「総合型選抜に受かる人の特徴を知りたい」
「総合型選抜に受かるためには何をすればよいの?」
総合型選抜では学力以外にもさまざまな能力が評価されるため、どんな人が受かるのか、疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、総合型選抜の概要や受かる人の特徴、合格に向けた対策方法、よくある質問を紹介します。
大学入試で総合型選抜を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
総合型選抜(旧AO入試)とは?試験日程や選抜方法
そもそも総合型選抜とは、どのような入試方式なのでしょうか。
ここでは以下の3点を解説します。
- 総合型選抜(旧AO入試)とは
- 総合型選抜(旧AO入試)の試験日程
- 総合型選抜(旧AO入試)の選考方法
総合型選抜を受験するにあたって、まずは基本的な情報を把握しておきましょう。
総合型選抜(旧AO入試)とは
総合型選抜とは、受験生の能力を総合的に評価・判断する入試方式のことです。
総合型選抜は以前、AO入試(アドミッションズ・オフィス入試)と呼ばれていました。
AO入試は各大学の求める人物像に合致する人物を選抜する入試形式だったため、学力はあまり重要視されていなかったのが特徴です。
しかし、学力も含めて受験生の能力を総合的に評価しようという気運が高まり、2021年度の入試から「総合型選抜」として名称とともに内容も変更されました。
総合型選抜では、受験生の人間性に加え、各科目の知識や技能、論理的思考力、表現力など
を多角的に見極めたうえで合否が決められます。
総合型選抜(旧AO入試)の試験日程
文部科学省により、総合型選抜は9月1日からを出願期間とし、11月1日以降に合格発表を行うものと定められています。
志望理由書の作成など、試験に向けた準備を夏休み中には開始する必要があり、早いと年内に合格が決まる点が総合型選抜の大きな特徴といえます。
ただし、学力検査がある場合は2月1日〜3月25日の間で試験を行うこととされているため、合格が決まるタイミングも遅くなるでしょう。
また、共通テストを利用して選考を行う大学を受験した場合も、合格発表の時期は2〜3月頃になります。
下表のように学校推薦型選抜(旧推薦入試)や一般選抜(旧一般入試)と比較すると、総合型選抜の入試時期は比較的早いことがわかります。
総合型選抜 | 学校推薦型選抜 | 一般選抜 ※国公立大学の場合 | |
出願期間 | 9月1日〜 | 11月1日〜 | 大学入学共通テスト後(1月中旬〜) |
合格発表 | 11月1日〜 | 12月1日〜 | 3月上旬〜 |
総合型選抜を受験する場合は、遅くとも3年生の春頃から対策を始めましょう。
総合型選抜(旧AO入試)の選考方法
総合型選抜では基本的に、書類選考や面接、小論文などの試験
が課されます。試験内容は以下のとおりです。
試験項目 | 試験内容 |
書類選考 | ・大学側から指示された書類(志望理由書や活動報告書など)を提出する |
面接 | ・個人面接や集団面接などがある ・大学のアドミッションポリシーに適しているか評価される ・面接中にプレゼンテーションを求められることもある |
小論文 | ・大学側から与えられたテーマについて自分の考えを述べる ・資料や課題をもとに意見を書くタイプや志望理由をまとめるタイプもある |
このほか、社会課題や基礎学力に関する問いに口頭で答える「口頭試問」や、テーマに沿って話し合う「グループディスカッション」を行う大学もあります。
特徴的な選考を実施している大学もあるため、志望校の試験内容をあらかじめ確認しておきましょう。
総合型選抜(旧AO入試)に受かる人・向いている人の5つの特徴
総合型選抜に受かる人・向いている人には以下のような5つの特徴があります。
- 大学のアドミッションポリシーに合致している人
- 学びたいことや将来の夢が明確な人
- 強みや個性を上手に表現できる人・説明できる人
- 部活動・課外活動・資格取得の実績がある人
- 評定平均が十分にある人
総合型選抜では、学力も含め、受験生の総合的な能力や人間性が評価されます。
十分な対策を行うためにも、現時点でクリアしている点と足りていない点を確認しておきましょう。
1.大学のアドミッションポリシーに合致している人
アドミッションポリシーとは、大学の教育理念や目的・特色などにもとづき、どのような入学者を求めるかを定めた基本方針のことです。
簡単にいうと「大学が求める学生像」を指します。
アドミッションポリシーは大学全体や学部・学科ごとに設けられていることが多く、総合型選抜における重要な評価基準となっています。
つまり、大学のアドミッションポリシーに合致している人は、総合型選抜で高い評価を受けられる可能性が高い
のです。
具体例として、横浜国立大学の経済学部のアドミッションポリシーのうち、「経済学部が求める学生像」を紹介します。
