2025/02/25
2025/04/02

SAPIXでクラス落ちした…もう取り返せない? NG行動と5つの対策

中学受験における進学塾の1つ、SAPIXでは、成績によってクラス落ちをしてしまうケースがあります。クラスが落ちると講師陣も変更になることから、クラス落ちが心配な保護者様も多いことでしょう。この記事では、SAPIXでクラス落ちが心配な保護者様、あるいはクラス落ちをしてしまい不安に思っている保護者様へ向けて、SAPIXにおけるクラス制度の概要とクラス落ちへの対策などを解説しています。クラス落ちを防ぐための、またはクラス落ちからから復帰するための今後の参考にしてください。

SAPIXのクラス制度とは

SAPIXのクラス分け方法

SAPIXでは、成績別にクラス分けを行っています。クラスは大きく分けて、「αクラス」と「アルファベットクラス」の2つです。αクラスとは難関校受験クラス、つまり成績上位クラスに該当します。αクラスの中でも最も成績が良い組が「α1」、次いで「α2」「α3」と数字がつけられる形式です。次いでアルファベットクラスは、下位から「A」「B」「C」とアルファベット名がつけられます。SAPIXでは1クラス15〜20人ほどの少人数制を採用しており、αクラスの数字がいくつまであるか、またアルファベットクラスの最上位クラスが「C」であるか「D」であるかは、校舎の在籍人数ごとに異なります。大規模な校舎では、αクラスが「α6」まで、アルファベットクラスが「K」まであることも珍しくありません。

各クラスのレベルと特徴

SAPIXに通うお子さんや保護者様の中では、αクラスに入れるか、そうでないかが大きな問題とされることが多いでしょう。SAPIXでαクラスに入れるのは、偏差値がおよそ56以上であると言われています。さらにαクラスの中でも最上位クラスの「α1」で求められるのは、偏差値65程度の学力です。人数の多い教室では、「α1」の基準が偏差値67以上となることもあり、難易度はかなり高いと言えるでしょう。一方、アルファベットクラスは偏差値がおよそ55以下ですが、アルファベットクラスごとの偏差値レベルは校舎に在籍する人数によっても異なります。

SAPIXにおけるクラス落ちとは

偏差値が下がると下のクラスへ振り分けられる

SAPIXにおいて、「クラス落ち」とは、在籍しているクラスが下位のクラスへと変更になることを指しています。最上位クラスの「α1」に在籍していても、テストの結果によっては「α2」やそれ以下のクラスに下げられてしまうこともあるでしょう。こうした「クラス落ち」は、特にSAPIXではαクラスからアルファベットクラスへ変更になった場合に問題視されやすい傾向にあります。一方で、成績が上がれば上のクラスへと変更になることもあり、一度クラス落ちを経験したからといって、悲観的になる必要はないでしょう。

マンスリーテストと組分けテスト双方の結果が問われる

SAPIXで「クラス落ち」を決めるのは、1〜2ヶ月に1回の頻度で行われるマンスリーテストと、年に3回行われる組分けテストの2つです。

マンスリーテストは、直近の1〜2ヶ月で習った内容を問われるテストです。なお、得点率が約75%を超えるとαクラスへの在籍が視野に入ると言われています。反対に、αクラス在籍のお子さまが得点率75%を下回ると、アルファベットクラスへのクラス落ちとなる可能性が高まるでしょう。

一方、組分けテストは例年、季節講習に合わせて3月頃、7月頃、1月頃に実施される傾向です。試験範囲は、それまでに習ったすべての内容が含まれるため、直近の学習だけでは得点することが難しく、平均点もマンスリーテストより大きく下回る傾向にあります。組分けテストでは、点数によって数クラス一気にクラス落ちしてしまうこともあるのです。

SAPIXでクラス落ちする原因

マンスリーテストで点が取れていない

SAPIXでは、マンスリーテストの結果が良くないとクラス落ちとなります。マンスリーテストは直近1ヶ月程度の学習内容を網羅したテストで、前の回のマンスリーテストで点が取れていたとしても、その後の1ヶ月で理解が進まなくなれば点を取ることができません。極端に言えば、前の回のマンスリーテストで点が取れたからといって気を抜いてしまうと、次のマンスリーテストで点数が取れず、クラス落ちしてしまう可能性があるのです。

組分けテストで調子が悪かった

年3回の組分けテストで、たまたま調子が悪かったりすると、クラス落ちの原因となります。先述のとおり、組分けテストはマンスリーテストに比べて試験範囲が広いテストです。また組分けテストではクラス変動の幅に制限がないため、一度の失敗で大幅にクラスが下がってしまう可能性があるでしょう。マンスリーテストではカバーできない、数ヶ月前に学習した範囲がわからなくなっている場合はもちろん、組分けテストの日に体調不良で実力が発揮できない場合もクラス落ちにつながります。

宿題が終わっていない

SAPIXでは、オリジナル教材である「デイリーサピックス」や「デイリーサポート」といったテキストの一部が宿題として設定されています。これらの内容は、直近のマンスリーテストの範囲であり、かつ数ヶ月後に実施される組分けテストの試験範囲にもなってくるため、宿題が終わっていない場合はクラス落ちにつながる可能性があるでしょう。

苦手科目に取り組めていない

得意科目の点数が取れたとしても、苦手科目で大きく点数を落としてしまうと、全体の成績が振るわずにクラス落ちの原因になることがあります。SAPIXの出題は難易度が高く、苦手科目はなおさら扱いにくくなっていますが、思い切って取り組みを増やすことがクラス落ちを防ぐと言えるでしょう。

