総合型選抜(旧AO入試)は、学力だけでなく、個性や能力など多面的に適性を評価する入試方式です。しかし、適性があっても、残念ながら不合格となるケースがあります。
「万が一総合型選抜で不合格になってしまった時、どのように対応すればよいのだろう」
「総合型選抜に合格するためにやるべき対策は何なのだろう」
このような疑問を持つ受験生も多いでしょう。
総合型選抜に合格するには、志望動機や自己PRを明確にし、大学の求める人物像に合致するよう準備しておくことが大切です。また、試験に落ちてしまった場合も、諦めずに次の一手を考えることが重要です。
本記事では、総合型選抜での大学受験を検討している受験生に向けて、以下の内容について詳しく解説します。
- 総合型選抜の概要(そもそも総合型選抜とは何か・試験日程・選考方法)
- 総合型選抜に落ちた場合の対処法
- 総合型選抜に合格するために重要な対策方法
- 総合型選抜についてのよくある質問
総合型選抜の受験に不安を感じている方も、この記事を読むことで前向きな一歩を踏み出せるはずです。
万が一不合格になってしまった場合も、次のチャンスに向けて着実に準備を進めていくために、ぜひ参考にしてくださいね。
この記事の目次
総合型選抜(旧AO入試)とは?試験日程や選抜方法
最初に、総合型選抜(旧AO入試)の基本的な情報から解説します。
- 総合型選抜(旧AO入試)とは
- 総合型選抜(旧AO入試)の試験日程
- 総合型選抜(旧AO入試)の選考方法
それぞれの項目について詳しく説明しますので、総合型選抜についてしっかりと把握しておきましょう。
総合型選抜(旧AO入試)とは
総合型選抜(旧AO入試)とは、大学や学部が定める「求める学生像」に合致する受験生を選ぶ入試方式
です。AO入試は「アドミッション・オフィス(入学事務局)」の略で、2021年度入試から「総合型選抜」という名称に変更されました。
この方式では、単に学力を測る試験だけでなく、知識や思考力、表現力など、受験生の総合的な能力を評価します。そのため、高校での学業の成績だけでなく、課外活動やボランティア経験、特技なども重視されます。
受験生の個性や意欲、将来の可能性が重要な判断基準となる方式といえるでしょう。
総合型選抜(旧AO入試)の試験日程
総合型選抜(旧AO入試)の試験日程は大学によっても異なりますが、一般選抜よりも早いことが一般的です。一般選抜は1~3月に実施されることが多いのに対し、総合型選抜は多くの大学で9月〜11月にかけて実施されます。
また、総合型選抜は「出願開始が9月1日以降、合格発表が11月1日以降」と文部科学省によって定められています。そのため、ほとんどの大学では夏休み明けに出願が開始され、年末までに合格者が決定します。
他の入試制度に比べて早い時期に合格を手にするチャンスがある
といえるでしょう。
志望する大学がある場合は、試験日程についてしっかり情報を集めておきましょう。
参照:文部科学省
総合型選抜(旧AO入試)の選考方法
総合型選抜(旧AO入試)は選考方法も大学によって異なりますが、主に以下のような方法があります。
これらの中から複数の選考方法を組み合わせることで、受験生の多面的な能力や適性を総合的に判断するのです。
選考方法 | 内容 |
書類選考 | 志望理由書や調査書(評定平均や課外活動について記載)などの書類の内容を審査される |
面接 | 個人面接やグループ面接が行われ、受験生の思考力や表現力、コミュニケーション能力などが評価される |
小論文 | 特定のテーマについての意見や考えを書く |
プレゼンテーション | 出題テーマは大学によって異なるが、「志望動機」「学生時代に力を入れたこと」「大学で学びたいこと」などが多い |
実技試験 | 特定の分野で必要とされる技能を評価するための試験で、美術系や音楽系の学部でよく見られる |
大学入学共通テスト | 大学によっては大学入学共通テストの結果を選考に利用する |
総合型選抜は、志望理由書や調査書などの書類選考と、面接・小論文によって選考が行われるのが基本です。ただし、大学によってプレゼンテーションや大学入学共通テストが選考方法に採用されるなど、特色があります。
総合型選抜(旧AO入試)に落ちたらどうするべき?
