2025/02/03
2025/04/02

総合型選抜(AO入試)の受かる確率、落ちる確率は?

総合型選抜の受かる確率、落ちる確率は、大学によって異なるため一概には言えませんが、一般的に一般選抜に比べて倍率が低く、受かる確率が高い傾向にあります。ただし、一部の大学や学部では倍率が高く、落ちる確率が高まることもあります。

以下では、過去の合格率の実績や主要な大学の合格率の推移について詳しく解説します。

過去の合格率の実績、推移

国公立大学については、2023年度、2024年度を比較すると総合型選抜の実質倍率は2.5倍程度でほぼ変化はありませんでしたが、志望者・合格者数が前年にくらべて増えています。

私立大学については、実質倍率は大学によって大きく異なり平均すると1.1~2.5倍程度。こちらも2023年度、2024年度の倍率にさほど違いはありません。総合型選抜の合格者数を増やしている大学が増え、合格する可能性がより高まっている傾向にあると考えられます。

※以下では、「倍率」は定員に対して合格者数がどれくらいの割合であるか、「合格率」は受験者数に対する合格者の割合、として算出しています。

ただし、受験者数が不明の場合は志望者数を基に算出しています。

主要大学の合格率の推移(国公立編)

※データ出典:旺文社パスナビ

・北海道大学 医学部
2023年度/11.8倍
2024年度/4.5倍(合格率22.2%)

・筑波大学 人文・文化学群 人文学類
2023年度/6.8倍
2024年度/6.6倍(合格率15.2%)

・東京農工大学 工学部
2023年度/2.5倍
2024年度/3.9倍(合格率25.8%)

・横浜国立大学 経済学部
2023年度/2.4倍
2024年度/3.2倍(合格率31.0%)

・千葉大学 工学部
2023年度/2.0倍
2024年度/4.3倍(合格率23.3%)

・愛知教育大学 教育学部
2023年度/3.9倍
2024年度/4.2倍(合格率23.8%)

・京都大学  総合人間学部
2023年度/9.8倍
2024年度/10.3倍(合格率9.8%)

・富山大学 薬学部
2023年度/3.0倍
2024年度/1.9倍(合格率52.6%)

・金沢大学 融合学域
2023年度/1.1倍
2024年度/1.2倍(合格率83.3%)

・信州大学 工学部
2023年度/2.1倍
2024年度/2.1倍(合格率47.6%)

・奈良女子大学 文学部
2023年度/5.3倍
2024年度/7.1倍(合格率14.0%)

・広島大学 法学部
2023年度/5.0倍
2024年度/3.7倍(合格率27.3%)

・九州大学 教育学部
2023年度/5.1倍
2024年度/4.1倍(合格率19.5%)

・長崎大学 経済学部
2023年度/2.1倍
2024年度/2.4倍(合格率41.6%)

主要大学の合格率の推移(私立編)

・東北学院大学 文学部
2023年度/1.8倍
2024年度/1.8倍(合格率56.4%)

・青山学院大学 文学部 英米文学科
2023年度/3.1倍
2024年度/3.2倍(合格率30.8%)

・学習院大学 国際社会科学部
2023年度/4.1倍
2024年度/2.7倍(合格率36.7%)

・慶應義塾大学 法学部
2023年度/3.5倍
2024年度/3.7倍(合格率27.0%)

・国際基督教大学 教養学部
2023年度/2.0倍
2024年度/2.7倍(合格率37.0%)

・芝浦工業大学 システム理工学部
2023年度/1.0倍
2024年度/1.3倍(合格率75.9%)

・昭和女子大学 人間社会学部
2023年度/2.2倍
2024年度/2.0倍(合格率50.5%)

・早稲田大学 社会科学部
2023年度/7.7倍
2024年度/5.7倍(合格率17.6%)

・成蹊大学 経済学部
2023年度/3.4倍
2024年度/3.3倍(合格率30.8%)

・中央大学 法学部  法律学科
2023年度/3.5倍
2024年度/4.2倍(合格率23.6%)

・成城大学 経済学部 経済学科
2023年度/3.2倍
2024年度/2.9倍(合格率34.2%)

・明治学院大学 文学部
2023年度/1.9倍
2024年度/2.2倍(合格率46.2%)

・横浜商科大学 商学部
2023年度/1.5倍
2024年度/1.4倍(合格率73.9%)

・國學院大学 文学部
2023年度/2.0倍
2024年度/2.8倍(合格率35.2%)

・芝浦工業大学 建築学部
2023年度/2.8倍
2024年度/4.1倍(合格率24.6%)

・東京理科大学 先進工学部
2023年度/-
2024年度/1.8倍(合格率55.6%)

・法政大学 文学部
2023年度/2.2倍
2024年度/2.8倍(合格率36.0%)

・明治大学 政治経済学部 経済学科
2023年度/4.0倍
2024年度/4.2倍(合格率24.1%)

・立教大学 社会学部 社会学科
2023年度/10.6倍
2024年度/10.6倍(合格率9.5%)

・関西大学  外国語学部
2023年度/2.3倍
2024年度/1.5倍(合格率65.2%)

・関西学院大学 国際学部
2023年度/1.6倍
2024年度/1.7倍(合格率57.3%)