- 経済・社会・歴史・制度・法律に深い関心をもち、世界経済を長期的に展望する能力を育み、国際社会が抱える問題の解決に取り組みたい人
- 市場システム・経済社会制度を学び、経済学的手法で経済社会の諸問題の解決に挑戦したい人
- 必要な情報に自分からアクセスして自己の思考で整理し、さらに自ら情報を発信する力を身に付けたい人
参照:横浜国立大学 アドミッションポリシー 経済学部/経済学科
各大学のアドミッションポリシーは、公式ホームページやパンフレットなどに記載されています。
総合型選抜で受験する予定の方は、まず志望校のアドミッションポリシーをチェックしておきましょう。
2.学びたいことや将来の夢が明確な人
文部科学省によると、総合型選抜は「意欲や目的意識などを総合的に判定する入試方法」と定義づけられています。
そのため、学びたいことや将来の夢が明確な人は高い評価を受けやすい傾向にあるでしょう。
具体的な目標や目指す人物像が志望校のアドミッションポリシーとマッチしている場合は、さらに合格の可能性が高まるかもしれません。
学びたいことや将来の夢がまだ定まっていない場合は、自己分析を徹底的に行いましょう。
自己分析をすることで、性格だけでなく、興味のある分野や自分にとって大事な価値観もはっきりさせることができます。
志望校を選ぶ際の判断基準にもなるため、自己分析を通して学びたいことや将来の夢を明確にしておくことをおすすめします。
3.強みや個性を上手に表現できる人・説明できる人
自分の強みや個性を上手に表現・説明できる人も総合型選抜に向いているといえます。
総合型選抜では、受験生の個性や人間性も評価対象の一つ
です。
他の受験生と差別化できるような強みや個性を持ち、それを上手にアピールできる人は高い評価を受けられるでしょう。
自分の強みや個性に関する具体的なイメージが湧かない場合は、下記の例を参考に考えてみてください。
- チャレンジ精神が強い
- 好奇心が強い
- 粘り強い
- 分析力がある
- 協調性が高い
書類選考や面接では、自分の強みや個性を生かしたエピソード、それを通して学んだことを伝えると、学校側に好印象を与えられます。
自分の強みや個性を伸ばすためにしている行動も併せてアピールすることで、物事に向上心を持って取り組む姿勢が伝わるでしょう。
4.部活動・課外活動・資格取得の実績がある人
部活動・課外活動・資格取得など、学校の授業以外の活動における実績がある人も、総合型選抜で高い評価を受けやすい傾向にあります。
総合型選抜では受験生の「学びに向かう姿勢」も重視される
ため、目標に向かって努力した経験や成果は大きなアピールポイントとなるでしょう。
部活動・課外活動・資格取得における実績の具体例は、以下のとおりです。
- 部活動で直面した課題を乗り越えた経験
- 興味のある分野に関するボランティア活動への参加
- 英検で取得した級やTOEFLの点数
- 学内外のコンテストへの出場
- 海外への留学経験
入試では、これらの経験を通して「何を学んだのか」「今後にどう生かしたいか」を自分の言葉ではっきりと伝えるようにします。
上記のような経験がない場合は、些細なことでもかまわないので、高校生活を振り返り、学びとなった出来事を洗い出してみましょう。
5.評定平均が十分にある人
総合型選抜では、評定平均を出願条件や評価対象とする大学もあります。
評定平均とは、高校3年間の成績を平均値で表したものです。
日頃から授業や試験にしっかり取り組んで十分な評定平均を得ておくと、総合型選抜でも有利に働き、合格の可能性が高まるでしょう。
ただし、総合型選抜では評定平均が必要な場合とそうでない場合があるため、注意が必要です。
たとえば、募集要項の出願条件欄に「評定平均◯以上」「学習成績概評◯以上」といった表記がある場合は、条件の基準を満たしている必要があります。
一方、募集要項に記載がない場合は、評定平均が十分でなくても受験が可能です。
また評定平均を評価対象とする大学においても、あくまで参考程度としている場合も多く見られます。
総合型選抜を受ける際は評定を上げることも大切ですが、それだけに偏らず面接や小論文など、他の試験対策も十分に行いましょう。
総合型選抜(旧AO入試)に合格するためにやるべき4つの対策
総合型選抜で合格するためにやるべき対策として、4つの方法を紹介します。
- 大学のアドミッションポリシーを十分に理解する
- 自己分析で自分の強みや個性を明確にする
- 志望校の傾向に合った面接・小論文対策を行う
- 評定平均を上げる
受かる人の特徴に当てはまらなかった場合でも、上記の方法を実践することで合格に近づくことができます。
自力での対策が難しい場合は、総合型選抜の対策を行ってくれる塾や家庭教師などの利用も検討してみましょう。
1.大学のアドミッションポリシーを十分に理解する
総合型選抜で合格するためには、大学のアドミッションポリシーを十分に理解することが大切です。