「総合型選抜(旧AO入試)に万が一落ちてしまったら」と考えると不安ですよね。受験においては、「必ず合格する」という気持ちを持って対策をすることが重要です。
ただし、万が一に備えて、不合格だった場合はどうするかの見通しを事前に決めておくことも忘れてはいけません。
具体的には、次の2つの選択肢が考えられます。
- 出願が間に合う公募推薦・総合型選抜(旧AO入試)を受ける
- 一般選抜を受ける
総合型選抜で不合格になっても、志望校へ進学できなくなるわけではありません。上記のように、次に進むための選択肢が残されています。
そのため、冷静に次のステップに備えることが重要です。これから、それぞれの選択肢について詳しく説明していきます。
出願が間に合う公募推薦・総合型選抜(旧AO入試)を受ける
受験した総合型選抜(旧AO入試)で不合格となっても、諦める必要はありません。出願期間が終わっていない同じ大学や他大学の公募推薦・総合型選抜に挑戦しましょう。
総合型選抜は、大学によって試験や結果発表の時期が異なります
。一部の大学では複数回にわたって募集を実施しているため、総合型選抜の実施時期や期間が大学ごとにばらつきがあるのです。
そのため、受験した総合型選抜の結果が早めにわかる場合、その結果を受けて同じ大学や他大学の総合型選抜の第2期など、後続の選抜に応募するチャンスが生まれます。
また、公募推薦では、面接や小論文など、総合型選抜と同じ選抜方法が多く見られます。総合型選抜のための準備が無駄になることはありません。
ただし、上述のとおり総合型選抜の合格発表は11月1日以降に行われますが、それ以降に出願ができる公募推薦・総合型選抜は少ないため注意が必要です。
第一志望の総合型選抜で思わぬ結果が出てしまった場合、落ち込んでしまうこともあるでしょう。出願が間に合う公募推薦・総合型選抜があっても、出願締切が迫っている可能性が高いです。
そのような状況でも冷静に対応できるよう、事前に公募推薦や後続の総合型選抜で出願可能な大学のリストを作成しておくことをおすすめ
します。
候補となる大学を早めにリストアップしておけば、気持ちの切り替えもスムーズにでき、次の公募推薦や総合型選抜の対策に迅速に取り組めるでしょう。
一般選抜を受ける
総合型選抜(旧AO入試)に不合格となった場合、諦めずに同じ大学の一般選抜を受験することも一つの選択肢です。
総合型選抜は受験時期が早いため、もし落ちてしまっても、その後の一般入試に向けて準備し直し、再挑戦する時間があります。「どうしてもこの大学に入りたい」という気持ちがある場合、一般選抜試験への挑戦を考えてみるのもよい
でしょう。
ただし、総合型選抜の準備に専念していた場合は、急に一般入試に向けた準備にシフトするのは難しいかもしれません。
なぜなら、国立や公立大学を目指す場合は、6教科8科目からなる大学入学共通テストを受ける必要があり、その範囲は膨大だからです。私立大学を受験する場合も、高校3年間の内容を効率良く対策することが求められます。
そのため、一般選抜試験の準備も早期から並行して行うことが重要です。
また、受験生一人ひとりの事情は異なるため、以下のような理由で総合型選抜を選ぶ場合も多いでしょう。
- 第一志望校に合格するチャンスを増やしたい
- 一般選抜では届かない偏差値帯の大学にチャレンジしたい
- 年内に合格したい
共通して重要なのは、一般選抜も受験する前提で対策を進めるべきであるという認識を持つことです。総合型選抜一本に絞るのではなく、一般選抜にも万全の準備をしておくことで、より良い進路を見つけられるでしょう。
総合型選抜(旧AO入試)に合格するためにやるべき4つの対策
ここからは、総合型選抜(旧AO入試)に合格するためにやるべき対策について解説します。具体的には、次の4つの対策を行いましょう。
- 大学のアドミッション・ポリシーを十分に理解する
- 自己分析で自分の強みや個性を明確にする
- 志望校の傾向に合った面接・小論文対策を行う
- 評定平均を上げる
総合型選抜では、学業以外の側面が主に重視されます。そのため、入試対策として志望理由書や面接、小論文などの準備を怠らずに臨むことが合格への近道となります。
それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。
