2025/03/17
2025/04/01

総合型選抜と評定平均|評定を上げるための戦略と低い場合の対策

総合型選抜では、評定平均が重要な判断材料のひとつとして多くの大学で活用されています。高い評定は出願資格を確保するだけでなく、選考過程でも有利に働く可能性があります。本記事では、評定平均の役割や対策、さらに評定が求められない大学の一覧を通じて、総合型選抜での成功に向けたポイントを解説します。

総合型選抜における評定平均の重要性

評定平均が大学で評価される理由

評定平均は、総合型選抜における重要な評価基準として、多くの大学で重視されています。この数値は、受験生の学業成績だけでなく、学習態度や継続的な努力を示す指標として活用されます。

多くの大学では、評定平均を総合型選抜の出願資格の一部として設定しており、基準を満たしていない場合は出願が認められません。評定平均は高校ごとの評価のばらつきが大きいため、合否は様々な評価と合わせて総合的に判断されますが、ボーダーライン上や甲乙つけがたいケースなどで有利に働くことがあると考えられます。

高い評定平均がもたらす優位性

高い評定平均は、総合型選抜において出願資格の確保や選考過程での有利な評価につながる重要な要素です。評定平均を出願要件として設定している大学も多く、これを満たさない場合は出願自体ができないケースが一般的です。

評定平均が高いことで、より多くの大学や学部での出願が可能になり、選択肢が広がります。また、評定が基準値を超えている受験生は、大学側から「学業に対する安定した取り組み姿勢」や「継続的な努力ができる人物」として評価される場合があり、選考過程で他の受験生と比較した際に有利な立場を得ることも可能です。

大学側は、総合型選抜における評定平均を入学後の学業成績や成長を予測する指標としても利用します。高い評定平均は、大学生活における学業成功の可能性を示すものとして信頼されており、これが総合型選抜での評価基準において一定のウェイトを占める理由の一つとなっています。

評定平均を上げるための戦略

早期の計画

評定平均を高めるためには、早い段階からの計画的な取り組みが欠かせません。特に高校1年生の段階で学習習慣を確立することが、成績の安定と向上に繋がります。目標とする評定平均値によっては、高校2年生の定期試験から頑張っても間に合わないこともあるため、高校1年生の期間の定期試験は極めて重要と言えます。

定期テストのスケジュールを把握し、それに合わせた学習計画を立てることが重要です。具体的には、以下のような方法を実践することで評定平均を安定的に向上させることができます。

■テスト前の準備期間を確保
テスト範囲が発表される前から予習を進め、範囲発表後は復習を徹底します。

■短期間の詰め込みを避ける
定期的な学習習慣を維持することで、テスト前に焦らずに済みます。

■類題の活用
学校で配布される類題を繰り返し解き、出題傾向を把握します。

各科目の苦手分野を特定し、そこに時間をかける計画を作ることも大切です。苦手科目での点数向上は全体の評定に大きな影響を与えるため、早期に取り組むことで効果的に評定を改善できます。

加えて、より高い評定平均値を目指すなら、出題者である担当教師の特性などを踏まえて、やや変わった問題が出されることも考慮して対策を行うと良いでしょう。

コース選択・科目選択の工夫

高校2年生以降では、コース選択や選択科目の決定が評定平均に直結する重要なポイントとなります。評定平均を上げるためには、自分の得意科目を優先的に選ぶだけでなく、戦略的に選択することが求められます。高校での履修単位に制限がついていて出願資格を得られなくなってしまう可能性もあるため、綿密に下調べを行いましょう。

■得意科目を最大限活用
自分が得意とする分野の科目を選ぶことで、安定した高評価が期待できます。

■評定を上げやすい科目を選択
比較的得点が取りやすい科目や、自分の関心が高い科目を選ぶことでモチベーションを維持しやすくなります。

■バランスの取れた選択
得意科目に偏りすぎず、幅広い分野で平均的に高評価を得られるよう、科目選びを工夫します。

高校選びの注意点(※中学生向けの補足)

総合型選抜を目指す中学生が高校を選ぶ際には、評定平均を高めやすい環境を意識することも重要です。高校で高い評定平均を維持できれば、総合型選抜に必要な出願資格を満たしやすくなり、合格の可能性を広げる基盤となります。加えて、総合型選抜の合格実績が豊富な高校や、志望校の総合型選抜の合格実績がある高校を目指すとなお良いでしょう。

進学校では偏差値が高い分、競争が激しく、相対評価の影響で評定が下がるリスクがあります。そのため、自分の学力に対して余裕を持てる高校を選ぶことで、高い評定を獲得しやすい環境を整えることも可能です。

評定が低い場合の対策

出願可能な大学を探す

一部の大学では評定平均の基準が緩やかだったり、特定の入試方式で評定要件が免除されたりする場合があります。例えば、慶應義塾大学 総合政策学部(SFC)や一部の私立大学では評定要件が設けられていません。

