「通信制高校は全日制や定時制と何が違う?」
「通信制高校に通うメリットは?」
中学校卒業後の主な進学先として挙げられるのが、通信制高校・全日制高校・定時制高校の3つです。
中でも通信制高校は、登校日数が少なく卒業が難しいイメージもあり、選択肢に入れるべきか悩む方も多いのではないでしょうか。
本記事では、通信制高校・全日制高校・定時制高校の違いや共通点、通信制高校のメリット・デメリットを解説します。
各高校について理解を深めてから進学先を選びたい方
は、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
通信制高校・全日制高校・定時制高校の5つの違い
ここでは通信制高校・全日制高校・定時制高校の違いについて、下記5つのポイントから解説します。
- 入学試験
- 登校日数・時間帯
- 学習方法
- 学習制度(単位制・学年制)
- 卒業要件
進学先を選ぶにあたって、まずはそれぞれの違いを整理しましょう。
1.入学試験
通信制高校・全日制高校・定時制高校における入学試験の違いは以下のとおりです。
高校 | 一般的な試験内容 |
通信制高校 | 書類審査・作文・面接 |
全日制高校 | 学力検査(5教科)・内申点・面接 |
定時制高校 | 学力検査(3教科)・面接 |
多くの通信制高校では、学力検査を実施しません。学力検査がある場合でも、国数英の3教科である場合がほとんどです。
通信制高校は勉強に対する意欲を重視する傾向にあるため、学力に自信がなくても比較的受かりやすいでしょう。
全日制高校では一般的に「学力検査」「内申点」「面接」の3つがセット
になっています。
定時制高校にも学力検査はありますが、基本的には国数英の3教科のみです。
全日制高校に比べると難易度は低い傾向で、学校によっては実施していないところもあります。
2.登校日数・時間帯
通信制高校・全日制高校・定時制高校の登校日数・時間帯は以下のとおりです。
高校 | 登校日数 | 時間帯 |
通信制高校 | 年間約20日 (学校によって異なる) | 学校によって異なる |
全日制高校 | 週5日 | 朝から夕方 (1日5〜8時間程度) |
定時制高校 | 週5日 | 「夜間制」「昼間二部制」「三部制」のいずれか (1日4時間程度) |
登校日数が最も少ないのは通信制高校です。
ただし、単位を取得するためには学校で決められた回数だけ登校し、教師の直接指導を受ける「スクーリング」が必要になります。
スクーリングは週1〜2日行うのが一般的
ですが、毎日行っている学校もあれば、年4日程度のみとしている学校もあります。
時間帯は通信制高校・全日制高校・定時制高校によって異なります。
定時制高校は夜間に通うものと思われがちですが、朝と昼の時間帯に授業を行う制度もあります。
基本的には毎日登校しますが、1日の授業時間は4時間程度と短めです。
3.学習方法
通信制高校・全日制高校・定時制高校における学習方法は以下のとおりです。
高校 | 学習方法 |
通信制高校 | 自宅学習とレポート提出が中心 |
全日制高校 | 教師による対面授業が中心 |
定時制高校 | 教師による対面授業が中心 |
登校日数が少ない通信制高校では、自宅での自主学習がメインとなります。教科書やWeb上の授業を見てレポートを作成し、学校に提出するのが一般的です。
また、週1〜2回ほどのスクーリングで面接・レポートの添削指導を受けます。
全日制高校と定時制高校は教師による対面授業が中心
で、学習内容もあまり変わりません。
ただし、定時制高校では全日制高校よりも、基礎基本の定着を重視した指導を行います。
4.学習制度(単位制・学年制)
通信制高校・全日制高校・定時制高校における学習制度は以下のとおりです。
高校 | 学習制度 |
通信制高校 | 単位制が基本 |
全日制高校 | 学年制が基本 |
定時制高校 | 学年制が基本 |