1.大学・学部のアドミッション・ポリシーを十分に理解する
総合型選抜(旧AO入試)に合格するためには、まず志望校および志望学部のアドミッション・ポリシーを十分に理解することが重要
です。なぜなら、総合型選抜は大学・学部のアドミッション・ポリシーに一致する受験生を募集する選抜方式だからです。
アドミッション・ポリシーとは、大学や学部が求める学生像や入学者選抜の方針を示すものです。自分の価値観や目標が大学の方針と合致しているかを確認し、自分がその大学・学部で学ぶ意義を明確にしておきましょう。
大学が公表しているアドミッション・ポリシーを理解することで、自分の強みをどのようにアピールすればよいのか、足りない要素に対してはどのようなアクションが必要なのかが明確になります。
また、アドミッション・ポリシーを理解すれば、志望理由書や面接での質問に対して、大学の求める学生像に沿った適切な回答ができるようになるでしょう。
このように、志望校の公式サイトや募集要項などを熟読し、アドミッション・ポリシーを自分の言葉で説明できるようにしておくことが合格への第一歩となるでしょう。
また、この過程で大学や学部のアドミッション・ポリシーと自分の特性がマッチしていないと感じる場合は、別の大学や学部も検討してみてください。
2.自己分析で自分の強みや個性を明確にする
総合型選抜(旧AO入試)に合格するには、自己分析が欠かせません。総合型選抜は学力だけでなく人物像も重視する傾向にあり、自分の強みや個性をアピールすることが大切だからです。
自己分析を十分に行い、自分の強みや個性を把握できれば、アピールポイントが明らかになります。
自己分析では、これまでの経験や趣味、興味関心などを振り返り、自分らしさを探りましょう。自己分析のコツは、以下のように深堀することです。
- 強みはどのようなきっかけや出来事によって形成されたのか考える
- 自分の行動や感情について「なぜ」を繰り返し問いかける
また、周囲の人からのフィードバックも参考になります。自分の強みや個性は、自分自身では気づきにくいことも多いものです。
周囲の人からのフィードバックを参考にすれば、自分では気づかなかった、より客観的な強みや個性を発見できます。
3.志望校の傾向に合った面接・小論文対策を行う
総合型選抜(旧AO入試)では、面接や小論文が課される場合があります。強みや個性、実績が十分にあっても、選考の際にアピールできなければ意味がありません。
面接や小論文は場数を踏んで慣れておくことで本番でも実力を発揮しやすくなるため、選考方法に含まれる場合はしっかり準備しておきましょう。
面接や小論文の内容は大学や学部によって異なります。そのため、事前に志望校の過去問や受験報告を調べ、どのような傾向があるかを把握して対策することが重要です。
トライのオンライン個別指導塾では志望校ごとの総合型選抜対策が可能
参照:高校生のオンライン個別指導プラン – トライのオンライン個別指導塾
トライのオンライン個別指導塾では、志望校に合わせた小論文添削、志望理由書やPRシートの書き方
まで、丁寧に指導を行います。
総合型選抜入試で重視されるポイントを押さえた徹底的なサポートが可能です。
総合型選抜の対策に不安がある方は、ぜひ一度お問い合わせください。
4.評定平均を上げる
多くの大学の総合型選抜(旧AO入試)では、評定平均が出願条件や評価の対象となります。そのため、まずは評定平均を上げることが重要です。
評定平均とは、全科目の成績(5段階)を合計して科目数で割ったものです。たとえ一部の科目で高い成績を収めていても、他の科目の成績が振るわなければ評定平均は低下します。
したがって、評定平均を向上させるためには、すべての科目をバランス良く勉強し、各科目で一定以上の高い成績を目指すことが必要不可欠です。
日頃から積極的に授業に参加し、定期テストで高得点を取ることで、高い評定平均を得られるようにしましょう。
総合型選抜(旧AO入試)に関するよくある質問
最後に、総合型選抜(旧AO入試)に関するよくある質問を用意しました。
- Q.総合型選抜(旧AO入試)の併願はできる?
- Q.総合型選抜(旧AO入試)で落ちた大学を再度受けることはできる?
- Q.総合型選抜(旧AO入試)の合格率は?
