国語は一度苦手意識を持ってしまうと、なかなか成績を伸ばしづらい科目ですよね。模試のたびに結果に落胆して「どうやって国語に向き合えばいいのかわからない」とお悩みの保護者様はいらっしゃいませんか。
この記事では「中学受験の国語の成績が絶望的」とお悩みの方に向けて、成績不振の原因や具体的なサポート方法、さらに緊急事態における対策を詳しくご紹介します。
何をすればいいかわからない。国語が絶望的な状況とは
中学受験における国語は「これをすれば確実に成績が上がる」という具体的な対処法がわかりにくい科目です。このため「成績が上がらないけど、何をすればいいかわからない」と絶望的な気持ちで悩んでいるうちに、時間だけが過ぎてしまうケースが少なくありません。
国語はあきらめずに適切な対策を取れば、必ず伸ばすことができる科目です。
ただし、成績向上までには時間がかかるため、受験が近づくにつれて状況は厳しくなります。お子さまが以下に当てはまる場合は、国語に大きな課題を抱えている可能性が高いため、今すぐ対策を講じることをおすすめします。
【国語の危機的状況】
- 受験勉強を始めた当初から国語が苦手で、常にテストの成績が悪い。
- 読解問題が壊滅的で、ほとんど点数が取れない。簡単な選択問題でも間違える。
- 今までたくさんの対策方法を試したが、何をしても成績が上がらなかった。どう教えても理解できない。
なぜ成績が伸びないのか。国語が絶望的になる原因とは
最初に知っておきたい重要な点は、国語の成績が危機的に低迷している状態は、文章をほとんど読めていないことを意味するということです。国語に課題があるお子さまの多くは、問題に答える以前に、文章を正しく読み、理解することができていません。
国語の成績を上げる第一歩は、お子さまが文章を正確に読めない原因を特定することです。
ここでは、原因を3つ紹介しているので「国語の成績が絶望的」と感じている方は参考にしてください。
語彙力が不足している
語彙力が不足していると、文章はまるで穴だらけのようになり、わからない箇所を推測や憶測で補ったり読み飛ばしたりせざるを得ません。その結果、誤読を大量に繰り返してしまい、文章の内容を正しく理解できなくなってしまいます。
特に偏差値が50以下のお子さまの場合、受験用の語彙集に掲載されているような頻出単語だけでなく、日常生活で使う基本的な語句や慣用表現を理解できていない可能性が高いです。
大人が当たり前のように使っている語彙でも、小学生にとっては未知の言葉であることは珍しくありません。重要なのは、保護者様がお子さまの語彙力が十分かを見守ってあげることです。塾の教材や新聞など、手近な文章をお子さまに音読させ、読みづらそうにしている語彙があれば、その意味を理解しているか確認すると良いでしょう。
【語彙不足のチェック方法】
- 保護者様の前で、お子さまに文章を音読してもらい、読みづらそうにしている語がある場合は、意味を理解しているか確認する。
- 日常生活で「この単語の意味知っている?」と聞いてみる。
活字に慣れていない
活字嫌いによる成績の伸び悩みは、読書が苦手なお子さまに多く見られます。国語の学力向上に読書習慣は必須ではありませんが、一定の時間、活字を読み続けることができない場合、受験において不利になることが多いです。
活字に慣れていないと、書いてある文字を正しく目で追うことができないため、読み飛ばしや誤読が生じます。仮に最後まで読み終えたとしても、文字を目で追うことに集中しているため、内容を理解し問題を解くところまで到達できません。また、活字に慣れていないと読むのが遅くなるため、試験時間内に問題を解き終わらず、それがさらなる成績低迷につながります。
活字に慣れていないお子さまの場合、文章を音読させると、スピードが遅い、読み飛ばしが多い、誤読が目立つ、指で文字を追わないと読めないなどの様子が見られるため、一度確認をしてみてください。
なお、文字を目で追うことが苦手なお子さまの中には、活字に慣れていないだけではなく、読字が困難、興味がないことを長時間できない、集中力が続かないなどの発達特性が背景にあるケースも見受けられるため、注意が必要です。
【活字嫌いのチェック方法】
- 保護者様の前で、お子さまに文章を音読してもらい、読むスピードが遅い、読み飛ばしや誤読が多い、指で文字を追わないと読めない、などの様子がないか確認する。
- 読書習慣(一週間にどれくらい活字を読んでいるかなど)を把握する。
文章の意味や構成を理解できていない
文章を読む上で最も重要なのは、論説文であれば筆者の言いたいこと、物語文であれば登場人物の心情を理解することです。読解力が不足していると、これらの文章の核心部分を読み取ることができないため、大量に失点をしてしまいます。
また、基本的な文法(主語・述語・修飾語など)や、論理構造(接続詞・言い換え・具体例など)を理解できていない場合、文章全体の構成を把握することができません。結果として、文章がまるで単語や文の羅列のように感じられ、部分的な理解はできても、文章全体の意味を正しく理解することが難しくなります。