SAPIXにおけるクラス落ちのメリットとデメリット

メリット:基本事項が丁寧に解説されるため、学習し直せる可能性が高まる

SAPIXでは、クラスによって授業内容の深度が違います。テキストはαクラスも、アルファベットクラスも同じものを使用していますが、クラスによって使う範囲も宿題の量も異なるのが特徴です。下位のクラスでは、1つの単元について難問を扱うよりも基礎を固めることに重点を置くため、上位クラスの授業についていけなくなっている場合も、下位クラスで学習の土台を作り直せる可能性があるでしょう。

デメリット:目標とする志望校に合格できる可能性が下がる

SAPIXでクラス落ちを経験したとき、志望校を下げなければならないのでは、とお子さまよりもむしろ保護者様が焦ってしまうことがあります。とりわけ中学受験における成績上位者が集まりやすいSAPIXでは、「αクラス」に対する注目度が高く、それだけにαクラスからアルファベットクラスへのクラス落ちで保護者様がショックを受けてしまうことがあるのです。そのショックをお子さまにぶつけたりすると、成績がさらに上がりにくくなり悪循環に陥る可能性もあるでしょう。

SAPIXでクラス落ちを防ぐ・取り返すための対策5つ

テキストの見直しに繰り返し取り組む

SAPIXで授業ごとに配布される「デイリーサピックス」「デイリーサポート」といったテキストに繰り返し取り組みましょう。SAPIXでは授業の際に、その日の授業で扱う教材を配布しています。復習をしっかり行うことで、クラス落ちに関わるマンスリーテストや組分けテストの結果を上げていくことができます。

家庭学習における集中力を高める

SAPIXでは自習室に力を入れておらず、学力を上げるには家庭学習を行うしかありません。集中力を持って家庭学習をできているか、確認してみると良いでしょう。家庭学習は保護者様が見てあげるものですが、「ずっと監視して目の前で解かせる」「横から保護者様が教える」、といった方法は返って集中を妨げることがあります。リビング学習などで保護者様の雰囲気を感じながらも、テレビの音や、弟や妹に邪魔をされない静かな環境を用意してあげましょう。例えば、自宅に家庭教師を呼んで指導してもらったり、あるいは自宅での落ち着いた学習が難しかったりする場合は個別指導塾の利用を検討するのもおすすめです。

長時間学習することだけに頼らない

学力を上げ、クラス落ちを防ごうと考えると、つい遅い時間まで勉強をさせれば良いかと思ってしまいます。SAPIXの場合はαクラスに在籍していると宿題の量も多く、終わらせるために長い時間がかかるのも難点です。できるだけ早めに切り上げ、睡眠時間をしっかり確保することで、効率の良い学習ができるようになるでしょう。

苦手科目に前向きに取り組む

全体的な成績を上げ、クラス落ちを取り返せるかどうか、あるいはクラス落ちを防げるかどうかは、苦手科目の点数にかかっていると言っても良いでしょう。SAPIXの学習は難易度が高く、苦手科目は特についていけないと感じるお子さまも多いですが、あえて苦手科目に時間を割くことをおすすめします。

子どものメンタルケアに気を配る

保護者様はクラス落ちを気にしすぎることなく、お子さまのメンタルケアに気を配ると良いでしょう。特にクラス落ちに直面しているお子さまは、保護者様よりもずっと落ち込んでいたり、自分と友だちを比べていたりすることも多いものです。保護者様には、お子さまの頑張りを信じる一貫した態度でいることが求められます。お子さまの日々の努力を認め、ねぎらいの言葉をかけることで、「もっと頑張ろう」という気持ちが持続するでしょう。

SAPIXでクラス落ちにつながる親のNG行動

「クラス落ちちゃうよ!」と脅す

日頃の勉強を見ている中で、つい「もっと頑張らないと、クラス落ちちゃうよ!」と発破をかけたくなることがあるかもしれません。しかしこれはお子さまにとっては脅しの言葉です。気持ちが萎縮してしまうと、勉強に対する理解度が落ちて、かえって点数が取れなくなる可能性もあるため、おすすめできません。

テスト結果に一喜一憂する

お子さまの持ち帰るテスト結果に一喜一憂しても、お子さまの不安をあおるだけの結果になってしまいます。特に、少しでも成績が落ちたときに焦って学習時間を増やそうとしたり、ペナルティとして自由時間を減らしたりすると、勉強に対するモチベーションが落ちてしまうため効果がありません。

子どもの努力を「足りない」と評価する

なかには、どのような点数を取っても「まだまだだね」「ここをもう少し頑張れば良かったね」、満点なら「当たり前、まだ次がある」と上を見てしまう保護者様もいるでしょう。しかし、お子さまとしては頑張って獲得した点数であることも多く、いつ何点を取っても「まだ上がいる」と評価されてしまうと、学習に対するモチベーションが保てなくなってしまいます。

まとめ

SAPIXでクラス落ちになってしまう直接の原因は、マンスリーテストや組分けテストで点が取れないことです。SAPIXの場合は、上位クラスになるほどお子さま同士の差が少なく、ちょっとしたミスで点数を落とし、クラス落ちにつながってしまうこともあるでしょう。保護者様としては一喜一憂せず、落ち着いてお子さまを見守ることが大切です。ただ毎月のテストでクラス替えが行われるSAPIXでは、お子さまにも保護者様にも大きなストレスがかかります。

思ったようにクラスが維持できない場合や、上のクラスへ上がれない場合は、常にストレスがかかる環境下で実力が発揮しきれていないのかもしれません。このような場合、過剰に他のお子さまと競争せずマイペースな学習ができる個別指導塾の利用もぜひおすすめします。多くのご家庭が、SAPIXと併用して個別指導塾や家庭教師を利用しています。学習の指針を立てたり、家庭学習の精度を高めたりするためにも、指導のプロが在籍している個別指導を選びましょう。

カテゴリーから選ぶ