「評定平均の対象期間や算出方法がわからない」
「評定平均は受験の合否に影響するのか知りたい」
「評定平均を上げる方法がわからない」
大学受験で総合型選抜を受けようと考えたとき、評定平均が合否にどのように影響するのか
気になる方も多いのではないでしょうか。
本記事では総合型選抜の受験を検討する子どもとその保護者に向けて、以下を解説します。
- 評定平均の基礎知識
- 評定平均は合否にどれほど影響するか
- 評定平均を上げるためにやるべき4つのこと
評定平均の仕組みや上げ方を具体的に理解し、大学選択の幅を広げましょう。
この記事の目次
評定平均の基礎知識
最初に、評定平均の基礎を解説します。
- 評定平均とは
- 計算方法
一つずつ押さえていきましょう。
評定平均とは
評定平均は、高校での「各教科の成績」をもとに算出される平均値
です。一般的には「評定平均値」や「学習成績の状況」とも呼ばれます。
また、評定平均には「全体」と「教科別」の2種類があります。
- 全体の評定平均3.5以上
- 全体の評定平均が4.0以上で、英語は4.3以上
上記のように、全科目の評定平均のみを指定する大学や、全体に加えて特定の教科の評定平均を指定する大学があります。
教科別の評定平均とは、その教科の科目すべてを足して、科目数で割ったもの
です。
たとえば理科という教科の中で、物理基礎・化学基礎・生物基礎・物理・化学の5科目を履修した場合、この5科目分の評定平均が「理科」という教科の評定平均となります。
評定平均の計算方法
評定平均の計算方法
は以下の通りです。
- 各科目の評定を集計
高校の成績表に記載されている各科目の評定(通常は5段階)をすべて集計します。 - 総評定ポイントの合計を求める
各科目の評定に対応するポイントを合計します。 - 総評定ポイントを科目数で割る
合計したポイントを科目数で割り、その平均値を求めます。
具体例として、以下の成績の評定平均を計算してみましょう。
- 数学Ⅰ:5
- 英語コミュニケーションⅠ:4
- 生物基礎:5
- 日本史探究:4
- 現代の国語:3
この場合、評定平均は (5+4+5+4+3) / 5 = 4.2 となります。
評定平均は合否に影響する?総合型選抜で評価されるポイント
評定平均が合否に影響するかどうかは、受験する大学や受験方式によって異なります。主に影響するポイント
は以下のとおりです。
- 評定平均が高いと出願できる大学の幅が広がる
- 評定平均の対象期間
- 評定平均以外で評価されるポイント
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
評定平均が高いと出願できる大学の幅が広がる
総合型選抜は、学力だけでなく、書類審査や面接などで大学と学生の相性を評価し合否を決める入試です。
そのため、公募制推薦などの学校型選抜と比べると評定平均の影響を受けにくくなっています。ですが、学生の学力不足を防ぐため、出願要件として評定平均の基準を設けている大学もあります。
言い換えれば、評定平均が高いと出願できる大学の幅が広がります。
さらに、学校推薦型選抜の場合は評定平均が評価対象となることが多いため、総合型選抜と併せて受験を考えている方にとっては重要度が上がる
のです。
評定平均が必要な受験や奨学金の例は以下のとおりです。
①総合型選抜の例:早稲田大学・社会科学部の総合型選抜(AO入試)
- 評定平均:4.0 以上
- 欠席日数が45 日以内
参照:早稲田大学 総合型選抜
②学校推薦型選抜の例:横浜国立大学・学校推薦型選抜
- 経済学部(経営学科):評定平均4.3以上
- 教育学部:評定平均3.5以上
参照:入学者選抜要項・募集要項 – 入試・入学 – 横浜国立大学
③一部の国公立大学の例
一般入試において「調査書の点数化(評定平均)」を合否判断に使っている国公立大学もある
ので注意が必要です。
出願を予定している大学の入試要項を確認し、把握しておきましょう。
参考:2024年度 調査書を点数化(段階評価)する国公立大学
④奨学金の例
日本学生支援機構(JASSO)奨学金・第一種奨学金の応募条件には「高等学校等における申込時までの全履修科目の評定平均値が、5段階評価で3.5以上であること」が含まれます。
参照:進学前(予約採用)の第一種奨学金の学力基準 | JASSO
このように、評定平均が高いと大学受験に関する応募資格を満たしやすくなるため、自然と選択肢が増えます。
総合型選抜以外でも多くの進学先や学習機会を得る可能性が高まるので、推薦入試を視野に入れていない方も高い評定平均を目指しましょう。
どのタイミングの評定平均が評価される?
