校サポート校の卒業のみでは高卒資格を取得することはできません。
なぜなら、通信制高校サポート校は正式な「高等学校」ではないからです。
通信制高校サポート校は、通信制高校に通う生徒を学習面や精神面で支援するための施設です。そのため、通信制高校サポート校だけを卒業しても高卒資格を取得することはできないのです。
ただし、ほとんどの通信制高校サポート校には連携校があり、通信制高校サポート校と通信制高校の両方に同時入学することが一般的です。
運営元
学校を運営している組織も、通信制高校と通信制高校サポート校の違いの一つです。
公立の通信制高校は地方自治体(都道府県や市区町村)が運営し、私立の場合は学校法人が運営しています。一方、通信制高校サポート校は、学校法人や民間法人(塾や予備校など)が運営していることがほとんどです。
このように、通信制高校は公的な機関や学校法人が運営しているのに対し、通信制高校サポート校は主に民間企業が運営している
点に大きな違いがあります。
学費
通信制高校と通信制高校サポート校には、学費にも違いがあります。
多くの通信制高校では、1単位あたりの授業料が決まっており、選択する授業の数(単位数)によって学費が決まります。
私立・公立の1単位あたりの授業料と、学費の目安を以下の表にまとめました(卒業に必要な74単位を取得する場合)。
私立 | 公立 | |
1単位あたりの授業料 | 6,000~12,000円 | 336~700円 |
74単位取得する場合の学費 | 444,000~888,000円 | 24,864~51,800円 |
一方、通信制高校サポート校を利用する場合は、通信制高校の学費に加えて費用が発生します。通信制高校サポート校の学費はサポート内容によって異なりますが、年間で約40万円から100万円程度かかることが一般的です。
ただし、通信制高校サポート校によっては、学費の中に通信制高校の費用が含まれている場合もあります。
具体的な学費を知りたい方は、通信制高校サポート校に直接問い合わせて確認することをおすすめします。
通信制高校サポート校の学費は、一見すると高く感じられるかもしれません。
しかし、提供されるさまざまなサポートや長期的な視点で考えると、総合的な費用は決して高くないといえるでしょう。なぜなら通信制高校サポート校では、授業をしっかり理解できるようにサポートしてくれるため、単位を取りこぼす可能性を低くできるからです。
単位を取りこぼすと、その分の授業をもう一度受けなければならず、余分なお金と時間がかかってしまいます。通信制高校サポート校を利用することで、最終的に余分な費用を払わなくて済むでしょう。
サポート体制
通信制高校のサポート体制は学校によってさまざまですが、基本的に生徒の自主性に委ねられています。
一方、通信制高校サポート校は、生徒一人ひとりに寄り添ったきめ細やかなサポートを提供しています。
たとえば、少人数のクラスや個別指導を通じて生徒の学習や生活の状況を把握し、適切なアドバイスやサポートを行っている点が挙げられます。また、進路指導や就職支援なども充実しており、生徒の将来を見据えたサポートも受けられます。
通信制高校サポート校は、通信制高校の課題をカバーし、生徒が安心して学習を進められる環境と言えるでしょう。
通信制高校サポート校を利用するメリット
通信制高校サポート校を利用するメリットは、次の5つです。
- スムーズな卒業に向けたサポートを受けられる
- 進路実現に向けたサポートを受けられる
- メンタル面のサポートを受けられる
- 自分に合った学習方法を選べる
- 他の生徒と交流する機会を得られる
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
通信制高校サポート校を利用しようかどうか検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
スムーズな卒業に向けたサポートを受けられる
通信制高校サポート校では、生徒の卒業までの道のりを手厚くサポートします。少人数クラスや個別指導を通じて、一人ひとりに合わせたきめ細かな対応が可能です。
たとえば、以下のようなサポートが受けられます。
▼レポートの提出をサポート
通信制高校ではレポート提出が単位取得において重要な評価基準になります。
通信制高校サポート校では、レポートの書き方指導や添削を行い、質の高いレポートを提出できるようサポートします。
また、提出期限を守れるようスケジュール管理のアドバイスも行います。
▼学習計画の作成と進捗管理
通信制高校サポート校の教師やカウンセラーが、生徒の目標や学習状況に合わせて、個別に学習計画を立てサポートします。
年間スケジュールを作成し、定期的な面談で進捗状況を確認するため計画的に学習を進められ、卒業への道のりが明確になります。
通信制高校サポート校には経験豊富な教師やカウンセラーが在籍しており、生徒一人ひとりの学習状況や目標に合わせた個別指導を行います。
通信制高校サポート校のきめ細やかなサポートを受けることで、通信制高校の卒業がより現実的になり、安心して学習を進められる
でしょう。
進路実現に向けたサポートを受けられる