また、国公立大学であっても大学によっては特殊な入試方式を設けている場合があり、評定の基準が緩和されたり、評定を一切求められなかったりするケースもあります。募集要項を詳しく確認し、評定が関係ない入試形式の大学や学部を模索しましょう。

面接対策を実施する

評定平均が低い場合、面接でその理由を尋ねられることが少なくありません。その際、正直に「勉強していなかった」と答えるだけでは、印象を大きく損ねる可能性があります。そのため、部活動などの過去に注力していた活動や特別な事情を、ポジティブな視点で説明することが求められます。

例えば、「部活動や地域活動に専念していたため勉強に手が回らなかったが、現在は学業にも力を入れている」といった具体的な事情に言及することで、成長意欲を伝えられます。また、苦手科目への取り組みや、努力した過程を具体的に語ることも効果的です。面接対策を徹底することで、評定平均のマイナスをカバーする信頼感を与えられるでしょう。

評定の低さを補えるだけの探究活動の実績を積む

総合型選抜においては、探究活動や課外活動で成果を上げることで、評定が低いことを補える場合もあります。例えば、学校外での研究プロジェクトへの参加や資格取得、ボランティア活動、さらには全国規模のコンテストでの受賞経験などが挙げられます。これらの実績は、大学に対して主体性や問題解決能力をアピールする強力な材料となります。

英語外部資格試験対策を徹底して実施する

現在の総合型選抜では、英語外部資格試験のスコアが出願資格や評価基準として重要視されている傾向があります。特に、英検®準1級以上レベルの取得によって評定の提示が求められないなど出願の幅が大きく広がり、合格の可能性が高まります。一般的に評定が足りない状態でも、スコアを武器にすることで総合型選抜の突破口を開くことができます。

評定なしで出願可能な主な大学一覧

私立大学

評定平均が出願条件に含まれない大学は全国に複数存在します。ここでは、評定なしで出願が可能な大学の中でも、主に関東の私立大学の事例を取り上げます。

慶應義塾大学

総合政策学部 学部全体で150名規模の募集
AO入試
環境情報学部 学部全体で150名規模の募集
AO入試
法学部 法律学科、政治学科
FIT入試A方式

早稲田大学

国際教養学部 国際教養学科 ※100名規模の募集
AO入試
文化構想学部 文化構想学部 文化構想学科 多元文化論系
国際日本文化論プログラム 日本学生入試
一定以上の英語試験のスコアが必要
創造理工学部 建築学科
早稲田建築AO入試
数ⅠⅡ、数学ABの履修、かつ理科の合計取得単位10以上
先進理工学部 学部全体で若干名のみ募集
特別選抜入試
所定の理系大会で一定以上の成績、数学と理科の所定の履修が必要

明治大学

農学部 食料環境政策学科
地域振興特別入試
政治経済学部 政治学科、経済学科、地域行政学科
グローバル型特別入試
一定以上の外国語試験のスコアが必要
理工学部 電気電子生命学科
アドミッションズオフィス入試

立教大学

文学部 ドイツ文学専修、フランス文学専修
異文化コミュニケーション学部 異文化コミュニケーション学科
方式A/方式B
一定以上の英語試験のスコアが必要
経済学部 経済学科、経済政策学科、会計ファイナンス学科
一定以上の英語試験のスコアが必要
社会学部 社会学科、現代文化学科、メディア社会学科
一定以上の英語試験のスコアが必要

中央大学

法学部 法律学科、国際企業関係法学科、政治学科
チャレンジ入試(3学科で計30名)
法学部 法律学科、国際企業関係法学科、政治学科
英語運用能力特別入試
一定以上の英語試験のスコアが必要
経済学部 経済学科、経済情報システム学科、国際経済学科、公共・環境経済学科
高大接続入試 自己推薦型(研究テーマに関する活動実績)
経済学部 経済学科、経済情報システム学科、国際経済学科、公共・環境経済学科
英語運用能力特別入試
一定以上の英語試験のスコアが必要
商学部 経営学科、会計学科、国際マーケティング学科、金融学科
英語運用能力特別入試
一定以上の英語試験のスコアが必要
文学部 文学部全体で40名規模の募集
自己推薦入試(外国語型/専攻適性型)
型により語学力、専攻に関する活動がそれぞれ必要
文学部 社会文科系/スポーツ文科系
学びのパスポートプログラム(意欲や学問への関心を重視)

青山学院大学

文学部 英米文学科
自己推薦
一定以上の英語試験のスコアが必要
コミュニティ人間科学部 コミュニティ人間科学科
自己推薦

法政大学

法学部 国際政治学科
英語外部試験利用自己推薦
一定以上の英語試験のスコアが必要
経済学部 経済学科、国際経済学科、現代ビジネス学科
英語外部試験利用自己推薦
一定以上の英語試験のスコアが必要
情報科学部 コンピュータ科学科、ディジタルメディア学科
公募推薦
数学・物理の履修と一定以上の英語試験のスコアが必要