総合型選抜や学校推薦型選抜では、3学期制・2学期制の高校ともに「高校1年から高校3年の1学期まで」の成績を対象として算出します。
一方で、大学進学後に奨学金を借りる場合「高等学校等における評定平均値が3.5以上」の応募条件があります。つまり「高校3年間」の評定平均を要する
のです。
参考:進学後(在学採用)の給付奨学金の学力基準 | JASSO
よって、1年次から学校の勉強にまじめに取り組み、高い評定平均を取っておくことが大切です。高校3年生の1学期が終わったからといって、学習の気を緩めることがないよう注意しましょう。
評定平均以外で総合型選抜で評価されるポイント
上述の通り、総合型選抜は学力だけでなく様々な要素で学生を評価し、合否判断を行います。
評定平均以外で、評価される主なポイントは以下の6つです。
①志望理由書
志望理由書は、あなたの熱意と適性を大学側に伝える大切な書類
です。自分のことや、なぜその大学や学部を選んだのか、どんなことを学びたいのか、なぜその大学でなければならないのか、将来何をしたいのか、そしてこれまでの経験などを書きます。
自分の長所や体験談、その経験から感じたことなどを具体的に書くことで、パーソナリティが伝わります。ただし、単に事実を並べるだけではなく、一本筋の通った熱意のこもった文章にすることが大切です。
また、志望する大学が求める学生像をよく理解し、それに沿って書くことを心がけましょう。そうすることで、自分が大学にぴったりの学生であることを伝えられます。
②課外活動の記録
勉強以外の課外活動も、魅力を伝える大切な要素
です。部活動はもちろん、ボランティアや地域の活動なども含まれます。
たとえば、以下のような経験・成果です。
- 部活で部長を務めた経験
- 大会での成績
- ボランティア活動での役割
このような活動を通じて、何を学び、どんな力を身につけたのか、そしてそれを大学でどのように活かせるのか、将来にどのようにつながるのかまで考えて説明できると、さらに説得力が増します。
③出席日数
学校への出席も成績の一部
です。毎日きちんと通学することで、真面目さや粘り強さが伝わります。休まず学校に通い続けることができれば、勉強への熱意や健康的な生活ぶりが評価されます。
もちろん、病気や家庭の事情で休まざるを得ないこともあるでしょう。そのようなときは、休んだ理由をしっかりと説明できるようにしておくことが大切です。
特に総合型選抜ではテストの点数だけでなく、いろいろな角度から生徒を評価しています。出席状況もその一つです。だからこそ、毎日の通学を大切にしてください。
④面接
志望理由や将来の目標を「直接」伝える重要な場である面接では、自己PRや志望動機、学びたいこと、過去の経験について質問
されます。具体例を用いて自分の考えや経験を詳しく説明することが大切です。特に志望理由書に記載した内容は深く質問される可能性が高いので、よく準備しておきましょう。
また、大学のアドミッションポリシーに合致しているかを意識し、自分の強みをアピールしましょう。面接はコミュニケーション能力やプレゼンテーション力も評価されるため、練習を重ねて準備を万全にしておくことが求められます。
⑤小論文
小論文は、論理的思考力や表現力を評価するための試験です。テーマは大学ごとに異なり、一般的な時事問題や専門的な学術テーマが出題されやすい傾向にあります。テーマに対する自分の意見、根拠を示して論理的に展開することが大切です。
内容はもちろん、文法や語彙力にも注意し、読みやすい文章を
心がけてください。事前にさまざまなテーマで練習し、構成や論旨の展開方法を身につけておきましょう。
⑥資格・検定
総合型選抜では、資格や検定の取得も評価対象となります。特に英検®などの語学検定は高く評価されることが多い
ため、語学が得意な人は早めに取っておきましょう。
また、情報処理技術者試験や簿記検定など、志望分野に関連する資格も有利です。これらの資格は、学力や専門知識を証明するだけでなく、自己学習能力や目標達成力を示します。
資格や検定を取得しておくことで志望理由書や面接で具体的にアピールできるため、自分の強みを伝えやすくなるでしょう。
評定平均を上げるためにやるべき3つのこと
評定平均を上げるためにやるべき具体的なポイントを解説します。
- 定期テストで高得点を取る
- 授業態度・学習態度に気を付ける
- 早い時期から成績を意識する
以上を意識し、学校の成績を高いレベルで安定させましょう。
1.定期テストで高得点を取る
評定平均を上げるために最も直接的な方法は、定期テストで高得点を取ることです。定期テストは各教科の理解度を測る重要な指標であり、成績評価に大きく影響するためです。
高得点を取るためには、テスト範囲をしっかりと把握し、計画的に学習を進めることが重要です。苦手分野は早めに対策し、学校で使用している問題集などの教材を解くことで出題傾向に慣れておきましょう。