お子さまのテストの成績が良くなかった際は、一緒にもう一度文章を読み、筆者の主張や登場人物の心情などを質問してみてください。もし、重要な箇所を答えられないようであれば、文章の内容をほとんど理解できていないと考えられます。
【読解力不足のチェック方法】
- 保護者様の前で、お子さまに文章を黙読してもらい、筆者の主張・その根拠・登場人物の心情・きっかけとなった出来事など、本文の核心部分を質問する。
- 新聞のコラムなど短い文章を要約させる。
絶望的な状況を打開する。国語の成績を上げる方法とは
ここでは国語の成績が絶望的だと感じた時に実践すべき、3つの対策を紹介しています。最後にご家庭で国語力を伸ばすために、保護者様が知っておきたい重要なポイントをまとめているので、ぜひ確認してください。
語彙を強化する
繰り返しになりますが、国語が苦手なお子さまは、語彙問題集に掲載されているような難しい言葉以前に、普段の生活で目にする基本的な言葉を知らないことが多いです。
このため、語彙を強化するには、塾で決められている語彙学習に加えて、新聞や小学校の教科書、家庭にある本などを使って、自主的に語彙を学ぶ必要があります。具体的には、お子さまに文章を音読してもらい、読みづらそうにしている語の意味を保護者様が質問し、答えられない場合は、辞書で意味を調べてまとめる方法がおすすめです。
ただし、この方法は時間がかかる上、一度に大量の語彙を覚えようとしても消化不良を起こしてしまうため、毎日時間を決めて少しずつ取り組むように注意してください。
また、お子さまが辞書の説明だけでは理解しづらい場合は、保護者様が具体的な使用例を挙げ、かみ砕いて説明してあげることも重要です。テレビや家族団らんなど日々の生活の中で調べた単語が出てきたら「こうやって使うんだよ」と気づかせるなど、常に語彙学習を意識して過ごすと良いでしょう。
【語彙を強化する方法】
- 教材
- やり方
- 注意点
塾で扱った文章題、解けなかったテストの問題、新聞、難しい場合は小学校の教科書や家庭にある本など
1.保護者様の前でお子さまに文章を音読してもらい、読みづらそうにしている語の意味を質問する。
2.答えられない場合は意味を辞書で調べてノートにまとめる。
・毎日少しずつコツコツと勉強する。
・辞書の説明だけで理解が難しいようであれば、保護者様が使用例を挙げながらわかりやすく説明してあげる。
・日常生活でも語彙に関して指摘する習慣をつける。
・語彙ノートを定期的に見返し、忘れている語は繰り返し覚え直す。
文章読解を習慣化する
活字嫌いの克服には、読書を習慣化することが最も効果的です。お子さまが小学校の課題以外に全く読書をしていないようであれば、まずは毎日10分程度の読書時間を設けてみてください。
ただし、読書を無理強いしてしまうと、ますます活字が嫌いになって悪循環に陥ってしまうため、注意が必要です。最初は、お子さまが興味を持った本であればどんなジャンルでも構わないので、楽しい雰囲気づくりを心掛けましょう。
どうしても本を読みたがらない場合は、保護者様自身が読書を楽しむ姿を見せるだけでも、お子さまにとって良い影響を与えることができます。
易しい問題集で、読み方・解き方を身につける
読解力をつけるには、地道に演習を積み重ねる必要があります。国語が苦手な場合、塾の課題は難易度が高すぎてかえって学習効果が薄れる危険性があるため、まずはお子さまが無理なく理解できるレベルの問題集を選んでください。
文章読解の際は、最初にお子さまに黙読をさせ、その後、論説文であれば筆者の主張とその根拠、物語文であれば登場人物の心情の変化ときっかけとなった出来事など、文章の重要な箇所を保護者様が質問します。答えられない場合は、段落ごとに精読して、お子さまがどこでつまずいたのかを明らかにしていきましょう。精読の際は「主語・述語はどれか」「修飾語はどこにかかっているか」「指示語は何を指しているのか」「この接続詞がでたら、次の文章はどうなりそうか」「この文を言い換えている箇所はどこか」「わかりやすい具体例はどこに書いてあるか」などの質問が有効です。
問いに解答する際は、正解か不正解かではなく、お子さまなりに根拠を持って解答を導き出せているかどうかに注目することが重要です。そこで、お子さまが答えを導き出した際は、本文のどこを見てどう考えて答えたのかを逐次確認することをおすすめします。
易しい問題集に慣れて、安定して8割程度が読めるようになってきたら、同じやり方で、塾で習った文章やテストの解き直しに挑戦してください。
【読み方・解き方を身につける方法】
- 教材
- やり方
お子さまにとって読みやすいレベルの問題集
1.黙読をする。
2.保護者様が本文の重要なポイント(論説文であれば筆者の主張とその根拠、物語文であれば登場人物の心情の変化ときっかけとなった出来事など)を質問する。
3.うまく答えられないようであれば、段落ごとに精読する。