国公立大学

評定平均が出願条件に含まれない国公立大学も全国に存在しており、ここでは一部の大学の事例をお伝えしますので参考にしてください。国公立大学の場合、評定は求められないものの、大学入学共通テストの点数や、合格した際に必ず入学が求められるケースも多いので、志望校の募集要項を必ず確認しましょう。

北海道大学

理学部 地球惑星科学科
フロンティア入試TypeⅠ
理系科目の履修に条件あり、一定以上の英語試験のスコアが必要
医学部 保健学科 看護学専攻、検査技術科学専攻、作業療法学専攻
フロンティア入試TypeⅠ
医学部 保健学科 放射線技術科学専攻、理学療法学専攻
フロンティア入試TypeⅠ
理系科目の履修に条件あり
工学部 応用理工系学科 応用マテリアル工学コース
フロンティア入試TypeⅠ
理系科目の履修に条件あり
工学部 環境社会工学科 社会基盤学コース
フロンティア入試TypeⅠ
一定以上の英語試験のスコアが必要
水産学部 海洋生物化学科、海洋資源科学科、増殖生命科学科、資源機能科学科
フロンティア入試TypeⅠ
数Ⅲの履修が必要、理系科目の履修に条件あり
理学部 数学科
フロンティア入試TypeⅡ
数Ⅲの履修が必要
理学部 物理学科
フロンティア入試TypeⅡ
数Ⅲ及び物理の履修が必要
理学部 化学科
フロンティア入試TypeⅡ
化学・物理・数Ⅲの履修が必要
理学部 生物科学科 高分子機能学専修分野
フロンティア入試TypeⅡ
数Ⅲの履修が必要、理系科目の履修に条件あり
工学部 応用理工系学科 応用物理工学コース
フロンティア入試TypeⅡ
数Ⅲ及び物理の履修が必要
工学部 機械知能工学科
フロンティア入試TypeⅡ
数Ⅲの履修が必要、理系科目の履修に条件あり
工学部 環境社会工学科 環境工学コース
フロンティア入試TypeⅡ

大阪大学

文学部 英語の資格やリーダーシップ経験などでも出願可能
人間科学部 アドミッションポリシー及び総合型選抜で求める学生に合う活動を1つでもしていれば出願可
外国語学部 一定以上の英語試験のスコアが必要
法学部 一定以上の英語試験のスコアが必要
経済学部 一定以上の英語試験のスコアが必要
理学部 研究奨励型
理数系の研究能力や実績が必要
理学部 挑戦型
理数系の課外活動実績が必要

九州大学

共創学部 総合選抜型Ⅰ
※共通テストの受験は不要
教育学部 総合選抜型Ⅰ
※共通テストの受験は不要
文学部 総合選抜型Ⅱ
2次選抜にて英語小論文、英語面接が課される
法学部 総合選抜型Ⅱ
経済学部 経済学科、経営学科
総合選抜型Ⅱ
理学部 総合選抜型Ⅱ
医学部 保健学科
総合選抜型Ⅱ
歯学部 総合選抜型Ⅱ
工学部 全11学科
総合選抜型Ⅱ
芸術工学部 総合選抜型Ⅱ
農学部 総合選抜型Ⅱ

東京科学大学(旧東京工業大学、旧東京医科歯科大学)

理学院 一般枠・女子枠
工学院 一般枠・女子枠
物質理工学院 一般枠・女子枠
情報理工学院 一般枠・女子枠
生命理工学院 生命理工学院には女子枠はないので注意
環境・社会理工学院 一般枠・女子枠

横浜国立大学

教育学部 学校教員養成課程
経済学部 経済学科
一定以上の英語試験のスコアが必要
理工学部 機械・材料・海洋系学科
都市科学部 都市社会共生学科、建築学科、都市基盤学科、環境リスク共生学科
学科により履修科目に条件あり

筑波大学

人文・文化学群 共通テストの受験は不要
生命環境学群 共通テストの受験は不要
情報学群 共通テストの受験は不要
体育専門学群 共通テストの受験は不要

総合型選抜と評定平均のまとめ

総合型選抜では、評定平均が出願資格や選考において重要な役割を果たします。高い評定平均は出願の幅を広げ、選考過程での優位性をもたらす傾向があります。一方、評定平均が低い場合でも、探究活動や外部資格を活用して評価を補うことが可能です。自身の強みを活かした戦略的な準備が合格への鍵となります。

具体的な事例や最新の状況を知りたい場合は、総合型選抜を得意とする個別指導塾を活用するといった方法もありますので、悔いのないよう最善を尽くして取り組んでいきましょう。

カテゴリーから選ぶ