また、個別指導塾などを利用して、定期テストの出題ポイントを熟知した講師から指導を受けるのも効果的
です。理解度が深まり高得点を狙いやすくなります。
トライのオンライン個別指導塾なら定期テスト対策から入試対策まで様々なコースから選べる
トライのオンライン個別指導塾の高校生向けコースは「大学受験対策コース」「定期テスト・内申点対策コース」「総合型選抜・推薦入試対策コース」があり、定期テスト対策から受験対策まで、適切なコースを選べます。
1対1の個別指導塾を利用したいと考えている方は、ぜひトライのオンライン個別指導塾をご検討ください。
2.授業態度・学習態度に気を付ける
授業態度や学習態度も成績評価において見過ごせない要素です。授業に集中して取り組むことや、積極的に質問や発言をすることで、教師からの評価が上がるでしょう。
いくらテストの点数が良くても、授業態度・学習態度が悪ければ評価が下がる
場合があります。逆にテストの点数が悪くても、授業態度・学習態度が良ければ評価が上がる場合もあるため、日頃の授業態度には気を付けましょう。
- 得意科目・苦手科目に関係なく、授業をまじめに受ける
- 宿題や課題を期限内に提出し、質の高いものを仕上げる
上記2点が重要なポイントです。
また、出席率が低いと成績評価が下がることが多い
ため、遅刻や欠席もできるだけ避けましょう。やむを得ない理由で欠席した場合は、欠席した日の授業内容をしっかりと補習しておき、授業の進行に遅れを取らないようにすることが大切です。
3.早い時期から成績を意識する
多くの高校生は高2冬〜高3春から受験を意識し始めます。
しかし前述したとおり、評定平均は「高校1年から高校3年の1学期まで」の成績を対象として算出されるので、高校入学当初から学習に取り組むことが理想
です。
成績向上は一朝一夕には達成できません。早い段階から自分の成績を把握し、計画的に学習を進めましょう。
総合型選抜に関するよくある質問
ここからは、総合型選抜に関するよくある質問を紹介します。
- 総合型選抜に受かる人の特徴は?
- 総合型選抜に落ちることはある?
- 総合型選抜の対策に塾に通った方がよい?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
総合型選抜に受かる人の特徴は?
総合型選抜に受かる人の特徴には、以下の5つがあります。
- 大学のアドミッション・ポリシーに適している
- 学びたいことや将来の夢が明確
- 強みや個性を上手に表現できる・説明できる
- 部活動・課外活動・資格取得の実績がある
- 評定平均が高い
総合型選抜では、学力だけでなく総合的な能力や人間性が評価されます。大学のアドミッションポリシーに沿ったうえで、自己の強みを最大限発揮できる人が受かりやすいといえるでしょう。
詳しい内容は以下の記事で紹介しています。
総合型選抜に落ちることはある?
総合型選抜でも不合格になる場合はあります。入試の中でも特に総合型選抜は多くの受験生が出願しており、倍率も上がりやすい
傾向にあるためです。
しかし、総合型選抜で不合格だったとしても、受験は終わりではありません。
- 出願が間に合う公募推薦・総合型選抜(旧AO入試)を受ける
- 一般選抜を受ける
上記のように、次に進むための選択肢がまだ残されています。
大学によって求める学生像は異なるため、総合型選抜で不合格だったとしても落ち込む必要はありません。「大学の求める学生像と合わなかっただけ」と受け止め、次に進むことが重要です。
詳しい内容は以下の記事で紹介しています。
総合型選抜の対策に塾に通った方がよい?
総合型選抜の入試内容は複雑なため、塾に通って志望校に合った対策を受けるのが効率的
です。
塾に行くべき理由は以下の4つです。
- 総合型選抜(旧AO入試)に特化した対策が効率的にできる
- 攻略が難しい小論文や面接の対策ができる
- 自分ではわからない強み・弱点を見つけられる
- 評定平均が必要な場合は定期テスト対策など日頃のサポートを受けられる
詳しい内容は以下の記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
本記事では、評定平均の基礎知識、合否への影響、評定平均を上げるためにやるべき4つのことについて解説しました。
総合型選抜で、評定平均が合否に与えるポイント
は以下3点です。
- 評定平均が高いと出願できる大学の幅が広がる
- 評定平均の対象期間は「高校1年から高校3年生の1学期まで」
- 評定平均以外で評価されるポイントも多い
また、評定平均を上げるためにやるべき3つのこ
とは以下のとおりです。
- 定期テストで高得点を取る
- 授業態度・学習態度に気を付ける
- 早い時期から成績を意識する
評定平均を上げるためには、各学期で高い教科成績を修めることが重要です。本記事で紹介した内容をもとに、高校生活でまじめな学習習慣を身につけましょう。