総合型選抜は、受験生と大学の相性の良し悪しが合否を分ける重要なポイントだといわれています。
志望校のアドミッションポリシーを理解することで求められる人物像も明確になるため、合格する可能性を高められるでしょう。
また、アドミッションポリシーを読み込んで自分なりに解釈すると、自己PRの方法や足りない部分を補う具体的な対策を考えられます
。
志望校のアドミッションポリシーを確認する際は、以下のポイントに着目しましょう。
- 受験生に求める人物像
- 大学で育成したい学生の能力
- 入試で重点的に評価する項目
同じ大学でも学部や学科によって特色が異なるため、アドミッションポリシーは細かくチェックすることをおすすめします。
チェックの過程で志望校のアドミッションポリシーと自分の特性が合わないと気づく可能性もあるでしょう。
その大学で学べる分野や目指す方向性が自分の希望と異なる場合は、別の志望校や学部・学科も検討してみてください。
「自分の学びたいことと違った」という入学後のミスマッチを防ぐことも、大学入試では大切なポイントです。
2.自己分析で自分の強みや個性を明確にする
自己分析を行い、自分の強みや個性を明確にすることも重要です。
自分らしい魅力を見つけて上手にアピールすることで、大学側に「入学してほしい」と思ってもらえるでしょう。
自己分析で自分の強みや個性を明確にするためには、以下の方法を実践してみてください。
- 過去の自分を振り返る
- 自分について第三者からの意見を聞く
- 将来の理想について想像する
過去の自分を振り返る際は、今までの人生で印象的だった出来事を書き出すのがおすすめです。
この際、ただ単に自分の強みや個性を見つけようとするのではなく、どのようなきっかけや出来事によってその強みや個性が形成されたのか
も考えましょう。
当時の気持ちや、その出来事を通して学んだことを深堀りすると、自分の強みや個性をより詳細に整理できます。
また、第三者からの客観的な意見を聞くことで、自分では気づいていなかった長所や短所を知ることができるでしょう。
将来の理想について想像する際は「なぜそうなりたいのか」を自問自答することで、自分の価値観が明確になります。
上記の方法で自分の強みや個性が明確になったら、面接や志望理由書でわかりやすく伝えられるよう、どのように言語化するかも考えましょう。
3.志望校の傾向に合った面接・小論文対策を行う
総合型選抜では、面接や小論文の試験を行う大学が多い傾向にあります。
そのため、入試で自分の強みや個性、実績を十分にアピールできるよう、志望校の傾向に合った面接・小論文の対策を行うことが大切です。
面接対策ではロールプレイングなどを行って日頃から自分なりの意見や考えを述べる練習をし、小論文の対策を行う際は過去問や参考書を利用し、信頼できる先生に添削してもらいましょう。
面接や小論文は数をこなして慣れておく
ことで、本番でも実力を発揮しやすくなります。
また、面接や小論文の内容は大学や学部・学科によって異なるため、募集要項を事前にチェックし傾向を把握したうえで、十分な対策を行いましょう。
トライのオンライン個別指導塾では志望大学ごとの総合型選抜対策が可能
トライのオンライン個別指導塾では、志望大学ごとの総合型選抜に向けた対策が可能です。
志望大学に合わせた小論文添削、志望理由書やPRシートの書き方まで丁寧に指導を行います。
参照:高校生のオンライン個別指導プラン-トライのオンライン個別指導塾
総合型選抜で重視されるポイントもしっかり押さえ、受験生を徹底的にサポート。
生徒一人ひとりに合ったカリキュラムを作成
できるため、効率的に入試対策を進められます。
無料体験授業も行っていますので、気になる方は気軽にご相談ください。
4.評定平均を上げる
総合型選抜では、評定平均が出願条件や評価対象になる場合があります。
そのため、日頃から学校の授業には積極的に取り組み、評定平均を上げておくと、入試の際も有利になるでしょう。
評定平均は短期間で急激に上がるものではないため、日々の積み重ねが重要です。
具体的には以下の行動を心がけましょう。
- 定期テストで高得点を狙う
- 授業には意欲的に取り組む
- 副教科の授業も手を抜かずに参加する
中間テストや期末テスト、学年末テストの結果は評定平均に大きく影響します。
苦手科目を克服したり授業の予習・復習を丁寧に行ったりするなど、定期テストで高得点を取れるように勉強の習慣をつけておきましょう。
また、定期テストの結果だけでなく、日々の学習態度も評定平均に影響します。
課題の提出期限を守るのはもちろん、授業中は積極的に発言したりグループ活動に参加したりすると評定平均も上がるでしょう。
評定平均は履修した全科目の成績から算出されるため、副教科の授業も手を抜かず、意欲的に参加することが大切
です。
総合型選抜(旧AO入試)に関するよくある質問
ここでは、総合型選抜に関するよくある質問を3つ紹介します。
- 総合型選抜(旧AO入試)の併願はできる?