それぞれの質問に詳しく回答していきます。気になる質問があれば、ぜひ回答をチェックしてみてくださいね。
Q.総合型選抜(旧AO入試)の併願はできる?
総合型選抜(旧AO入試)の併願の可否は、大学や学部によって規定が異なります。
一般的に、募集要項に「併願可」と記載されている場合は併願ができます
。併願可能な場合は、総合型選抜と他の入試形式(たとえば一般選抜)の併願も可能です。
また「第一志望とする者」や「入学を確約する者」といった表記がある場合でも、他の大学との併願ができます。
ただし、これはあくまでも他校との「併願受験」が可能という意味です。第一志望に合格した場合には入学を確約しなければなりません。
一方、募集要項に「専願」「併願は禁止」と記載されている場合は、併願ができません。また、併願先の募集要項に「専願」「入学を確約できる者」という記載がある場合も、その大学は併願先として選ぶことはできないため注意しましょう。
併願を希望する場合は、それぞれの大学の募集要項をあらかじめ確認し、具体的な併願の可否を十分に把握しておきましょう。
Q.総合型選抜(旧AO入試)で落ちた大学を再度受けることはできる?
総合型選抜(旧AO入試)で不合格になってしまっても、出願の締め切りに間に合う他日程・他形式の入試で再度受験することは可能です。
ただし、その大学の入学者選抜要項をよく確認し、受験資格や出願要件を満たしているかどうかをチェックしてください。
大学によって入試制度は異なるため、志望校の入試情報を正しく把握して受験計画を立てることが重要です。
Q.総合型選抜(旧AO入試)の合格率は?
文部科学省による「令和5年度国公私立大学入学者選抜実施状況」のデータによると、総合型選抜(旧AO入試)の合格率は以下のようになっています。
▼国立大学
- 志願者数:16.327人
- 合格者数:5,797人
- 合格率:約35.5%
▼公立大学
- 志願者数:4,543人
- 合格者数:1,463人
- 合格率:約32.2%
▼私立大学
- 志願者数:188,677人
- 合格者数:104,526人
- 合格率:約55.3%
私立大学での合格率が5割を超える一方で、国立大学と公立大学の合格率は約3割です。
このように、総合型選抜で不合格になることは珍しくありません。一般選抜に比べて合格しやすいと軽視して試験に挑むと、思わぬ事態になりかねません。
目指す大学に合格するためには、その大学の入試情報をしっかり調べ、適切な準備をすることが必要です。
まとめ
本記事では、総合型選抜(旧AO入試)での大学受験を検討している受験生に向けて、以下の内容について詳しく解説しました。
- 総合型選抜の概要(そもそも総合型選抜とは何か・試験日程・選考方法)
- 総合型選抜に落ちた場合の対処法
- 総合型選抜に合格するために重要な対策方法
- 総合型選抜についてのよくある質問
総合型選抜(旧AO入試)とは、大学が定める「求める学生像」に合致する受験生を選ぶ入試方式です。この方式では、単に学力試験の結果だけでなく、知識や思考力・表現力など、受験生の総合的な能力を評価します。
万が一、総合型選抜で落ちてしまった場合、すぐに諦めずに冷静に次の対応を検討することが大切です。
出願締め切りに間に合えば、他大学の公募推薦・総合型選抜に挑戦したり、一般選抜に切り替えたりするなど、さまざまな選択肢があります。
合格に向けては、次の4つの対策を行っておきましょう。
- 大学のアドミッション・ポリシーを十分に理解する
- 自己分析で自分の強みや個性を明確にする
- 志望校の傾向に合った面接・小論文対策を行う
- 評定平均を上げる
合格を目指すためには、まず志望校が求める学生像を理解する必要があります。志望校のアドミッション・ポリシーを熟読し、自分の強みと大学の求める学生像のマッチングを意識するようにしましょう。
自己分析を通して強みを明確にしたうえで、面接や小論文対策に力を入れることが肝心です。また、評定平均を上げることも大切なポイント。
総合型選抜への道のりは決して平坦ではありません。しかし、対策方法に沿って着実に準備を重ねれば、夢の実現に一歩ずつ近づけるはずです。
トライのオンライン個別指導塾でも総合型選抜合格に向けたサポートを行っているため、ぜひお気軽にご相談ください。