いずれの高校でも、卒業するためには一定数の単位を取得する必要があり、その方法は「単位制」と「学年制」に分かれています。
多くの通信制高校では、科目ごとに単位を取得する「単位制」が導入されています。
選択した科目で単位が取れなくても、同じ授業を次年度に履修することで取得可能です。
全日制高校や定時制高校は、学年ごとに取るべき単位・単位数が決まっている「学年制」がほとんど。
必要な単位数が足りなければ留年
し、3年間で卒業できなくなる可能性があります。
5.卒業要件
通信制高校・全日制高校・定時制高校における卒業要件は以下のとおりです。
高校 | 卒業要件 | 注意事項 |
通信制高校 | ・36ヶ月以上の在籍期間 ・74単位以上の取得 ・30単位時間以上の特別活動への出席 | スクーリングの回数も単位取得の要件に含まれる |
全日制高校 | ・36ヶ月以上の在籍期間 ・74単位以上の取得 | 出席日数が足りない場合は留年の可能性がある |
定時制高校 | ・36ヶ月以上の在籍期間 ・74単位以上の取得 | 出席日数が足りない場合は留年の可能性がある |
全日制高校・定時制高校はどちらも「36ヶ月以上の在籍期間」「74単位以上の取得」をクリアすると卒業できます。
基本的には毎日学校で授業を受け、テストを通過することで単位を取れますが、このとき決められた出席日数も満たさなければなりません。
学校によって必要な出席日数は異なりますが、一つでも単位を落とすと留年する可能性があるため注意しましょう。
通信制高校の場合、ホームルームや学校行事などの特別活動における出席日数も、卒業要件の一つです。
各科目で単位を取得するためにスクーリングが必要なので、登校日はできる限り授業に参加しましょう。
通信制高校・全日制高校・定時制高校で共通していること
通信制高校・全日制高校・定時制高校にはさまざま違いがある一方で、共通点もいくつか存在します。主な共通点は以下の3つです。
- 学歴
- 学習内容
- 卒業に必要な年数
上記の共通点を知ることで、より具体的に入学後のイメージができるため、進学先も選びやすくなるでしょう。
学歴
通信制高校・全日制高校・定時制高校を卒業した場合の学歴は「高卒」です。よく似た言葉として挙げられる「高卒認定」とは異なります。
「高卒認定」の正式名称は「高等学校卒業程度認定試験」です。年2回実施される試験に合格すると「高校卒業者と同等もしくはそれ以上の学力がある」と認められます。
ただし、高卒認定は高卒と違って、大学や専門学校などに進学しない限り、最終学歴が「中卒」となってしまう
点に注意が必要です。
高卒認定を取得することで大学や専門学校への進学が可能となり、就職先の幅も広がりますが、それでも高卒のほうが有利といえるでしょう。
学習内容
学習内容も通信制高校・全日制高校・定時制高校で共通しており、学習指導要領に基づいてカリキュラムを編成しています。
学習指導要領とは、各学校でカリキュラムを組む際の基準について、文部科学省が定めたものです。
どの高校でも、学習指導要領をもとに各教科の目標や教育目標を決めています。
卒業するために必要な「必修科目」や、それ以外の「選択科目」の種類も共通です。
卒業に必要な年数
通信制高校・全日制高校・定時制高校は卒業までの年数が最低でも3年必要です。
学校教育法の第55条では、高校の修業年数について以下のように規定しています。
引用:学校教育法 | e-Gov法令検索全日制の課程については、三年とし、定時制の課程及び通信制の課程については、三年以上とする。
そのため、多くの全日制高校では各学年に必要な単位を取得することで進級し、3年生の修了と同時に卒業が認められています。
定時制高校も全日制高校と同じく学年制が基本ですが、授業時間が短く、単位を取得するのに時間がかかるため、4年で卒業するのが一般的です。
単位制の定時制高校に入学し、1日の授業時間を多めに取ると3年で卒業することもできます。
通信制高校は単位制が基本なので、必ずしも3年で卒業する必要はありません。