- 総合型選抜(旧AO入試)に落ちたらどうすればよい?
- 学校推薦型選抜との違いは?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
総合型選抜(旧AO入試)の併願はできる?
総合型選抜の併願が可能かどうかは大学や学部・学科によって異なるため、事前に募集要項をよく確認しましょう。
総合型選抜では、合格した際は必ず入学することを条件とする「専願」による受験が原則となっています。
そのため、募集要項に「専願」「併願不可」などと記載されている場合は基本的に併願できません。
一方で、募集要項に「併願可能」と記載があれば、他の大学を併願受験できます。
一般選抜など他の入試方式で受験することもできますが、指定校推薦は併願できない場合が多い
ため注意が必要です。
併願受験する大学を決める際は、以下のポイントに気をつけましょう。
- 募集要項に「専願」「併願不可」などの表記がないか
- 「合格したら行きたい」と強く思える大学か
- 第一志望の大学と選考内容が似ているか
- 第一志望の大学と試験日は近すぎないか
総合型選抜を利用する場合でも併願はできますが、第一志望の大学に「入学意欲が低い」と見なされる可能性もあるため、慎重に検討してみてください。
総合型選抜(旧AO入試)に落ちたらどうすればよい?
総合型選抜に落ちた場合でも、選考時期が遅い学校推薦型選抜や一般選抜にチャレンジすることができます。
総合型選抜は9月1日から出願期間が始まり、早い場合だと年内に合格発表が行われます。
一方、学校推薦型選抜の出願期間は11月1日から、一般選抜の場合は1月中旬からなので、総合型選抜に落ちても合格のチャンスは十分に残されている
でしょう。
ただし、総合型選抜に落ちてから新たに受験校を探したり対策を始めたりすると、入試に間に合わないかもしれません。
特に一般選抜の試験範囲は非常に広いため、入試対策にも時間がかかります。総合型選抜で大学受験をする際は、一般選抜の対策も同時に行いましょう。
また、一部の大学では、総合型選抜の出願期間を複数回設けているところもあります。
仮に落ちた場合でも再受験できる可能性があるため、事前に確認しておくのがおすすめです。
学校推薦型選抜との違いは?
総合型選抜と学校推薦型選抜では「出願時に学校長の推薦が必要か」という点に大きな違いがあります。
総合型選抜は受験生が自由に出願できるため、学校長の推薦は不要です。一方で学校推薦型選抜の場合は学校長の推薦が必要になります。
そのほか、総合型選抜と学校推薦型選抜の違いは以下のとおりです。
総合型選抜 | 学校推薦型選抜 | |
試験日程 | 出願期間:9月1日〜 合格発表:11月1日〜 | 出願期間:11月1日〜 合格発表:12月1日〜 |
併願の可否 | 大学や学部・学科によって異なる | 併願不可の場合が多い |
評定平均 | 重視するかどうかは大学や学部・学科による | 多くの大学で重視されており、一定以上の数値を求められる |
学校推薦型選抜では、一定の評定平均に満たない場合は出願できないケースがほとんどです。
そのため、日頃から良い成績を維持し、授業をはじめとする各活動には積極的に取り組む
必要があるでしょう。
まとめ
この記事では、総合型選抜の概要や受かる人の特徴、合格に向けた対策方法、よくある質問を紹介しました。
総合型選抜に受かる人・向いている人の主な特徴は以下の5つです。
- 大学のアドミッションポリシーに合致している人
- 学びたいことや将来の夢が明確な人
- 強みや個性を上手に表現できる人・説明できる人
- 部活動・課外活動・資格取得の実績がある人
- 評定平均が十分にある人
上記を満たし、総合型選抜に合格するためにも、今から必要な対策を行いましょう。
特に面接や小論文は独学で対策を行うのが難しいため、塾や家庭教師によるサポートを受けることをおすすめします。
面接や小論文のほかにも、合格に向けた適切なアドバイスをもらえるでしょう。
ぜひ本記事を参考に、総合型選抜の入試に向けた準備を進めてください。