・産業医科大学 医学部 医学科
2023年度/9.7倍
2024年度/14.4倍(合格率6.9%)

偏差値が高い大学でも合格率が高いこともある

一般的に偏差値が高い大学は合格率が低いと思われがちですが、総合型選抜においては、合格率が高い大学もあります。理由として挙げられるのが、多くの大学で総合型選抜の募集人数を増やしている点です。一般選抜の割合を減らし、総合型選抜を増やしている大学では、受かる確率が高くなることもあります。しかし、一般選抜と異なり、基準を満たす受験生が少なければ、当初の募集人数未満の合格者しか出さないこともありますので、注意が必要です。

総合型選抜の受かる確率、落ちる確率が推移する 3つの要因

1. 総合型選抜の導入率の増加

文部科学省の「令和5年度大学入学者選抜における総合型選抜の導入効果に関する調査研究」によると、大学の85.6%で総合型選抜を導入しています。特に私立大学の導入率は93.4%と非常に高くなっているという調査結果となっています。

2. 受験生のトレンドの変化

総合型選抜では、学力以外にもスキルや意欲、個性などが重視されます。学力だけでなく、人間性が評価される点に魅力を感じ、総合型選抜の受験者数が増加している傾向にあります。

3. 出願条件の違い

同じ大学でも、学部・学科によって総合型選抜の出願条件が異なる場合があります。出願条件にあまり縛りがない場合は受験者数が増えるため、落ちる確率が高くなりがちです。

対して、資格の有無や評定基準などの条件を設けている場合は、応募条件を満たす受験生が限られるため、比較的受かる確率が高くなることもあります。

総合型選抜の合格率を高めるためにできること5つ

総合型選抜は受かる確率が高い傾向にあるとはいえ、事前準備なしに合格することは当然ありません。ここでは、総合型選抜の合格率を高めるために必要なことを5つ解説します。

1. アドミッションポリシーを理解する

どの大学でも総合型選抜で重視されるのは「アドミッションポリシーに合致した人物像かどうか」という点です。アドミッションポリシーとは「大学の教育理念、目的、特色等に応じて受験生に求める能力、適性等についての考え方を求めたもの」で、大学全体はもちろん、学部・学科ごとに理念や特色を設けていることが多いです。詳しくは各大学のパンフレットや公式ホームページに掲載されているので、じっくり読み込んでおくことが大切です。

2. 入学後の意欲や将来像を明確にする

文部科学省では、総合型選抜の評価基準を「志願する大学で学ぼうとする意欲を多面的・総合的に評価すること」と定めています。どんな勉強をしたいのか、学んだことを社会でどのように活かしていきたいのかを明確にすることで、より具体的なアピールにつながります。

前述のアドミッションポリシーと関連づけることができると、さらに説得力が高まり合格率アップにつながります。

3. 深い自己分析を行う

また、総合型選抜では、大学を目指すにあたり高校時代にどんな努力を重ねてきたのか、どんな学生生活を過ごしてきたのかも明確にできると合格率を上げることができます。成果だけでなく、その過程もアピールポイントになるため自分の経験をしっかり俯瞰し分析しておくことが欠かせません。

また、部活動や生徒会活動、課外活動もアピールポイントになります。具体的なエピソードを交えつつ伝えることで、オリジナリティのあるアピールができます。

4. 相性の良い塾を選ぶ

総合型選抜では、一般選抜と違い小論文や面接対策が欠かせません。そのため、これらにも対応した塾を選ぶと良いでしょう。総合型選抜に特化した塾もあるため、早めに検討を開始した方が合格に向けた対策を立てやすいです。

また、志望大学・学部の対策が行われている塾を選ぶことも重要です。個別、集団、オンラインなど自分にあったスタイルの塾を選びましょう。

5. 高校1年生から評定を意識する

総合型選抜では、求められる高校の評定が指定される場合があります。評定は高校の定期考査や出席日数に基づいています。一般的に、高校3年間の評定平均が適用され、例えば「全体の平均評点4.3以上」と指定している難関大学もあります。

主要教科だけでなく、副教科も手を抜かず1年生から評定を意識するのが総合型選抜の合格率を高める秘訣です。また、遅刻や早退などもできるだけ少なくできるよう、日ごろの生活習慣を整えることも重要です。

なお、評定平均が求められない大学もあるため、志望する大学の募集要項をチェックしておきましょう。また、評定平均が不要でも、遅刻や欠席についてはチェックしているケースもあるので注意しましょう。

総合型選抜(AO入試)の受かる確率、落ちる確率は?のまとめ

総合型選抜の受かる確率、落ちる確率は、大学の難易度や学部・学科によって大きく異なります。とはいえ、一般選抜に比べると受かる確率が高いことが多いです。学力だけでなく、個性や意欲などをアピールしたい受験生にとってはメリットのある選考方法なので、ぜひ活用してみてください。

なお、総合型選抜には事前準備が欠かせません。準備が不足したまま受験を迎えると、当然ながら落ちる確率が高くなってしまいます。アドミッションポリシーの理解度を高めたり、自己分析を行ったりと早めに取り組んで合格を勝ち取りましょう。

合格のための各対策のメソッドを持っている個別指導塾を選ぶなど、自分に合った攻略法を見つけていくことをおすすめします。

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