理科は、国語・算数に比べてついつい後回しにしてしまう科目ですよね。「後でまとめて覚えればいいや」と思っていたら、いつの間にか6年生の冬になっていた、という話は珍しくありません。
この記事では、理科が間に合わなくなる状況や成績不振の要因、そして今後の対策をまとめています。お子さまの理科の成績にお悩みの保護者様は、ぜひ記事をチェックして手遅れを回避しましょう。
間に合わなくなる前に知っておきたい。中学受験における理科の特徴
受験勉強では国語と算数を重視しがちですが、志望校に合格するためには理科の強化が不可欠です。では、なぜ理科の学習が重要なのでしょうか。
ここでは、保護者様が知っておきたい理科の特徴をまとめながら、理科の勉強が間に合わないとどうなるのかを説明します。
知っておきたい理科の特徴① 実は範囲が広い
中学受験の理科は、生物・地学・化学・物理の4分野から満遍なく出題されます。各分野を構成する単元は、生物(植物・動物・人体)、地学(気象・天体・地層)、物理(運動・電気・音と光・浮力)、化学(水溶液・気体・燃焼)などと多岐に渡り、学ぶ範囲がとても広いです。
さらに、4つの分野ごとに問われる力が異なるため、理科全体で高得点を取るためには総合力が必要です。バランス良く勉強をしていないと、苦手分野(単元)が足を引っ張り、入試で力を発揮できなくなってしまいます。
知っておきたい理科の特徴② 実は暗記だけでは得点できない
お子さまの多くが「理科は暗記科目」と思って、教科書を丸暗記しようとしますが、理科は覚えているだけでは点数を取れません。理科の中には暗記が重要な単元もありますが、原理や法則を理解しなければいけない単元や、計算力が求められる単元も多いです。
さらに、昨今の入試では、単に知識を問うだけ、計算するだけという問題が減ってきています。難関校になるほど、知識と計算を融合させた問題やグラフ・図を読み取る問題、非常に長い問題文から必要な情報を抽出する問題など、出題にひねりが加えられています。
つまり、教科書の内容を覚えているだけではなく「なぜそうなるのか」という仕組みを理解していなければ、入試には太刀打ちできないのです。
知っておきたい理科の特徴③ 実は「理科で不合格」が多い
理科は国語や算数に比べて、どうしても優先度が下がりがちな科目です。「勉強できる時間が限られているから、配点が高い国算を優先しよう」「暗記は直前にした方が効率的だから、6年生後半にやろう」となり、無意識のうちに学習時間・頻度が減ってしまうことがあります。
繰り返しになりますが、理科は範囲が広く、暗記だけでは得点できないことも多く、安定した成績を出すまでに時間が必要です。このため、理科の勉強を後回しにしてしまうと、せっかく国語と算数の勉強をがんばっても、理科の点数が足りないせいで不合格になってしまうことがあります。分野が多岐にわたるため、「苦手な単元が出てしまい、大問まるまる失点してしまう」という事態が起こりやすい科目ともいえます。
お子さまの理科の成績が伸び悩んでいる場合は、後回しにせず、今すぐ対策を取ることをおすすめします。
具体例で確認。「理科が間に合わない」とはどのような状況か
理科は成績を上げるのに時間がかかるにもかかわらず、後回しにされがちなため「理科が間に合わなくて不合格」という状況になってしまう可能性もあります。では、具体的にどのような状況になったら間に合わない可能性が高いのでしょうか。
ここでは、中学受験における理科のカリキュラムを確認した上で、理科が間に合わない具体例を紹介します。
中学受験における理科のカリキュラム
多くの塾では、4年生(小3の2月)から中学受験に向けた理科の学習をはじめ、6年生の夏休み前までに基本事項を習得し終え、6年生の後半には応用問題や実践演習に着手するカリキュラムを組んでいます。
4年生~6年生前半までの基礎固めの時期は、単元ごとの学習です。この際、スパイラル方式を取っている塾が多いため、同じ単元を繰り返し、内容を深めながら学ぶことになります。
塾のカリキュラムにお子さまがついていけなくなってしまうと、どんどん周囲との差が広がり、気付いた時には入試に間に合わなくなってしまいます。次の項目で授業についていけていない場合の具体例を挙げるので、当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
間に合わない例① 入塾が遅かった
先ほど触れたとおり、多くの塾では4年生~6年生前半はスパイラル方式で基礎固めをしているため、入塾が遅ければ遅いほど学習を繰り返せなくなります。
理科がもとから得意、基礎学力が高いなどの前提がない限り、難関校を目指す場合は4年生までの入塾が望ましいです。もしお子さまの入塾が4年生以降だった場合は、理科の成績を確認し、周囲と大きく差がついていないか確認してみましょう。
間に合わない例② 6年生になっても基本事項を覚えていない
受験に必要な基礎知識の大半は、塾はもちろん小学校でも5年生の間に学習しているはずです。このため、6年生になっても模試の成績が悪い場合は、これまでの学習が定着していない可能性が高いです。