大学進学や就職など、希望する進路を実現するさまざまなサポートが充実していることも通信制高校サポート校のメリットです。
▼進学を目指す方へのサポート
進学を目指す生徒には、受験対策や進学情報の提供を行います。
特に難関大学を目指す場合は、専門的な指導を受けられる場合もあります。
志望校合格に向けた手厚いサポートが受けられ、安心して受験勉強に取り組めます。
▼就職を目指す方へのサポート
まずは、生徒一人ひとりの希望や適性に合わせたキャリアカウンセリングを実施し、自分に合った職業や進路を見つけるお手伝いをします。
また、インターンシップの機会を提供し、実際の職場で経験を積むこともできます。
これにより、社会で通用する実践的なスキルを身につけることができるでしょう。
▼資格取得を目指す方へのサポート
将来のキャリアに役立つ資格の取得を目指せるプログラムも充実しています。
IT関連の資格や語学検定など、さまざまな分野の資格取得をサポートします。
通信制高校サポート校では、さまざまな進路に対応したサポートプログラムを用意しているため、生徒は自分の夢や目標に一歩一歩近づきながら学習を進められます。
高い大学進学率・合格実績を誇るトライ式高等学院
トライ式高等学院は、通信制高校の生徒を対象にした通信制高校サポート校です。生徒一人ひとりに寄り添い、きめ細やかなサポートを提供
しています。
トライ式高等学院の大きな特徴は、「家庭教師のトライ」で長年培ってきた受験対策のノウハウと質の高い授業で、大学合格を目指せることです。
通信制高校の生徒の大学進学率(短期大学を含む)は平均24.1%ほどですが、トライ式高等学院の生徒の大学進学率は69.8%と非常に高い水準を誇ります。
通信制高校に通いながら、大学進学を目指したい生徒にとって、トライ式高等学院は心強い存在となるでしょう。
参照:
学校基本調査 / 令和5年度 初等中等教育機関・専修学校・各種学校 卒業後の状況調査 卒業後の状況調査票(高等学校 通信制)
トライ式高等学院で志望校合格を実現|通信制高校・サポート校のトライ式高等学院
メンタル面のサポートを受けられる
スタッフやカウンセラーによるメンタル面のサポートが重視されているところも、通信制高校サポート校を利用するメリットです。
多くの通信制高校サポート校にはスクールカウンセラーが常駐しており、生徒がいつでも相談できる環境が整っています。学習面だけでなく、生活面や進路についても相談に乗ってもらえるため、学校生活を送るうえでの不安や悩みを解消できます。
過去に不登校やいじめを経験した生徒や、登校日数が少ないことで孤独を感じている生徒にとって、このようなメンタルサポートは非常に心強いでしょう。
通信制高校サポート校は、より手厚いサポートを受けられる環境が整っているため、心の不安を抱えている生徒にとっては特におすすめの選択肢
です。
自分に合った学習方法を選べる
通信制高校サポート校では、生徒一人ひとりの学習スタイルに合わせた多様な学習方法を選べます。
・自宅学習
・通学学習
・オンライン学習
・自宅訪問学習
特にオンライン学習や自宅訪問学習は、通学することに抵抗がある生徒でも自分のペースで無理なく進められる学習形態です。
通信制高校サポート校は、さまざまな背景を持つ生徒たちに対して柔軟な学習機会を提供しています。個性を大切にしながら自分のペースで高校卒業を目指せるでしょう。
トライ式高等学院では一人ひとりの状況に合わせた丁寧なサポートを実施
トライ式高等学院は、生徒一人ひとりのニーズに合わせた学習プランで効率的に高校卒業を目指せる通信制高校サポート校です。
トライ式高等学院では、「特進科」と「普通科」の2つのコース、そして「通学」「在宅」「オンライン」の3つの受講スタイルを用意しています。
生徒はそれぞれの目標や希望に応じて、コースと受講スタイルを自由に組み合わせたり、状況に応じて変更できたりします。
さらに、トライ式高等学院は、不登校の生徒へのサポート体制も充実
しています。
「トライ式不登校解決サポート」では、カウンセラーが生徒の自宅を訪問し、保護者と生徒とのカウンセリングを行います。外出することに抵抗を感じる生徒にはドア越しの会話や手紙のやり取りから始めるなど、生徒の心理的負担を軽減しながら、少しずつ信頼関係を築いていくことも可能です。
他の生徒と交流する機会を得られる
通信制高校サポート校では、部活動や行事が活発に行われており、他の生徒と交流する機会が多くあります。このような経験を通じて、コミュニケーション能力やチームワークを育めるでしょう。
ただ、「対面でのコミュニケーションは苦手…」という方もいるかもしれません。また、「自分の住んでいる地域から離れている通信制高校サポート校の活動には、なかなか参加できない…」という方もいるでしょう。
しかし、オンラインでのイベントを開催している通信制高校サポート校もあります。オンラインなら、場所や時間に縛られずに、他の生徒とつながれます。
このように通信制高校サポート校では、自宅にいながらにして友達を作ったり、興味のあることを一緒に学んだりできるチャンスがあるのです。
通信制高校サポート校に関するよくある質問
最後に、通信制高校サポート校にまつわるQ&Aを用意しました。
- 通信制高校サポート校を利用するデメリットはある?