しかし、単位制の定時制高校と同じように授業数を増やし、計画的に勉強を進めることで3年での卒業も可能です。
ただし、卒業には36ヶ月の在籍期間が必要なので、他の高校と同様に卒業まで最低3年はかかります。
通信制高校に進学するメリット・デメリット
通信制高校には、以下のメリット・デメリットがあります。
メリット | ・自分のペースで学習を進められる ・時間に融通が利くため無理なく通学できる ・個別指導やサポートが充実している学校もある |
デメリット | ・自己管理やモチベーションの維持が必要になる ・友人や教師とのコミュニケーションが限られる |
通信制高校は全日制高校や定時制高校と比較したときに異なる部分が多く、進学先として選ぶべきか悩む方も多いでしょう。
ここからは、通信制高校のメリットやデメリット・対処法を解説していきます。
メリット①自分のペースで学習を進められる
通信制高校は、自分のペースで学習を進められる点が大きなメリットです。
全日制や定時制の高校では、生徒全員が同じペースで、決められたカリキュラムに沿って授業を受ける必要があります。
しかし通信制高校は自学自習が基本で、毎日通学する必要もない
ため、自分のペースで勉強に取り組めます。
また多くの通信制高校は単位制で、自由にカリキュラムを組むことも可能です。
卒業に必要な74単位以上を満たせば、あとは希望する進路や興味がある分野に応じて「いつ」「何を」勉強するのか決められます。
自分の好きなように授業を組み、無理のないペースで学習を進められるのは、通信制高校の強みといえるでしょう。
通信制高校サポート校の利用もおすすめ
通信制高校への進学を検討する際「通信制高校サポート校」の利用も合わせて考えましょう。
「通信制高校サポート校」とは、通信制高校の卒業に向けて、学習指導をはじめ多様な側面から生徒をサポートする教育機関です。
通信制高校サポート校では、単位取得に向けた学習指導や専門家によるカウンセリング、大学進学を目指した受験対策
などを実施。
生徒の進路実現に向けて、さまざまなサポートをしています。
自分のペースで学習を進めながら、確実に単位を取得して3年での卒業を目指したい方は、通信制高校サポート校の利用も検討してみましょう。
トライ式高等学院では状況に合わせてコース・受講スタイルを選べる
参照:通信制高校で大学進学丨通信制高校・サポート校のトライ式高等学院
トライグループが運営する通信制高校サポート校「トライ式高等学院」では、お子さまの状況に合わせてコース・受講スタイルを柔軟に設定できます。
選べるコースは「特進科」「普通科」の2つです。どちらも専任制の講師によるマンツーマン指導で、高校卒業や大学進学をサポートします。
受講スタイルは「通学」「在宅」「オンライン」の3つから選択可能です。状況に合わせて途中で変更したり、受講スタイルを組み合わせたりして利用することもできます。
メリット②時間に融通が利くため無理なく通学できる
通信制高校の登校日数は少ないため、全日制・定時制に比べて時間に融通が利きます。
普段働いている方や将来の夢に向けて活動している方、資格取得や他の勉強などを同時に行っている方でも、無理なく通学できるでしょう。
また、体調によって毎日の活動時間が限られる方
にとっても、通信制高校の自由度が高いスタイルはメリットです。
たとえば、起立性調節障害で午前中の登校が難しい場合は、午後の時間帯に授業を組むことで通いやすいタイミングをつくれます。
起立性調節障害に対応した学校もあるため、体調の変化による不安も減らせるでしょう。
通信制高校に進学すると、さまざまな事情を抱えた方でも無理なく卒業を目指せます。
メリット③個別指導やサポートが充実している学校も
通信制高校には不登校を経験した方や、過去に高校を卒業できなかった方、体調や持病のために毎日の通学が難しい方などが入学する傾向にあります。
どのような生徒でも安心して通学できるよう、多くの通信制高校では個別指導やサポート体制を充実させています。