「理科は暗記科目だから後で一気に覚えよう」や「勉強していないから成績が悪いのは仕方ない、勉強すればすぐ伸びるだろう」などと考えているお子さまはいらっしゃいませんか。理科は暗記だけでは得点できませんし、範囲が広いため短期間での習得は困難です。また「勉強していないから成績が悪い」と思い込んでいるだけで、実は苦手で勉強してもなかなか成績が伸びないかもしれません。
入試まで1年切っているにもかかわらず、基礎知識が身についていない場合は、早急に対策を講じましょう。
間に合わない例③ 6年生の夏休みに復習をしなかった
多くの塾では、6年生前半の基礎固めが終了した後に、復習のための授業やテストを実施します。このタイミングで基礎に抜け漏れがあるとわかったら、夏休みの間に徹底的に復習を行わなければいけません。
夏休みに理科の強化をしないまま過ごしてしまうと、6年生後半の応用演習に手も足も出なくなってしまいます。お子さまが夏休み以降の模試で基本問題につまずいている場合は、腰を据えて対策を講じていきましょう。
なぜ成績が伸びないのか。理科が間に合わなくなる要因とは
ここまで、理科が間に合わなくなる具体的な状況を確認しましたが「入試に間に合わなくなるほど理科の成績が伸び悩んでしまうのか」という要因は一人ひとり異なります。
本項目では理科が間に合わなくなる要因を4つ分析しています。正しい対処をするためにも、まずはお子さまの苦手の原因を特定していきましょう。
間に合わない要因① 理科の勉強を後回しにしている
理科が間に合わなくなる最大の要因は「国語と算数の勉強を優先するあまり、理科に手が回らなかった」という学習配分の失敗です。「直近の一週間を振り返ってみると、家庭で理科を扱う時間がほとんどなかった」という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
確かに国語と算数は、配点が高く習得すべき事項が多いため、時間をかけて取り組む必要があります。しかし、国算をがんばりすぎて理科の勉強が後回しになり、結果的に入試に間に合わなくなってしまったら本末転倒です。
お子さまが模試や実力テストで4分野全体を通して正答率が低い場合は、理科の学習時間が足りていない可能性があるため、家庭学習における教科配分を見直してみてください。
間に合わない要因② 苦手分野(単元)を放置している
お子さまが特定の分野(単元)になると、テストの成績が悪くなる場合は、苦手な範囲を放置している可能性が高いです。例えば、国語が得意な文系のお子さまは計算問題が多い物理・化学が苦手で、算数が得意な理系のお子さまは暗記問題が多い生物・地学が苦手な傾向があります。
また「何となく点数が取れる時と取れない時がある」という漠然とした状態で、お子さまが自分の苦手分野に気付いていないというケースもあります。理科は4分野から満遍なく出題されるため、どの分野(単元)を問われても好成績を取らなければなりません。
しかし、小学生の子どもは嫌いな勉強を後回しにしがちなため、苦手な範囲は意識して取り組まない限りほったらかしになり、気付いた時には取り返しがつかない可能性があります。
間に合わない要因③ 勉強方法が間違っている
理科は分野ごとに問題の傾向や求められる力に特徴があるので、最適な勉強方法が異なります。例えば、どの分野であっても教科書を暗記しようとするお子さまがいらっしゃいますが、これでは計算を重視する物理・化学では成績が伸び悩みます。
一方で、やみくもに問題演習ばかりして教科書の読み返しがおろそかになると、体系的な知識を重視する生物・地学で失点してしまうでしょう。他にも、わからない問題の答えを丸写ししたり、基本を理解していないにもかかわらず応用問題に手をつけたりなど、間違った勉強方法は多々あります。
誤った勉強方法は、どんなに頑張っても成績が伸びず、お子さまのやる気を削いでしまうため、正しい勉強法を身に着ける必要があります。
間に合わない要因④ 小学校の勉強がおろそかになっている
中学受験の理科は、小学校での学習がベースとなっています。特に、実験や観察などの体験を通した学びは、塾よりも学校の方がより詳しく、印象に残るものです。
お子さまが学校の勉強をおろそかにしていると、体験・実験の機会が少なくなるため、理科が身近に感じられず苦手意識を持つようになってしまいます。また、近年難関校では実験考察問題の出題が増えており、その中では実験器具の使い方など小学校での学びが問われる傾向があります。
受験勉強をしていると塾を優先しがちになってしまいますが、学校で習う基本的な内容が身についているか確認してみてください。
今すぐ対策したい。理科を間に合わせるための方法
成績不振の原因がわかったら、さっそく理科の対策をはじめてみましょう。ここでは理科の成績を上げるための方法を5つ紹介しています。
保護者様がサポートできることを具体的にまとめていますので、お子さまに合った方法を見つけてぜひ実践してみてください。