4.本文のどこを見てどう考えたのかを確認しながら問いに答える。
※精読時の質問例:「主語・述語はどれか」「修飾語はどこにかかっているか」 「指示語は何を指しているのか」「この接続詞がでたら、次の文章はどうなりそうか」「この文を言い換えている箇所はどこか」「わかりやすい具体例はどこに書いてあるか」
【まとめ】国語の成績を上げるポイント
ここまで紹介してきた3つの対策に共通しているのは、易しい課題に対してサポートを受けながら、丁寧に時間をかけて実践するということです。
無理に難しい課題を与えてしまうと、お子さまは内容を理解できないため、機械的な作業をしてしまいます。これではせっかく時間をかけても学習効果が得られないだけでなく、本来改善すべきつまずきが解消されない上、わからないことが苦痛でますます苦手意識が強くなってしまいます。
また、国語が苦手なお子さまは、何がわからなくて問題に答えられないのかもわからない状態であることが多いです。この状態でお子さま一人に勉強を任せてしまうと、何となく読んで何となく答え、間違ったら答えを写すだけという身にならない取り組みをしたり、わかっていないのにわかったと勘違いしてしまったりします。
国語の成績を上げるためには時間と根気が必要です。簡単な問題に根気強く付き添うことは、一見遠回りのように思えるかもしれませんが、基礎を丁寧に積み上げることこそが、国語力向上の近道なのです。
国語が絶望的でもあきらめない。緊急事態の時はどうする
繰り返しになりますが、国語の成績が深刻な状況では、保護者様が付き添って基礎から丁寧に学習する方法が有効です。
しかし、この取り組みは必ず実践できる方法でないのも確かです。「国語は成績が上がるまで時間がかかるのに、入試間近になってしまった」「一緒に勉強をしてあげたいけど、教えるのは難しいし時間もない」「国語が壊滅的過ぎて、どう教えても全く成績が上がらなかった」という方はいらっしゃいませんか。
ここでは、ご家庭での学習にお悩みの保護者様に向けて、おすすめの対策を3つ紹介します。
国語の目標設定を見直す
成績アップを目指す上で目標設定は大切ですが、お子さまにとって目標が高すぎると、焦りやプレッシャーを感じてますます成績が伸び悩んでしまうことがあります。
例えば国語の偏差値が30の状態で、偏差値60を目指したり、偏差値60相当の中学の過去問で合格点を取ろうとしたりするのは、負担が大きい可能性があります。
もし、高い目標を設定している場合は「足をひっぱらないくらいにする」や「少しだけでも伸ばす」といったお子さまが達成しやすい目標に変えてみてください。
入試問題と相性がよい学校を受験する
国語の入試は学校ごとに大きく異なるため、お子さまの得意分野と学校の出題傾向が合えば、得点を伸ばせる可能性があります。
読解が苦手なら知識問題の配点が高い学校、論説文が苦手なら物語文を重視する学校など、各校の過去問を比較しながら、お子さまの強みを活かせる学校を探してみましょう。
お子さまが力を発揮できる学校が見つかったら、どのくらいの点数を取れば合格できるか具体的にシミュレーションをしてみてください。
個別指導という選択肢
ここまで述べてきた、目標の再設定や相性が良い学校選びは、緊急事態の最終手段として有効ですが、志望校をあきらめざるを得ない可能性があります。ここまで懸命に勉強してきたお子さまのことを考えると、できる限り国語の成績を伸ばして志望校合格を目指したいですよね。しかし、お子さまの成績が上がるまで保護者様がつきっきりでサポートするのは、時間的にも精神的にも大きな負担です。
そんな時におすすめの選択肢が、個別指導の利用です。
個別指導塾や家庭教師では、中学受験のプロがお子さまのつまずきの原因を徹底的に洗い出し、マンツーマンで丁寧に指導をするため、無駄なく最短距離で、確実に成績を伸ばすことができます。
国語の成績アップは、早ければ早いほど効果的です。お子さまの国語の成績に少しでも不安を感じたら、早めに個別指導塾にご相談ください。
【個別指導のメリット】
- 講師がつきっきりで指導するため、集中して取り組める。
- わかるまで質問できる。
- お子さまのつまずきの原因を特定し、効率的に学習できる。
- お子さまの学習状況や理解度に応じて、オリジナルのカリキュラムで勉強できる。
- 勉強の悩みや入試の不安など、精神的な悩みを共有できる。
- 志望校の出題傾向を踏まえた課題に取り組める。
- 過去問の対策ができる。
国語の成績は必ず伸びる。絶望的だと思ったら今すぐ対策
いかがでしたでしょうか。
あきらめずに適切な対策を続ければ、国語力は必ず伸ばすことができます。
しかし、お子さまの成績が深刻な場合は、常に寄り添って勉強をサポートする必要があるため、保護者様にとって大きな負担となるのも事実です。
お子さまの点数がなかなか上がらず、保護者様もストレスを感じているようであれば、個別指導塾を頼るのも選択肢の一つです。ぜひご家庭だけで抱え込まず、プロの力を借りてお子さまと笑顔で受験に臨んでください。