- 通信制高校サポート校は不登校でも利用できる?
- 通信制高校サポート校の学費は補助金の対象になる?
気になる質問があれば、ぜひ回答をチェックしてみてください。
通信制高校サポート校を利用するデメリットはある?
通信制高校サポート校には、次の2つのデメリットがあります。
▼高卒資格を得るには、通信制高校にも在籍する必要がある
通信制高校サポート校だけでは高校卒業資格を取得できません。通信制高校サポート校は、あくまでも通信制高校の学習をサポートする施設です。
高校を卒業するためには、通信制高校に正式に入学し、単位を取得する必要があります。
▼費用がかかる
通信制高校サポート校を利用するには、通信制高校の学費とは別に、追加の費用がかかります。そのため、トータルの学費が高くなってしまうことに留意しましょう。
通信制高校サポートには多くのメリットがありますが、これらのデメリットも考慮しつつ、自分に合った学習環境を選ぶことが大切です。
通信制高校サポート校は不登校でも利用できる?
通信制高校サポート校は、不登校の生徒にとっても心強い存在です。
通信制高校サポート校には、個別指導や不登校解決サポートの実施、同じ境遇の仲間と交流できる環境の提供など、不登校の生徒でも無理なく学習しやすい環境が整っていることが多いです。
不登校解決サポートは、教師が自宅訪問して直接指導を行うものや、週1回の通学から始められるものなどさまざまです。
また、オンラインや家庭訪問でのサポートを行っている通信制高校サポート校もあり、通学が難しい生徒でも学習を継続できる環境
が整っています。
加えて、通信制高校サポート校のスタッフは不登校の生徒の心理的なサポートにも注力しているため、学習面だけでなく精神面でのサポートも期待できます。
通信制高校サポート校の学費は補助金の対象になる?
通信制高校サポート校の学費は補助金の対象にはなりません。ただし、連携校の学費については、高等学校等就学支援金制度という補助金の対象となります。
所得要件や支給額は以下のとおりです。
▼所得要件
年収約910万円未満であること。
所得要件の詳細は、地方住民税の課税標準額や調整控除額にもとづいて判断されます。
▼支給額
公立高校:全日制は月額9,900円、定時制は月額2,700円、通信制は月額520円
私立高校:全日制・定時制・通信制ともに月額9,900円(世帯所得や通う学校種により加算支給される場合があります)
ただし、利用できる補助金について、詳細は連携校に直接確認することをおすすめします。
まとめ
この記事では、通信制高校サポート校の特徴や通信制高校との違いや、通信制高校サポート校を利用するメリットについて解説しました。
通信制高校サポート校とは、通信制高校の生徒がより充実した学習環境を得られるよう支援する施設です。
通信制高校サポート校と通信制高校には、次の4つの違いがあります。
- 卒業資格
- 運営元
- 学費
- サポート体制
また、通信制高校サポート校を利用するメリットは次の5つです。
- スムーズな卒業に向けてサポートを受けられる
- 進路実現に向けたサポートを受けられる
- メンタル面のサポートを受けられる
- 自分に合った学習方法を選べる
- 他の生徒と交流する機会を得られる
通信制高校と組み合わせることで、学びの質を高め、効果的な教育を受けられます。
高校選びで悩んでいる方や自分に合った学習環境を探している方は、通信制高校サポート校の利用を検討してみると良いでしょう。