間に合わせる方法① 理科の勉強時間を確保する
お子さまが理科の勉強を後回しにしている場合は、家庭学習のスケジュールを見直して、理科の時間を確保する必要があります。最適な方法は「何曜日の何時から何時までは理科の時間」というように、理科の勉強を習慣にすることです。
ただし、具体的に週何時間勉強する必要があるかは学習の進捗によって異なるため、模試のたびにお子さまの成績を確認して、保護者様が調整するようにしてください。また、お子さまの成績が深刻な場合は、週末や季節休みなどのタイミングで腰を据えて復習する必要があります。
具体的にいつどの単元を勉強するのか細かなスケジュールをつくってお子さまの苦手克服をサポートしてあげましょう。
【保護者様ができること】
- お子さま成績を確認し、理科に週何時間充てるかを考える
- 理科の勉強時間を設定し習慣化させる
- 苦手克服のための復習スケジュールをつくる
間に合わせる方法② 勉強方法を見直す
勉強方法を見直すためには、まずはお子さまの理科の取り組みを確認し、間違ったやり方をしていないか確認する必要があります。例えば好きな分野(単元)ばかり勉強していて、理科全体の正答率に偏りが見られる場合には、苦手な範囲を基礎から勉強するように声掛けをしましょう。
また、計算問題が多い物理・化学で教科書を読むだけの学習をしている場合には、問題演習をさせ丸付けなどでサポートしてあげることが有効です。一方で、知識問題が多い生物・地学は、覚えることを整理したペーパーをつくってあげたり「〇〇って何だっけ?」などと確認の質問をしてあげたりすると記憶が定着しやすいです。
【保護者様ができること】
- お子さまが間違った勉強をしていないかチェックする
- 苦手分野(単元)を勉強するように声掛けする
- 物理・化学は問題演習をたくさんさせる
- 生物・地学の知識定着をサポートする
間に合わせる方法③ 得意な単元から伸ばす
小学生の子どもは一度苦手になってしまうと「またできなかったらどうしよう」「全部わからない気がする」などと思って、どんどん苦手意識を強めてしまいます。
もしお子さまが理科に対して強い拒否反応を示していたり、4分野全てで成績が伸び悩んでいたりする場合には、お子さまが得意な単元を探してあげましょう。理科は範囲がとても広いため、どこかに点数が取れる単元があるはずです。
「動物の範囲は得意なんだね」「すごい。天体の点数が高いよ」など、保護者様がお子さまの得意を見つけ褒めてあげることは、お子さまの自信とやる気につながります。
【保護者様ができること】
- お子さまの得意な単元を見つける
- できていることを褒めてあげる
- できなかったことを責めすぎない
間に合わせる方法④ 興味関心を引き出す
理科とは身の回りの物事や現象を科学的に説明するための学習であるため、実は子どもたちの興味関心を引き出しやすい科目です。お子さまが理科に興味を示していない場合には、塾で学習した内容を保護者様が実体験に結びつけて説明してあげると良いでしょう。
例えば、天体の単元を学んだらプラネタリウムに連れて行ったり、一緒に天体観測をしたりすれば、楽しんで復習をすることができます。科学館や、民間の実験教室などもたくさんあるため、ぜひ近くの施設を調べてみることをおすすめします。
【保護者様ができること】
- プラネタリウムや科学館に連れていく
- 実験教室に参加したり実験動画を一緒に視聴したりする
- 図の多い参考書を買ってあげる
間に合わせる方法⑤ 個別指導を利用する
ここまで理科の成績を上げる方法を挙げてきましたが、実際に対策しようと思うと、保護者様の負担が大きいですよね。しかも、理科の勉強を習慣化しようとしても、お子さまにとって最適な時間配分や学習方法を見つけるためには試行錯誤が必要です。
国語・算数だけでも手一杯な状況なのに、あれこれ試して時間を消費することは避けなければいけません。そこでお勧めの解決策が、個別指導の利用です。
個別指導であれば、中学受験に関する経験豊富なプロがお子さまのつまずきの原因を特定し、適切なカリキュラムでマンツーマン指導をしてくれます。入試に向けた過去問対策も、思考力が必要な問題が増えてきている近年の傾向に対処するための応用力を養う必要があります。限りある時間とお子さまのやる気を大切にするためにも、理科は個別指導で効率よく成績を上げるのがおすすめです。
理科を間に合わせるために一人ひとりに合った対策をしよう
理科は後回しにされがちですが、実は成績を上げるのに時間が必要な教科です。お子さまの成績に不安を感じたら、間に合わなくなる前に今すぐ対処しましょう。
ただし、国語・算数の勉強に加えて理科の苦手対策をすることは、保護者様とお子さまに大きな負担となります。効率良く、そしてなるべく早く成績を上げたい場合は、個別指導の利用も有効といえます。
「理科が間に合わないかもしれない」と思ったら、ぜひプロのマンツーマン指導を体験してみてくださいね。