たとえば、専門のカウンセラーが常駐している学校では、生徒や保護者からの相談に対応可能です。
不登校を経験した生徒でも、メンタルサポートを受けることで通学のストレスや不安が軽減される
でしょう。
また、高校の学習についていけるか不安な生徒に対して、小・中学校段階の勉強内容をフォローしてくれる通信制高校もあります。
通信制高校への進学を検討する際は、個別指導やサポート体制が充実している学校がおすすめです。
デメリット①自己管理やモチベーションの維持が必要になる
通信制高校のデメリットは、自宅で学習するときに計画を立てて実行する自己管理力や、モチベーションの維持が必要になる
点です。
通信制高校は自学自習が基本であるため、自力で勉強に取り組む必要があります。
何時から勉強を始めるのか、いつまでにレポートを終わらせるのかなどを考え、計画通りに進めなければなりません。
自己管理を怠ると勉強が思うように進まず、3年での卒業は厳しくなるでしょう。
やる気を刺激し合う仲間も作りにくいため、モチベーションの維持も難しいと感じる生徒も多いです。
通信制高校サポート校を利用するのも◎
通信制高校サポート校では、生徒一人ひとりに合わせた学習計画の策定や、レポート作成時の指導が可能です。
自己管理が苦手な生徒でも、無理なく学習を進められるでしょう。
多くのサポート校では個別指導も行っており、わからない部分があってもすぐに質問して疑問を解消できます。
勉強がわかるようになると、モチベーションも上がりやすくなります。
また、通信制高校で単位を取得するためには「単位認定試験」
というテストに合格しなければなりません。
試験を通過するためにも、通信制高校サポート校を利用して学習内容の理解を深めましょう。
デメリット②友人や教師とのコミュニケーションが限られる
通信制高校は登校日数が少なく、1日の授業時間も短いため友人や教師とのコミュニケーションが限られてしまいます。
年数回しかスクーリングがない通信制高校だと、同級生や教師の顔をよく知らないまま卒業する可能性もあるでしょう。
ただし、すべての学校で登校日数が限られているわけではありません。通信制高校の中には、全日制や定時制と同じく週4〜5日の登校日を設定できる学校もあります。
通信制高校でも友人を作ったり、教師とコミュニケーションを取ったりしたい場合は、登校日数が多い学校を選びましょう。
部活動や学校行事を積極的に行っている通信制高校もおすすめです。
「気の合う友人を見つけたい」「交流の幅を広げたい」という方は、通信制高校サポート校を利用することで希望を実現できる可能性があります。
トライ式高等学院では参加自由なサークル活動や部活動が充実
参照:通信制高校で大学進学丨通信制高校・サポート校のトライ式高等学院
トライ式高等学院では全国に123ヶ所あるキャンパスで、自由に参加できるサークル活動や部活動を行っています。
体育祭や文化祭などの行事はもちろん、オンラインのイベントも開催しているため、全国の人と出会い、気の合う友人も見つけられるでしょう。
また、トライ式高等学院はすべての行事・活動への参加が自由
です。生活スタイルや体調に合わせて、好きなタイミングで参加できます。
まとめ
この記事では、通信制高校・全日制高校・定時制高校の違いや共通点、通信制高校のメリット・デメリットを解説しました。
通信制高校・全日制高校・定時制高校の違いや共通点は以下のとおりです。
通信制・全日制・定時制の違い | ・入学試験 ・登校日数や時間帯 ・学習方法 ・学習制度(単位制・通信制) ・卒業要件 |
通信制・全日制・定時制の共通点 | ・学歴は「高卒」 ・学習指導要領に基づいた学習内容 ・高校卒業に必要な年数は最低3年 |
また、通信制高校にはいくつかのメリット・デメリットがあります。
通信制高校のメリットを活かして卒業を目指すためには、通信制高校サポート校の利用も検討しましょう。
ぜひ本記事を参考に、自分に合った進学先を検討してください。